今、注目の【オランダ子育て】子どもの幸福度も世界一!日本の子育てとどう違う?
ユニセフの『子どもの幸福度調査』で常に上位、「世界一子どもが幸せな国(’25年)」でオランダは、子どもの精神的幸福度も世界一。日々の子育てで疲弊する私たちと何が違うのか、お悩み解決のヒントがありました。
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対談者Profile

STORYモデル。夫でサッカー元日本代表の小野伸二さんの移籍に伴い5年間オランダ生活を経験。20歳と17歳の2人の娘の母。

通訳・翻訳家。オランダ人の夫、中2の娘とオランダ在住。訳書に『オランダ人のシンプルですごい子育て』(日経ビジネス人文庫)。
【対談】子どもが「世界一幸せ」な理由はなぜ?
小野さん
オランダ滞在は約20年前。近頃子どもの幸福度は世界1位です。
吉見さん
子どもを一人の個人として尊重するオランダの子育ての根底が、結果に結びついているのかも。
小野さん
食卓でも子どもの話に耳を傾け、否定的な言葉はかけない印象。
吉見さん
かなり対話を重んじますね。家族揃っての夕食は基本、今日の出来事、社会ニュース、子ども自身の気持ちなど何でも食卓で話すから、感情も考えも小さい頃から安心して出せるようになるのだと思います。
小野さん
なるほど、それが「反抗期がない」と言われる理由なんですね。
吉見さん
普段から、信頼と対話の積み重ねが精神的安定に繋がるのかも。
小野さん
どの家庭も家族の時間が大切で、夫婦の関係性もフラットかも。
吉見さん
オランダは週29時間労働が平均で共働き夫婦が多数。なので、学校の送迎や家事などは、パパもママもできるほうがするというスタイル。
小野さん
羨ましい! 日本は週40時間労働でママの負担が重い。オランダでは、家族全体が快適に過ごすことが最優先だから、子育ても関係性を重視した生活の核なんですね。
吉見さん
その通り。教育制度もそうした個人を尊重する価値観で、イエナプランやモンテッソーリなど様々なオルタナティブ教育が普及しているオランダの小学校では通知表に相対的順位は記載せず、学力成績、性格や社会性、協調性など子ども個人の能力が丁寧に書かれます。学ぶペースも、子どもの個性や発達段階に合わせて調整されます。
小野さん
成績で競わせないんですね。
吉見さん
ええ、むしろ違って当たり前という前提です。小学校全体の成績や性格、6年生で全国学力テスト(CITO)を元に実務教育、高等一般教育、大学準備教育の3つの中等教育コースに分けられますが、どの道も社会に繫がる尊い選択肢として認識されています。
小野さん
進路の早期決定には驚きましたが、その後も柔軟なんですよね。
吉見さん
後にコース変更や飛び級・留年も。個性や適性を伸ばす点では、まさにオーダーメイドの学びです。
小野さん
自由だけど、自立と責任を促してくれる国ですよね。
吉見さん
子どもに自由と選択があると同時に責任が伴うことを小さい時から対話します。友達と夜外出する際も親子で話し合い、帰宅時間などの基本ルールを明確に決めた上で親子の信頼関係のもと送り出します。
小野さん
納得です。心配な分、先回りしがちだけれど、子ども自身の選択を信じる親の姿勢が、自己肯定感にも繫がっているんですね。
吉見さん
親も一緒に悩み、一緒に考える。それが一番。
小野さん
娘にとって〝何かを教えてくれる〟より〝どんな時も味方でいてくれる〟存在でありたい。オランダの日々が私の子育ての軸にありますね。
小野さん家族のオランダ時代

結婚後、22歳で渡蘭し、長女の“日帰り出産”を経験。家族の時間を何よりも大切にするオランダの文化を体感。アルバムにはまだ10カ月だった民族衣装を着た長女が。
イエナプランって何?
◯ 教えてくれたのは、濵 大輔さん

日本イエナプラン教育協会代表理事/高知県内私立幼稚園教諭。オランダ研修時の「子どもは大人が言うようにではなく、するように育つ」が印象的。
約100年前にドイツで始まった教育哲学で、今はオランダで広く普及している方法。年齢混合クラスで学び合い「対話・仕事・遊び・催し」の4つの基本活動を1日にリズミカルに組むのが特徴です。子どもは自らの関心やペースに応じて学習計画を立てて主体的に学び、仲間と協働しながら個々の発達と多様性を尊重。全ての子どもが自分らしく学べるインクルーシブな環境を重視し互いを尊重し合う関係性構築を目指しています。
『オランダ人のシンプルですごい子育て』

吉見・ホフストラ・真紀子さん訳。『オランダ人のシンプルですごい子育て』(日経ビジネス人文庫)。
撮影/吉澤健太 ヘア・メーク/陶山恵実 イラスト/ヤマグチカヨ 取材/羽生田由香 ※情報は2025年9月号掲載時のものです。
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