「ひとりだから履いてきちゃいました！」。爽やかなパンツ姿に9cmのヒールを履いて撮影に訪れた三田友梨佳さんは、現在2歳の男の子の子育て中です。そんな三田さんをどんな時代も癒してくれたのは、数々のスイーツ。今回は、子どもの頃の思い出とともに“スイーツ愛”を語っていただきました。

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フリーアナウンサー
三田友梨佳さんは……ケーキが好き！

❝ 疲れがほどける甘いクリームは
自分をいたわる魔法みたいなもの❞

シャツ￥79,200（マディソンブルー）ピアス￥3,905,000（ブチェラッティ）その他／スタイリスト私物

幼いころ、誕生日に両親が用意してくれたホールケーキ。母と何度も作ったアップルパイやシュークリーム。物心がついたときには、スイーツ好きになっていました。とくに思い出深いのは、中高生時代のこと。両親が共働きで兄や姉とも歳が離れていた私は、学校から帰ると、よく祖父と過ごしていました。夕方になると、「ゆーちゃん、ケーキ買ってきたから一緒に食べよう」という声が聞こえてきて、祖父が好きだったKIHACHIのロールケーキか、当時日本橋浜町にあった東京洋菓子倶楽部のモンブランが食卓に並んでいる。ふたりでケーキを食べて、『ちびまる子ちゃん』の友蔵とまる子のように過ごした忘れられない時間です。

母になった今は、ご褒美としてのスイーツに。お母さんは毎日フル稼働で生きているけれど、仕事のように明らかな成果が出るわけでもなければ、周りから評価されるものでもありません。だから時には“今日もがんばってるね”と自分で自分を褒めてあげる。一口頰張ると疲れがスーッと消え、心身が蘇ります。先日息子が2歳になり、初めてショートケーキを食べました。口に入れた瞬間、顔をくしゃくしゃにして喜んでいた息子。以来ケーキに目がなく、私がキッチンでこっそりケーキを食べていると気づけば背後にいて、「わあ！」と驚くこともしばしば（笑）。見つかってしまったら最後、内緒のご褒美ケーキとして甘い時間を過ごしています。

「仕事と育児の両立」という言葉が当たり前のように使われていますが、最近、仕事と育児は両立させるものではないんじゃないかなと考え始めました。“両立”の言葉の意味を調べてみると、「二つの物事が同時に支障なく成り立つこと」とあり、はて？と。無理せず共存できればいい二つの事柄が、まるで対立するもので、どちらも完璧にしなければならないというプレッシャーにも感じてしまう気がしたんです。私にとっては仕事も育児も大切な生活の一部で、天秤にかけたり、支障のあるなしで推し測るものではありません。育児がメインの日もあれば、仕事に比重を置きたい日もある。その時々によって、優先順位を変えてもいいはず。社会の理想像ではなく、家族にとっての理想の形を見つけられたら。自分が選んだ道を、少しずつ正解にしていけたらいいなと思っています。

息子が1歳のころ、私はパリ五輪の取材で10日間の出張へ出かけましたし、夫も仕事で頻繁に海外へ行きます。物理的に離れることを繰り返して思うのは、心の距離は言葉でしか埋められないということ。日常生活でもそれは常々感じていて、寝る前の5分間は「今日何した？」を夫婦で話すようになりました。仕事に復帰してから毎日異なるリズムで過ごしていると、つい「明日の予定はね、」と業務連絡になってしまいますが、意識的に心の動きを伝えられたら、楽しかったこともワンオペで大変だったことも家族のものになる。話すほど、味方がそばにいることを実感できます。甘いものが好きな夫とはケーキを食べながら話すことも。ケーキを囲む思い出が、今さらに広がっています。

PROFILE

三田友梨佳
みたゆりか●1987年生まれ、東京都出身。フリーアナウンサー。2011年にフジテレビジョン入社。2023年に退社するまで報道、スポーツ、バラエティなど様々な分野で活躍し局の顔に。現在は地上波のTV番組はもちろん、ネットメディア「PIVOT」でもMCを務める。一児の母。

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撮影／佐藤航嗣〈UM〉　ヘア・メイク／chiSa〈SPEC〉　スタイリング／杉山朱美　取材・文／藤井そのこ　編集／鈴木貴子　撮影協力／UTUWA
＊VERY2025年8月号「オトナになっても好きなこと」より。
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