【私の夫はクズ旦那】新婚初夜から始まった、妻の地獄…。愛より肩書きで選んだ“高スペック医師”との夫婦生活の苦痛/前編

「27歳は女の最高値。今以上の男は現れない」

――父の一言が、彼女の人生を変えた。

美保さん(仮名・40歳)が選んだのは、愛よりも“肩書き”。都内の有名医大を出たエリート医師との結婚は、誰もが羨むはずでした。

しかし新婚初夜、花嫁を待っていたのは“地獄”……。

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――あなたの周りにも、こんな夫婦はいませんか?
実録・私の夫はクズ旦那 本当にあったゾッとする話

 

取材者プロフィール

美保さん(仮名)40歳

職業:専業主婦

家族構成:バツイチ、8歳の女の子

父親が気に入った「高スペックの恋人」

元夫のことは、最初からまったく好きじゃなかったんです。でも『結婚=女の幸せ』だと散々言い聞かされ、親の強い希望で結婚しました。夫婦になれば彼との関係も変わるかもしれない、愛が芽生えるかもしれないと思っていましたが、結局全然ダメで……。元夫との結婚生活は、不幸そのものでした」

開口一番にきっぱりとそう言い切った美保さん。しっかりとした口調には知性があり、また控えめに言っても女優さんのように顔立ちの整った正統派美人である彼女が、なぜわざわざ「好きではない男性」と結婚し、不幸になったのか非常に気になります。

「元夫とは、私が一度社会人を辞めて地元関西で大学院に通っていた頃、先輩の紹介で出会いました。『美保に絶対合う、俺の親友』と言われ、尊敬する彼が言うなら間違いないとフィルターがかかったんだと思います」

元夫は都内の有名医大を卒業し大学病院に勤務している、いわゆるエリート。当初からあまりピンとこなかった美保さんとは対照的に、彼のほうは美保さんに一目惚れ。熱心なアプローチの末、「好きではない」以外に断る理由もなく、2人は東京と関西の遠距離交際をスタートさせました。

「尊敬する先輩も含め、私の両親や友人も、なぜだか当時は彼を褒めちぎっていました。今から10年以上前、また私の地元の土地柄、『東京の一流大学の医者』の肩書きはすごい威力があったんです

「27歳は女の最高値。今以上の男は現れない」

美保さんの元夫は非常にマメなタイプで、現に悪い人ではなかったよう。また当時、美保さんの周囲では「20代のうちに結婚すべき」という風潮が強く、彼女自身もそう思っていたことで、周りに流されるような形で付き合うことになったそう。

「大きな不満はないものの、でも付き合い始めてもやっぱり好きにはなれませんでした。まず、実は外見がタイプじゃなかった。元夫は大柄で野生味のある体育会系で、基本的に明るい性格なのはいいんですが、少し空気の読めないところがありました。大勢の場になると人をいじるような所も苦手で、私がヒヤヒヤすることがよくありました」

恋人や結婚相手として条件は良くても、「どうしてもしっくりこない」男女の相性はよくあるもの。その場合、普通は自然と破局に向かうかと思いますが、ではなぜ、美保さんは結婚にまで踏み切ってしまったのでしょうか。

「特に父親が元夫を気に入ってしまったんです。何度か別れようとしたんですが、『美保に彼以上の男はもう現れない』『彼を逃したら一生結婚できないよ』と事あるごとに言われ続け……。

そのうえ父親と元夫が楽しそうに会話をしている姿をしょっちゅう見ていたので、気まずくて別れられないまま時間が過ぎてしまいました」

ちなみに美保さんのお父様は、地元で代々続く家業の経営者。

おかげで美保さんは不自由ない家庭で育ったそうですが、そのぶん家庭内でお父様の発言には力があったようです。そして、優秀な医師の元夫を家族に迎えたいという打算的な気持ちもあっただろうと美保さんは言います。

「しばらくして元夫からプロポーズをされたときに、咄嗟に『無理』と思いました。遠距離で週末だけ会うならまだしも、彼と2人きりで24時間暮らすなんて絶対に嫌で……。断るならもう今しかチャンスはない。ついに父親に別れる報告をすると決めたのですが……」

すると美保さんとお父様は、数時間にも及ぶ本気の話し合いをすることになりました。

父親いわく、当時27歳の私の年齢は、女としての市場価値の最高値。1歳でも歳を取れば、もう今以上の男は絶対にお前を選ばない。お前の価値はこれから下がる一方で、嫁にもらってくれる男は年々半分以下に減っていくんだ、と半ば脅しのように言われました」

 

結婚は、愛よりもスペックや安定が大事?

美保さんは「土地柄」「父親の昭和の価値観」と言いますが、しかしつい10〜20年ほど前まではたしかに「女性は30歳までに結婚すべき」という風潮も強く、人気ドラマ『やまとなでしこ』でも似たセリフが頻発していた記憶は筆者にも鮮明に残っています。

「そう、うちの家族はテレビの影響を受けやすい面があるんです。当時両親は還暦に近かったのですが、まだ孫がいないことにも焦っていました。そんなとき、やはり人気バラエティ番組でとある専門家が『娘の生んだ孫の面倒を見ると寿命が伸びる』みたいなことを言っていたんです。

詳しい内容は忘れましたが、どこかの研究結果で、娘の孫と触れ合えば平均10年長生きすると証明されているとか。私には独身の兄がいましたが、そのテレビを観ていた両親は『やっぱり美保に孫を産ませないと!』と本気で言っていました」

父親と娘との話し合いでは、このバラエティ番組の一説も持ち出され、父親は真剣に美保さんを説得したそうです。

「美保はパパとママに長生きして欲しいだろ? そもそも27年生きて他に結婚したい男がいたわけでもないのに、今後もできるわけがない。今結婚するのがお前の幸せなんだと、父親にそこまで強く言い切られるとプレッシャーもありましたし、否定もできませんでした

たしかに元夫は優秀な医師で、専門職ならば生活の心配もない。裕福ながらも経営者の苦労も知っている美保さんは、父親の言い分に納得してしまう面もありました。

「さらに父親は、とりあえず結婚して、できるだけの努力をして、それでもダメだったら離婚していいと言ったんです。私も独身を貫きたいわけでは決してなかったし、これが適齢期女の真っ当な道なのだと思い……。

外見も人格も好きではないけど、父親の言うように、スペックと安定した経済力のほうが結婚生活には必要で、愛と幸せはあとからついてくる。そう信じて結婚することにしたんです」

しかしその選択が、美保さんの地獄の始まりだったのです…。

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新婚初夜から始まった、妻の地獄…。愛より肩書きで選んだ“高スペック医師”との夫婦生活の苦痛/後編【私の夫はクズ旦那】

 

著者・山本理沙 ミモレ、現代ビジネス、東京カレンダーWEBなどで人気連載を多数執筆。『不機嫌な婚活』(講談社)や2022年にドラマ化された『恋と友情のあいだで』(集英社)など、東京で生きる女性のリアルな心情を描いた作品が話題に。Podcast「ママの休憩所」も好評配信中。

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