【梅宮アンナさん】がん治療を通して悩まされた初めての衝撃とは「自分の体じゃないみたいな…」

2024年8月13日、梅宮アンナさんは乳がん(浸潤性小葉がん)のステージ3Aと診断されたことを公表しました。11月7日に右胸の全摘出手術を受け、3月5日に抗がん剤治療を終え、そして4月、放射線治療も終了。こうして、がん治療の三大柱――手術・抗がん剤・放射線――すべてを乗り越えることができました。今は、治療を終えたその先にある“これから”と向き合う日々。
この連載では、がんとともに生きる梅宮アンナさんが、心と体の変化、日常の気づき、そして未来への思いを、率直に綴っていきます。

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放射線治療の「見えない光線」に対する怖さが、精神的にきつかった

先月、がん治療の三大柱である「手術」「抗がん剤」「放射線」のうち、ついにすべての治療が終わりました。まだ10か月ではありますが、がんという長いジャーニーのなかで、大きな峠をひとつ越えられた気がしています。けれど、これで終わりではありません。

ホルモン剤を毎日1錠、これから10年。
分子標的薬を1日2回、これから2年間。
治療はまだまだ続きます。

放射線治療が終わったのは、4月10日。全部で16回の照射でした。がんの種類や進行度によって治療内容もまったく異なるので、放射線の回数も人それぞれ。30回以上受ける方もいらっしゃるなかで、私は比較的少ない方かもしれません。それでも、十分にしんどかった。

副作用の出方も人によって本当にバラバラで、抗がん剤と同じように、実際に始めてみないと分からないことばかり。なかでも私が一番つらかったのは、“見えない光線”への恐怖でした。放射線は目に見えない。何が起きているのか分からないまま、ただひとり密室に入り、じーっ…という機械音だけが響く3分間。それを月曜から金曜まで、毎日繰り返す。体はどんどん硬くなり、心もどんどん疲弊していく。そんな日々を過ごしていました。

私はもともと何でも調べるタイプなので、知れば知るほど不安が増していって落ち着かないタイプでした…。一方で、照射中に寝てしまう人もいるそうで、そういう方が心底羨ましかったです。

照射そのものは1回あたり15〜20秒程度、全体で3分ほど。でも6回目あたりから肌が赤くなりはじめて「あ、焼けてきてる」と実感するようになりました。表面だけでなく、体の中まで焼けているような感覚があって、戸惑いはありました。
看護師さんから「治療が終わって2週間後がいちばんつらくなるかも」と言われていたのですが、まさに今(4月21日取材時点)がその時期。ヒリヒリ、ズキズキ、ときにズーンと痛む。人によって違うとは思うけれど、私はけっこう痛みが強かったと思います。少々怖い表現になってしまうのですが、イメージしやすくたとえるなら“電子レンジに入れられたお肉”みたい。体が中から縮んでいくような、ちょっとホラーだけど、実際そんなふうに感じました。

特に痛みが強く出たのは、リンパを切除した脇のあたり。放射線の影響でまた硬くなってしまい、せっかくリハビリで回復していた腕が、また上がらなくなって。「あれ、また振り出しかな…」と落ち込む日もありました。でも放っておくとどんどん悪化してしまうから、痛みをこらえながら動かすようにしています。

この1か月は病院に通いっぱなしの日々で、毎日病院に通勤しているような感覚。体はもちろんですが、精神的にもきつかったです。治療が終わった日でさえ、帰り道は無言のままで、娘からも「ママ、ちょっとうつっぽいよね」と言われてしまうほど。手術や抗がん剤のときよりも、放射線治療のほうが、精神的なダメージは大きかったかもしれません。

さらに抗がん剤の影響もまだ残っていて、いちばんしびれが強く出ているのが今。薬は、たとえば半年使っていたら、体から抜けるのにも同じくらいかかると聞いています。だから、完全に回復するのは年単位の話。

夜もなかなか眠れません。横になると、傷口が引っ張られるようで、寝る姿勢そのものがつらい。そんなとき助けになったのが、睡眠導入剤でした。初めて使ったのは、昨年11月の手術入院のとき。そこから今も、眠れない夜には頼ることがあります。

もちろん薬に頼りたくない気持ちもあって、たとえば「むくみに利尿剤を」と勧められたときは、「歩いて治します」とお断りしました。できることは自分の力でやりたい。でも、眠れないまま朝を迎えるよりは、必要なときには薬の力も借りて、少しずつ回復していこうと考えています。

今は「治療が終わった」というより、「治療のあとを生きている」という感覚。体の中でまだ何かが続いているような、そんな日々を、静かに受け止めています。

闘病生活のなかで、良い習慣に出合えたのは私にとって「小さなギフト」だったかもしれません

抗がん剤治療、放射線治療、そして手術と、いくつもの治療を受けてきた中で、私がいちばん悩まされたのが“むくみ”でした。単なる浮腫みなんて言葉じゃ片づけられない。張って、痛くて、皮膚がパンパンに突っ張って、自分の体じゃないみたい。こんなにもむくむと、こんなにも痛いんだ——それを、初めて知りました。

特に、手術でリンパ節を切除したことで、体の中の“流れ”が止まってしまった感じ。老廃物の逃げ道がなくなって、どうしようもないむくみが、毎日の生活にずっとつきまといます。それが、今の私の“むくみ”です。もちろん、リンパ浮腫の予防や改善のために、インディバやハマム浴といった温活ケアも取り入れていました。でも、いちばん効果的だったのは、日々の生活習慣の見直しでした。

――お風呂は、むくんだ脚をそっと癒してくれる場所に
シンプルに、お風呂にゆっくり浸かる。これが、本当に効いたんです。むくみがひどい日は、脚がパンパンに張って、皮膚が突っ張って、触れるだけでも痛い。そんな脚をお湯に浸けた瞬間、じんわり楽になる。お風呂って、自分の体を優しく包み込んでくれるような存在になりました。あのときの救われる感覚は、今でも忘れられません。私は、もともとはシャワー派だったんです。湯船に浸かるのはあまり好きじゃなかった。でも今では毎日、ちゃんと湯船に入っています。「今日はウルモアにしようかな♡」「別府の湯もいいかも」なんて、入浴剤選びも小さな楽しみに。

入浴時間はだいたい20分くらい。長く入りすぎると、のぼせたり、放射線を当てた部分が赤くなってしまうこともあるので、湯温や時間は体調に合わせて無理なく。放射線治療中もお風呂に入らないなんてことはなく、むしろ毎日入っていました。体の声を聞きながら、気持ちよく続ける。そんなちょうどいい入浴習慣が、むくみの緩和につながっていた気がします。

――歩くこと、それがむくみに効くシンプルで最強の方法
そしてもう一つ。むくみ対策として、本当に効いたと実感しているのが、ウォーキングです。歩くって、本当に大事。体を温めて、血流を促し、有酸素運動で代謝を上げて、なにより気持ちが前向きになる。むくみにも、心にも効く。

とはいえ、がん治療後の体にとって理想的な1万歩は現実的じゃない日もあります。私は無理のない範囲で、1日3000〜5000歩を目安にしています。この前は、渋谷から原宿まで歩いてみたら、気づけば6000歩達成!以前は車移動ばかりで、意識しないとまったく歩かない生活。でも今は、天気がいいから歩いてみようかなって思えるようになりました。そんな気持ちの変化が、自分でも嬉しかったりします。

しびれが出て手や足が動きづらい日もあるし、今日はやめておこうって日もあります。そんなときは、ちゃんと休んで、動ける日は、気持ちよく歩く。そのくらいの“ゆるさ”が、今の私にはちょうどいいんです。暑さが厳しいと体力を消耗しやすいので、できるだけ夕方に。ビタミンDを意識して、日傘をさしながら少しだけ陽を浴びることも。荷物はリュックにして、なるべく体に負担をかけずに。そういうひとつひとつの工夫が、私にとっての整える習慣なんです。

がんを経験して、たくさんのことに気づかされました。こうした良い習慣に出合えたことも、小さな“ギフト”だったのかもしれないと、私なりに捉えています。

この日も荷物はリュックにして、なるべく体に負担をかけずにウォーキング
水分補給も忘れません!
たくさん歩いたので、ご褒美にアサイーボウル

アンナさん衣装:私物
撮影/中田陽子 取材・文/日野珠希

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