はるな愛さん(52)不登校になった壮絶な過去「子どもが輝ける居場所はきっとあります」

「学校へ行きたくない」、子どもの発したこの言葉に親は心配し、焦り、不安に苛まれるかもしれない。不登校は決して失敗ではなく、子が選んだ一つの選択。我が子が成長するための一歩と捉え、道を切り拓く姿を見守っていく。きっとそれは親の成長にもつながるはず。

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はるな愛さん 52歳・東京都在住
タレント、歌手、俳優、 実業家、YouTuber

子どもが輝ける居場所は必ずある
そう信じて、ただ側にいてあげてほしい

底抜けに明るいキャラクターを武器に、〝エアあやや〟や「言うよね〜」のフレーズでブレイクしたはるな愛さん。その笑顔の裏には、〝生きづらさ〟に悩み、不登校になった壮絶な過去が。「幼い頃から自分は女の子だと認識していました。両親は『男らしくしろ! 女みたいなことはするな!』とずっと否定的。親の言葉を真に受けて、本当の自分を偽り続けていましたね」。

そんな生きづらさを抱えたまま、中学校に進学。「男らしく振る舞おうにも、そもそも〝男らしさ〟がわからない。自分の立ち位置を摑めず、常にオドオドしていました。そのせいか同級生に目をつけられ、殴る蹴るなどのいじめを受けるように。一体何のために生きているのか、将来どうなっていくのか…不安に苛まれる日々でした」。

下校中、環状線の道路から車が走る光景を眺めては、飛び降りようと考えたことも。「その度に、両親の悲しむ顔が浮かんできて。いじめの矛先が、次は親に向くのではないかと思うと死ぬことができなかった。でも心は限界に達し、ついに不登校になりました」。

そんなある日、親が経営するスナックの常連客に「ニューハーフのお店に行ってみないか」と声をかけられ、それが人生を変えるきっかけに。「ドレス姿の男性たちが踊る華やかな舞台に、一瞬で心を奪われて。自分のやりたいことが見つかり、わかり合える仲間ができたことで見える景色が一変。初めて居場所が見つかった気がしました」。

その頃から少しずつ自信が芽生え、再び学校にも通えるように。不思議といじめもなくなったそう。「不登校を乗り越えられたのは、人と出会い、居場所ができたことが全て。みんな学校以外に選択肢がないから苦しくなるんです。辛い場所に居続ける必要はないけれど、逃げるのも違います。自分が輝ける場所は必ずある。だから諦めないで探し続けてほしい。一歩でも外へ出れば、出会いやきっかけが何かあるかもしれませんから」。

振り返ると、一番辛かったのは親に受け入れてもらえなかったこと。「当時、両親が何も言わずに寄り添ってくれていたら、どれだけ救われたかわかりません。そっと見守ってさえいてくれたら、もっと生きやすい人生だったと思います。親は一生懸命何かを正したり、社会の型にはめようとしてしまう。でも唯一できることは、〝何もしないこと〟なんです。子どもの意思を最優先するのが何よりも大切。最終的に立ち上がるのは、子ども自身でしかないのですから。その時に、扉を一枚隔てた適度な距離感で見守ること。言葉なんてなくても、ただそばにいるだけで、想いは必ず伝わります。その想いこそが、子どもが人生を切り拓くパワーの源になっていくはずです。」

<編集後記>親が無条件の愛を注ぎ続ければ、子どもは自ら立ち上がれる

優しいお人柄が印象的だったはるなさん。取材中心に刺さったのは「飛び降りなかったのは、両親の顔が浮かんだから」という言葉。表面上は否定的だったご両親ですが、きっと深い愛情を注がれていたのでしょう。たとえわかり合えなくても、〝親に愛されている〟という実感こそが、子どもを救う鍵になる。愛の大切さに改めて気付きました。(ライター 渡部夕子)

撮影/堺 優史(MOUSTACHE)ヘア・メーク/田村俊人 スタイリスト/藤井エヴィ取材/渡部夕子 ※情報は2025年5月号掲載時のものです。

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