母親がこんな格好を…と言われても。今夜はこの「ワンピース」が着たい【年末特別エッセイ①】

駆け抜けた2025年も残すところあと1カ月。何かしらのモヤモヤを抱えながらも、本当に本当に頑張った私たち。だから、年末の仲間との集まりには「母らしさ」を脱ぎ、好きなワンピースで出かけませんか?
作家・コラムニストの山本理沙さんのエッセイと共に、モデル・蛯原友里さんの【年末ワンピ】をご紹介します。

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母を脱ぐ時間、私を着る時間

「母親がこんな格好をして」

そう言われても今夜は構わない。むしろ、少し後ろ指をさされるくらいがちょうどいい。背徳感はスパイスになるから。

手に取ったのは背中が大きく開いた黒のワンピース。普段ならためらう一枚を、今夜はためらわずに着た。誰に見せるわけでもない。でも、もしも誰かの視線を浴びるなら、それも悪くない。赤いリップを強めにひいた唇も挑発的だ。

一年間、母として、妻として、社会人として走り続けた。でも今夜だけは全部忘れる。夜ご飯も作らない。その事実はどんな美容液より私を潤してくれる。

イルミネーションに照らされたガラスに自分の姿が映った。いつものエプロン姿とは別人の、艶やかな女。思わず「まだ捨てたもんじゃない」と心の中でつぶやいた。

ついさっきまで反抗期の子どもの言葉に振り回され、疲れた溜息を吐いていたなんて誰が想像できるだろう。朝はお弁当を詰め込んでいた指先のネイルも整え、これからグラスを掲げてシャンパンを飲む。そして思いきり声を上げて笑うのだ。

ヒールの音を響かせて歩くと、街が私を主役として迎えてくれているような気がした。ワンピースが冷たい夜風に吹かれて肌に寄り添うたび、母の鎧が剝がれ落ちていく。

母を脱ぎ、ひとりの女として夜に溶け込む――

その高揚感は、一年を走り抜けた自分へのご褒美。何にも代えがたい瞬間。

大好きな甘ゴコロはしっかり満たしつつ、軽やかなスポーティ×モードな立体フォルムのバランスが絶妙。ママ友から一目置かれそうな唯一無二のワンピ。ワンピース¥71,500(オダカ/エスアンドティ)バッグ¥152,900(ピエール アルディ/ピエール アルディ 東京)ブーツ¥221,100(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス)ピアス¥19,800(アドーア 六本木ヒルズ店)

ロングチェーンの揺れ感で、バックスタイルがエレガント

大胆なカッティングのワンピースには、シアーなトップスで透け感をしのばせて。ロングチェーンが映える後ろ姿が素敵。

ワンピース¥86,900(ユニーフ/アドーア 六本木ヒルズ店)チュールメッシュトップス¥11,000(ル フィル ニュウマン新宿店)バッグ¥163,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス)パンプス¥183,700(ピエール アルディ/ピエール アルディ 東京)ピアス¥72,600(プリュイ/プリュイ トウキョウ)

Lisa Yamamoto

作家・コラムニスト。STORY webや東京カレンダーWEBなど、さまざまなメディアで人気連載を多数執筆、女性のリアルな心情を描いた作品が人気。プライベートでは6歳の男の子ママ。最新刊『私の夫はクズ旦那』(講談社、電子書籍)が発売中。

撮影/三瓶康友 モデル/蛯原友里[身長:168㎝] ヘア/Dai Michishita メーク/AIKO ONO スタイリスト/竹村はま子 取材/石川 恵 ※情報は2025年12月号掲載時のものです。

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