モデル鈴木えみさん 令和の性教育は私たち親世代とあまり変わっていないかも?社会の中のギモンに気づく視点を養いたい【第2回】
クールな眼差しと圧倒的なオーラを放つ美しさは以前のまま、「えみちぃがアラフォー!」と話題に。STORY世代なら、ありし日、彼女が表紙を飾る雑誌を何度も手に取ったことがあるはず。そんなカリスマモデルでクリエイターとしても活躍する鈴木えみさん。11歳の女の子のママでもある彼女が、自身の子育て経験から、1つの大きなプロジェクト「いのちの授業『FamilyHeartTalks』」を始動。その活動内容や、活動に対するパッション、これから描く未来などを伺いました。(第2回/全3回)
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モデル鈴木えみさんおすすめ本で子どもと一緒に親世代も令和の性教育にアップデート【第3回】
—-ジェンダーギャップや男女の役割の固定観念など、子どもの頃から会話の端々に違和感を感じていたそうですね…
「私自身、例えば生理の話をするのが恥ずかしいという感覚はあまりなくて、娘にも生理前や生理中であること、例えばPMSでのだるさや眠気などもオープンに話して、女性の体に当然起こりうることを積極的に話しています。学校や地域差も関係するかもしれませんが、そもそも小学校での性教育のレベルが私が子どもの頃とそれほど変わってなくてびっくりしました。子どもの頃から、男の人はこうあるべき、女の人はこうあるべきっていう固定観念やジェンダーギャップなど、会話や日常生活の中ですごく気になるタイプで、昔から関心を持っていました。体育の着替えが小学校の低学年では同室だったり、急な生理で生理用品を保健室まで行かなければもらえなかったり、宿泊学習で大浴場が苦手な子もいるのに一斉入浴だったり…。令和の今だからこそ、教育機関や社会の中に点在する問題に、イベントなどでおかしいと思うことに気づく視点を皆さんと共有し、種をまくことがまずは大事だと思います」。
令和の性教育、実は私たちの頃とあまり変わってない… 社会の中で「あれっ?」やギモンに気づく視点を 親も子も主体的に学んでいくことも重要!
—-学校で習う性教育のレベルが全く変わってないですよね。
「思春期にホルモンバランスが変化して、大人の体へと変化します、月経が始まる、精通がある、という次の項目がもう、急に妊娠の話になっちゃうんですよね。妊娠、避妊は取り上げるけれど、その間、どうしたら妊娠するのかっていう具体的なところに関して、教えない学校が多いような気がします。みんなの体が成長して、いろんなことに興味が湧いて、自分の体も友人たちの体も変化する。避妊や妊娠、出産に関する知識がないままでは、危険なことを犯すこと、被害者・加害者など当事者になりうること、知識があれば回避できることもあるはずなんです。でも、学校ではなかなかそこまで性教育を網羅するのは実際は難しいとも思っています。結局、わが子は日々どんどんと成長していくので、家庭内でしっかり学ぶ機会を持って、補完していくしかないですね」。
—ご家庭やイベントで、具体的にどんなことを教えていますか?
「自分の心や体を大切にすることも、相手の心や体を大切にすることも、それは単に性交渉にまつわることだけじゃなくて、大事にしようと教えています。私たちのイベントのメインターゲット層である3歳から8歳の子たちには、プライベートゾーンについてをまず、教えることも重要です。自分で思う・考える『普通』は必ずしも相手の普通じゃないから、同意を得ることが重要だとも教えています。例えば、同じことをされてもいい日、オッケーな日もあればダメな日もある、嫌な日があるよねとか、見せても、触らせても、触ってもダメなんだよっていうことだったり。法律も変わってきてるので、本当にダメなことは何なのか、家庭で主体性を持って教えて、親自身もお子さんとの関係の中で情報をアップデートしておくことも必要ですね。
子どもは、自分の身にまだ起きてないことだと、教えてもすぐに忘れちゃうんですよ。定期的に、その成長レベルに合わせて、以前に話したことも、もうちょっと詳しくても理解できそうだな、分かるようになったかな、と反応を見つつ、知識を徐々に濃くしてきました。時にはお友達も招いて、その親御さんにそういう話をしていいか了承を経てから、一緒にやると、1人で聞くのと空気感が違って忘れにくいので、お友達と一緒に学ぶこともおすすめですね。
今は、いい本や絵本など性教育を伝える選択肢があるから、大いに活用するといいですね。ドラマのラブシーンとか、親が急にチャンネルを変えたりするのはあるあるの話ですが、なんとなくダメなことなんだ…とはわかりますが、でもそれって本質は全く伝えてませんよね。じゃ、その本質やリアルなことを思春期に入って突然教え始めたら、「キモっ!」と一蹴されて聞いてもらえないのがオチなので、受け入れにくい年頃に入る前に、直接的な話まではしなくても、ふだんから性の話する機会を持ち、何かあった時、困った時に、親が受け入れたり相談に乗ってくれるという環境・関係づくりをしておくといいですね。
鈴木えみさんProfile
モデル/クリエイター/デザイナー
1985年生まれ。1999年に雑誌「SEVENTEEN」の専属モデルとしてデビュー後、数多くのメディアで活躍し、同世代のアイコンとして人気を博す。デザインプロジェクト「LautashiDesign」のディレクター、クリエイターとしての活動も多岐に渡る。
プライベートでは一児の母。子育ての経験から幼少期における教育の大切さを実感し、「いのちの授業『FamilyHeartTalks』」を発足させ、性教育の重要性を発信。
最新の情報や、保護者からの質問に答えたお役立ちQ&Aなども必見!
IG⇒https://www.instagram.com/family_heart_talks/
撮影/杉本大希 ヘア&メイク/kyoko スタイリスト/鈴木美智恵 取材・文/羽生田由香