吉高由里子さん(37)本当は“大人”っていないのかも「だれでもその歳になるのは初めての経験」
ナチュラルな佇まいと繊細な感性&表現力で、幅広い層から支持を集める吉高由里子さん。NHK大河ドラマ『光る君へ』のまひろ(紫式部)役も大好評だったチャーミングな実力派が、舞台に出演します。作品は、矛盾を抱えた人間や社会のありようを、ユーモアを織り交ぜつつ鋭く描き出す劇作家・演出家の蓬莱竜太さんの新作『シャイニングな女たち』。吉高さんに、稽古を前にした心境やリフレッシュ法、自分らしさなどについて伺いました。
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――2022年の『クランク・イン!』以来、3年ぶり4度目となる舞台で、念願だった蓬莱作品に挑まれる吉高さん。出演が決まった時どう思われましたか?
まず、前回舞台をやってから3年も経っていることに驚きました。その分、身体の酸化も進んでいるんだなと実感しますね。本当は私、舞台が恐ろしくて、できれば立ちたくないと思っているんです。でも、ずっとやってみたいと思っていた蓬莱さんとご一緒できるチャンスが巡ってきて、私のスケジュールもちょうど空いていたので、これはもう、やらなきゃいけない運命的な作品なんだなと。
――吉高さんでも舞台は怖いのでしょうか?
怖いです。もちろん、ドラマや映画もずっと怖いんですけど、やっぱり舞台は生で、やり直しができないじゃないですか。それに、4回目ともなると「舞台、あんまり慣れてないんで」っていう魔法の言葉がそろそろ使えなくなってくるというか(笑)。それじゃもう済まされない、「いやいや、もう4回目でしょ」って言われるぐらいの数なのかなと感じていて、それもまた新しい恐怖になっているんですよね。でも楽しみでもあります。今回は女の人が多いカンパニーですし。
――大学時代の女子フットサル部の後輩の死を巡って、現在と過去を行き来しながら、主観の不確かさや現代の生きづらさを描き出す本作品。吉高さんは座長として、どんなカンパニー作っていきたいですか?
自分が座長だなんて思ってないです! 舞台だけじゃなくて、映像の仕事でも「自分が引っ張らなきゃ」と思ったことはないですし。自分にとってラッキーなポジションを見つける嗅覚はいいほうなので、今回も甘えられる場所を探そうと思います(笑)。山口紗弥加さんがフットサル部の顧問の役で出演されるので、ベタ甘えしちゃいそうな予感がします(笑)。
――吉高さんにとって、舞台はどういう場所でしょう?
くじけそうな自分を立て直す精神力が鍛えられる場所なのかなと思います。やっぱり自分のせいで現場を止めたくないじゃないですか。もちろん、それはどの現場でも思うことですけど、特に舞台はやり直しができないので、集中力と体力もすごく使うし、普段以上に風邪とか怪我にも気を付ける期間だったりしますね。観る側としては、現実の世界とは違う場所に連れて行ってもらえる場所。お芝居の世界に、自分も一緒に連れて行かれるような感覚が楽しいですよね。今回の舞台は、過去と現在を行き来する物語なので、お客様をその時代とか場所に連れ回したいなと思います。観ている方が、その時代の自分のことをふと思い出しちゃうぐらい、ぐいっと連れていけたらいいのかなって。
――ご自身にもそういう経験があるのですか?
あります。お芝居を観ながら、そのシチュエーションと重なっている自分の過去の経験を振り返っていたんです。自分がその時代に連れ戻されたような感じになって、こういう感覚も、お芝居をやったり、観に行ったりする時の魅力とか醍醐味なんだろうなと思いましたね。
――現在37歳の吉高さん。40代に向かっていく中で、何かご自身の中で変わってきているなと感じることはありますか?
それが全然ないんですよ。何も変わっていないことが怖い(笑)。私は成人してからずっと、どういう大人になっていくんだろう?って思っているんですけど、考えてみたら、20代の頃から自分の環境も遊び方も、飲み方も食べ方も変わってないんですよね。それで最近、「大人って誰もいないんだな」と思い始めました。誰でもその年齢になるのは初めての経験だし、みんな「変わらないといけない」という思考と「変わりたくない」という思考と「変わってしまった」という結果をまといながら、一つ一つ歳を重ねているだけの子どもなんだろうなって。もしも子どもを持ったりしたら、「ちゃんと大人にならなきゃ」とか「大人の役を演じなきゃいけない」と思う自分が出てきて、変わるのかもしれないですけど、なんかずっと変わらないことをしているなって感じます。
――着る物の好みもあまり変わらないですか?
そうですね。基本的に好きなものはあんまり変わらないです。レザーのジャケットが大好きになったり、グッチにハマったり、セットアップばっかり着ていた時期があったり……っていうような、自分の中でのブームはあるんですけど、昔から世の中の流行りはあんまり気にならないタイプで、いまだに15年前に着ていた服も持っていたりします。何も考えずに着て、「えっ、ちょっと待って。これ、22歳の時も着てない!? えーっ!」みたいなことがあるので、それもちょっと怖いですけど(笑)。
――変わらぬ自然体も言葉のチョイスも、とても魅力的な吉高さん。自分らしさを保つために気を付けていることがあったら教えてください。
特にないです。頑張っても続かないじゃないですか。私は昔から、こういう自分でいたいとか、理想の女優像みたいなものがないんです。もしもあったとしても、きっと、とっくにほころびが出てバレていると思いますね(笑)。ただ、すごく若い時にお仕事をご一緒した役者さんに大人になってから会うと、結構びっくりされたりはします。「ちゃんとできるようになったね」って(笑)。年齢も年齢だし、さすがにそういうところは変わったかもしれないです。自分がしゃべっている昔の動画とかが残ってたりすると、ゾッとしますもん。全然ちゃんとしゃべれてないから(苦笑)。
――本作品では、SNSも重要な鍵になるとのこと。吉高さんは何かSNSを使っていらっしゃいますか? その際に気を付けていることはありますか?
私はXをやっていて、TikTokも結構見ますね。でも、気を付けていることは特にないかも。どちらかというと、SNSよりもAIのほうが怖いですよね。AIが働き過ぎて、スマホでちょっと調べ物をしただけでも、関連することばっかり出てくるから、ずっと監視されてるみたいじゃんって思ったりします。
【プロフィール】
よしたか ゆりこ/1988年、東京都生まれ。2006 年、映画『紀子の食卓』でスクリーンデビューし、第28 回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。08 年に映画『蛇にピアス』で主演を務め、第32 回日本アカデミー賞新人俳優賞と第51 回ブルーリボン賞新人賞をダブル受賞。14 年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインの村岡花子、24 年にはNHK 大河ドラマ『光る君へ』で紫式部/まひろを演じた。近年のその他の主な出演作は、舞台『クランク・イン!』、映画『きみの瞳が問いかけている』、ドラマ『星降る夜に』『風よ あらしよ』『最愛』など。
【公演情報】
パルコ・プロデュース2025 『シャイニングな女たち』
ホテルで開かれている他人の「お別れの会」に紛れ込み、ビュッフェを食べて帰ることを繰り返していた金田海(吉高由里子)は、ある日その会場で、親友の山形圭子(さとうほなみ)、顧問の川越瑞希(山口紗弥加)ら、自分がキャプテンを務めていた大学の女子フットサル部のメンバーと遭遇する。それは後輩・白澤喜美(桜井日奈子)のお別れの会だった。なぜ自分は何も知らされていないのか? 輝いていたはずの過去が現在と交錯していく……。
作・演出/蓬莱竜太 出演/吉高由里子 さとうほなみ 桜井日奈子 小野寺ずる 羽瀬川なぎ 李そじん 名村辰 山口紗弥加
2025年12月7日~28日/PARCO劇場(渋谷PARCO 8F) 2026年1月に大阪、福岡、長野、愛知公演あり。
https://stage.parco.jp/program/shining/
撮影/加治屋圭斗 ヘア・メーク/中野明海 スタイリスト/申谷弘美 構成・文/岡﨑 香
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