與真司郎さん、マイノリティの子を持つ親に届けたい想い「幸せになれないなんて決めつけないで」
    2023年、大勢のファンの前で自身がゲイであることをカミングアウトした與真司郎さん。
インタビュー前編では、ファンへの公表までをお話いただきました。インタビュー後編では、カミングアウトしてから社会の逆風や心の葛藤と向き合ってきた與さんが、その困難を乗り越えるためにどのように成長されたか?大きく変わった人生観も含めてお話しいただきました。SNS時代を生きる私たちは、ともすると自分の幸せを見失いがち。自分にとって、そして我が子にとっての生きやすい未来とは?與さんの言葉は大きなヒントになるかもしれません。
▼前編はこちらから
與真司郎さん、カミングアウトまでの葛藤「恋バナできないことががずっと苦しかった 」
「ファンのみんなの前で…相当な覚悟で臨んだカミングアウト
家族への報告の後、もちろんAAAの仲間たちにも話しました。宇野実彩子には家族に話した後すぐに話したかな。めちゃくちゃびっくりしてましたし、メンバーも全然わからなかったと。みんな、僕を応援してくれると背中を推してくれました。僕のために2000人ものファンが集まってくれたあの日、覚悟は決めていたものの、すごく怖かった。僕の人生は1回きりで、本当の自分で生きていきたいし、ファンのみんなにも本当の自分を知ってもらいたい、その思いを伝えました。きっと僕に対して幻滅してしまった子もいますよね。でも振り返ると、今まで見たことがないくらい感動的で、ファンのみんなもすごく応援してくれて、いいイベントだったなと思うんです。
バックラッシュで心も体も限界だった
    家族が心配していた通り、カミングアウト後の僕はバックラッシュ(カミングアウトなど運動や活動に対する反動、揺り戻し)に悩まされました。LAの家から出られなくなってしまって。何もする気が起きない、誰とも会いたくない、新しい人との出会いなんてもってのほか。ワークアウトもトレーナーに自宅まで来てもらって、身体を起こしてもらってみたいな感じ。
見なければいいのに、エゴサをしてしまう自分。精神は不安定で、ファンの人が離れていってしまいそうになるのをみて、やらない方がよかったかな…と気持ちは落ち込むばかりでした。すごく悲しかったのが、“気持ちが悪い”とか“かわいそう”と書かれていたこと。趣味嗜好だとも言われたけれど、それだったら僕、ストレートになってますって。性的なものに限らないけれど、こういう“決めつけ”みたいなもので、苦しさが増して消えてしまいたくなる人もいるんじゃないかと思うんです。この現状を変えなければいけない、この問題をノーマライズするには、やはり誰かが声をあげていかないといけなかった…自分を鼓舞する気持ちと、行きつ戻りつしながら、そんな精神のアンバランスさを抱えながら1年ぐらいやり過ごしました。
体と心に鞭を打ち続けて頑張った日々、僕の全てが悲鳴をあげていた
    当時、僕の活動が海外メディアに取り上げてもらったり、賞にノミネートされたり、「Shinは素晴らしいことをしたんだよ」と周りからの賞賛は嬉しかったのですが、まだ万全ではない中、体と心に鞭を打って頑張り続けていたら身体が悲鳴をあげてしまいました。(もう限界だ…)せっかくカミングアウトしたのに、どんどん悪い方向にいってしまう、自分を変えるために今の環境を変えなければならないと、僕はLAの家を引き払い、ノマド生活に切り替えました。
昨年夏頃から、世界中をぐるぐる巡り巡っています。最近はほぼヨーロッパにいますが、ふらっとオーストラリアにだとか、とにかく気の向くままに好きな場所に。そこでまたいろんな人に出会えて、日本とも違う、アメリカとも違う、さまざまな考え方を学ぶことで、凝り固まった考えから自由になることができました。今まで考えていた、マイノリティとか、マジョリティは、世界を見る中では、それも一つの視点でしかないんだな…と。誰かに何を言われてもいいじゃないか、キャリアだけが全てでもない、そうも思えるようになりました。
262の法則を学んで
262の法則は、随分前に友人から教えてもらったものなのですが、この世の中には、自分と感覚が合う人が2割、どちらでもないお互い興味ないという人が6割、反対側の全く合わない人が2割いるという考え方。別名・働きアリの法則として、生産性で語られることも多い法則ですが、僕はこの考え方を知って随分気持ちが楽になりました。僕はずっと、多くの人に好かれなければならないし、嫌われないように生きていかないといけないという思いに囚われていました。
人に迷惑をかけないように…日本人の持っている気質がそうさせているのかもしれません。でも自分に敵対してくる人にわざわざフォーカスするのではなく、自分を愛してくれる人や応援してくれる人を大切にしたいじゃないですか。新曲はそんな思いを込めて作りました!少し言葉も強めなんですけれど、こういう僕も皆さんにみてもらえたらと思います。
不幸になるなんて決めつけず、どうしたら自分が幸せに生きていけるか考えて
    僕のような性的マイノリティの問題を抱えている子たち、その親御さん、ほかにも、ひとと違うことで苦しんでいる子…たくさんいると思います。僕自身もSNSや他人からの中傷に苦しめられ、自信を失った経験をしたけれど、1度きりの人生で、僕のことを大切にしてくれない人のために大事な時間を使うなんてもったいない。言わせたい人には言わせておけばいいと思います。
たとえば、LGBTQ+だから幸せになれないって言われたとして、見方や、場所を変えたら、何も諦めなくてもいい状況も作れます。別に病気でもないし、お父さんやお母さんの責任でもない。ましてや、それで子どもが不幸になるって、親御さんたちも思わなくてもいい。問題を抱えている当事者が、どうしたら自分が幸せになれるか?それだけを考えて生きていければいい。楽しく生きましょう!
新曲「262」リリース 来春からはツアー予定も
2025.9.17
SHINJIRO ATAE / 262
Streaming & Download
https://SHINJIROATAE.lnk.to/262
Music Video On YouTube
《SHINJIRO ATAEアーティスト活動再開後初のライブツアー&ライブ前夜祭トークショー開催決定!!》
🔷< SHINJIRO ATAE Talk Show 2025-2026 -The Night Before the Concert->
【公演日程・会場】
◆2025年12月20日(土)【大阪】 松下IMPホール
◆2025年12月21日(日)【東京】 有楽町よみうりホール
◆2025年12月27日(土)【愛知】 ウインクあいち ⼤ホール
◆2026年1月17日(土)【福岡】 UNITEDLAB
🔷< SHINJIRO ATAE Live Tour2026>
【公演日程・会場】
◆2026年4月26日(日)【愛知】Zepp Nagoya
◆2026年5月1日(金)【大阪】Zepp Osaka Bayside
◆2026年5月9日(土)【福岡】 Zepp Fukuoka
◆2026年5月17日(日)【東京】Zepp Haneda
與真司郎さんprofile
1988年生まれ。京都府出身。男女混合のパフォーマンスグループ、AAA(トリプル・エー)のメンバーとして、2005年デビュー。2021年、グループ初となる6大ドームツアーを終えたタイミングで本格的な活動休止に入る。2023年7月26日、無料招待したファン約2000人の前で自身がLGBTQ+の当事者(ゲイ)であることを公表しアーティスト活動を再開。その功績によりNewYork Timesで世界に影響を与えた人々12人に選出される。現在はソロ活動の他、アパレルや雑貨、アクセサリーなど、自身のライフスタイルを幅広く表現するブランド「446-DOUBLE FOUR SIX-」のブランドプロデューサーとしても活躍中。
撮影/加治屋圭斗 ヘアメーク/Maki Sato Stylist/SUGI(FINEST) 取材/竹永久美子
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