吉高由里子さん、自炊が日々のリフレッシュ「好みの味に特化したいので、ひとりで食べるのが好き」
ナチュラルな佇まいと繊細な感性&表現力で、幅広い層から支持を集める吉高由里子さん。NHK大河ドラマ『光る君へ』のまひろ(紫式部)役も大好評だったチャーミングな実力派が、3年ぶりに舞台に出演します。作品は、矛盾を抱えた人間や社会のありようを、ユーモアを織り交ぜつつ鋭く描き出す劇作家・演出家の蓬莱竜太さんの新作『シャイニングな女たち』。吉高さんに、稽古を前にした心境やリフレッシュ法、自分らしさなどについて伺いました。
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――今回ご出演の舞台は、大学時代の女子フットサル部のメンバーの死を巡って交錯する現在と過去の中に、主観の不確かさや現代社会の生きづらさを浮き彫りにする女性たちの群像劇になるとのこと。脚本を読まれた印象をお聞かせください。
まだ脚本の最初のほうしか拝読できていないんですが(取材時点)、私の役だけじゃなく、みんなの「忘れたいこと」や「覚えていてほしくないこと」も次々あぶり出されていくんだろうなと感じました。それも、じりじりとわかってくるわけじゃなくて、いろんな事件が早い展開でボンボン起こってきそうだなって。恐ろしいことに、フットサルのシーンも出てくるんですよ。読んでいたら、大学時代の場面にいきなり私がシュートを決める描写があって、あれっ!? みたいな(笑)。結構動く感じのお芝居になるのかなあと思って、怯えてます(笑)。
――吉高さんが演じるのは、女子フットサル部のキャプテンだった金田海。社会人となった今は、他人のお別れの会に紛れ込んでビュッフェを食べることが趣味のようになっている……という役柄だとか。
きっと昔の方が日々キラキラしていて、感情の起伏もあったんだろうなというのが、海に対する現段階での印象です。今はたぶん、なんでこんなにむなしいのかもわからないまま、味のしなくなったガムを噛んでいるような日々を送っているのかなって思います。やっぱり自分が嬉しかったり、幸せいっぱいの時って、悲しいものに寄っていかないじゃないですか。逆に、自分に寂しさとか、何かぽっかりと欠落したものがある時は、人の悲しい状況にすごく寄り添える気がするし、そうすることで自分もちょっと救われるんだろうなと思います。
――蓬莱作品への出演は念願だったと伺っています。どういったところに魅力をお感じですか?
蓬莱さんの作品を観ると、自分の感情を底から持ち上げられるというか、忘れかけていた感情が掘り起こされるような感覚になるんです。描写の中に、「なんでそんな質問するの?」って言いたくなるような、子どもみたいなピュアさとか真っすぐさがあるから、まだ自分の扱い方がわからなかった頃の感覚まで甦ってきて。純粋さゆえの凶暴さに苦しくなったり、「今、生きている自分や世界とちゃんと対峙しなよ」と言われているようで、後ろめたさを感じたりもするんですけど、そういうところに魅力を感じます。
――蓬莱さんご本人の印象はいかがでしょう?
作品を観た印象で、か細い声であんまり人の顔を見ないで話すような方なのかなと自分で勝手にイメージしていたら、全然違いました(笑)。柔らかい感じの方なんですけど、結構ハキハキと話されるので、そんな方がどうやってああいう舞台を作るんだろう?と思うと、稽古がより恐怖です(笑)。しかも蓬莱さんは、あんまり陰湿というか、暗くなりすぎずにやってくれるんじゃないかと思って、私を今回の役柄にしたそうなので、どんな暗いことが待っているんだろう!? どういじめられるんだろう!? と思ってます。
――様々な話題作で活躍されていますが、吉高さんは役柄やオンとオフの切り替えがスムーズなほうですか?
そうですね、毎日オンとオフを切り替えてはいますけど、地方にずっと行きっぱなしで、どよんとしたものを撮っていた時に、自分までどよーんとした感じになったことはありました。その時は「うわ、こんなに作品に引っ張られるんだ」って、知らない自分に出会えたというか。まだ稽古が始まっていないので、今回はどうなるかわからないですけど、自分が忘れていたり、目を背けていたりしたものが甦ってきて、何かしらこびりついてくるような気はしています。このお芝居に関わることで、良くも悪くも、何かが残って終わるんじゃないかなって。
――吉高さんご自身にも、忘れたいのになかなか消えてくれない人間関係の苦い思い出があったりしますか?
あると思うんですけど、やっぱり傷つけた側の記憶って薄れてきちゃうんですよね。それが一番ショックだったりします。傷つけられた側は、きっとその時の声のトーンまで鮮明に覚えていると思うんですけど、傷つけた側は、その時は傷つけてしまったことに自分も傷ついて悲しくなるのに、時間が経つと記憶が薄れていったり、都合のいいように塗り変えたりすることが多いように思います。それを思い出して、また苦しくなったりするんですけど。
――そんな吉高さんのリフレッシュ法は何でしょう?
やっぱり、おいしいものを食べることですかね。現場に入っている時だと、晩御飯は現場のお弁当になることが多いんですけど、早めに終わった時とかは、やっぱり「おいしいのが食べたいな」って思います。おいしいものは、自分へのご褒美とか、モチベーションにもなりますよね。
――特に好きな食べ物、最近ハマっている食べ物があったら教えてください。
もう時期は過ぎちゃいましたけど、この間までイクラにハマってました。というか、自分で筋子をほぐして、イクラに変身させる作業が大好きなんです。なかなか共感されないことだと思いますけど(笑)。あと、夜な夜な料理するのも楽しいです。
――まめに自炊をなさるのですね。
私、スーパーに行くと、すごく買っちゃうんです(苦笑)。1回行くと、1週間分くらいの量を買っちゃったりするので、まめというよりは、悪くならないうちに作り続けて食べるという感じですね。材料を冷凍したり、作ったものを冷凍すればいいのかもしれないけど、冷凍するとそのまま忘れて、ネタが凍死しちゃうんですよ(苦笑)。だから、もう向いてないんだなと思って、せっせと作りきるようにしていて。
――なるほど(笑)。たくさん作って、どなたかに振る舞ったりすることは?
たまたま多く作っちゃって、「作り過ぎたんだけどいる?」って声を掛ける友達は何人かいますね。でも、自分で作ったものは一人で食べる方が好きかもしれない。そのほうが、みんなが食べられそうな中間の味じゃなくて、自分が好きな味、自分に特化した味にできるじゃないですか。そういえば昨日、ビビンバを作ったら辛くし過ぎちゃって。でも味はめちゃくちゃ美味しかったです(笑)。
ーーー後編へ続きます
プロフィール
よしたか ゆりこ/1988年、東京都生まれ。2006 年、映画『紀子の食卓』でスクリーンデビューし、第28 回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。08 年に映画『蛇にピアス』で主演を務め、第32 回日本アカデミー賞新人俳優賞と第51 回ブルーリボン賞新人賞をダブル受賞。14 年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインの村岡花子、24 年にはNHK 大河ドラマ『光る君へ』で紫式部/まひろを演じた。近年のその他の主な出演作は、舞台『クランク・イン!』、映画『きみの瞳が問いかけている』、ドラマ『星降る夜に』『風よ あらしよ』『最愛』など。
【公演情報】
パルコ・プロデュース2025 『シャイニングな女たち』
ホテルで開かれている他人の「お別れの会」に紛れ込み、ビュッフェを食べて帰ることを繰り返していた金田海(吉高由里子)は、ある日その会場で、親友の山形圭子(さとうほなみ)、顧問の川越瑞希(山口紗弥加)ら、自分がキャプテンを務めていた大学の女子フットサル部のメンバーと遭遇する。それは後輩・白澤喜美(桜井日奈子)のお別れの会だった。なぜ自分は何も知らされていないのか? 輝いていたはずの過去が現在と交錯していく……。
作・演出/蓬莱竜太 出演/吉高由里子 さとうほなみ 桜井日奈子 小野寺ずる 羽瀬川なぎ 李そじん 名村辰 山口紗弥加
2025年12月7日~28日/PARCO劇場(渋谷PARCO 8F) 2026年1月に大阪、福岡、長野、愛知公演あり。
https://stage.parco.jp/program/shining/
撮影/加治屋圭斗 ヘア・メーク/中野明海 スタイリスト/申谷弘美 構成・文/岡﨑 香
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