弘中綾香さん「母だけを生きることがしんどかった」妊娠判明時や産後の“リアル”な心情を吐露

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2歳の女の子ママである、アナウンサーの弘中綾香さん。妊娠判明から出産、子育て、職場復帰してからを「備忘録として」綴っていた文章が、先月エッセイ本として発売されたばかり。「母だけを生きることが自分はしんどかった」という表明にハッとしました。働くママ、弘中さんのリアルなお話を伺いました。

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「弘中綾香」として
32年間生きてきたのって
何だったんだろう?って

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デニムジャケット¥38,500デニムパンツ¥39,600ソックス¥4,180(すべてハイク/ボウルズ)ブラウス¥19,800(ホワイト)ピアス¥22,000(エトワライト)手首側リング¥17,600(アグ)指先側リング¥33,000(ノムグ)ベルト¥14,300(レフィエ/フラッパーズ)スニーカー¥27,500(ノヴェスタ/ノヴェスタ ジャパン)

マジか、から始まった妊娠、
出産・育児という人生最大の
試練の先で出会ったのは…

─妊娠が判明した際の「マジか」という一言。単純にうれしいだけではなく、さまざまな感情があったのかと思います。

初めての妊娠で、この先の道のりが見えないことがとにかく不安でした。その中でもやっぱり、「仕事どうしよう」という感情が一番大きかったですね。引き継ぎについても考えましたし、休むことで仕事仲間に迷惑をかけるだろうという思いもありました。妊娠して「申し訳ない」という感情が芽生えるなんて、自分が経験するまで気づきもしませんでした。先輩が妊娠を打ち明けてくれたときも、「おめでとうございます〜!いつからお休みですか?」なんて、ただ喜んでいましたが、私のような後輩に打ち明けるまでに、いろんなステップを踏む必要があったのだろう…と今は感じます。

─その感情はどう整理していったのでしょうか?

これまでのことを自分なりに振り返ってみて、納得した部分がありました。10年間働いてきて、仕事に対して自信もついてきた時期だったんです。そんなタイミングで、おめでたい理由で休むことになったとしても、「これまでがあるから、誰にも文句を言わせない」と気持ちを強く持つようにしました。そのうえで、安定期に入って妊娠を報告したとき、多くの人に祝福してもらえて。そのとき初めて、妊娠の喜びをきちんと実感できた気がしました。

─「マジか」と思うような瞬間は、産後にもありましたか?

いくら子どもが可愛くても、それだけでは頑張れない瞬間があるんだ、ということを産後に思い知りました。子どもに対する責任がすべて自分にあって、それが24時間続く。その生活が、想像していた以上にしんどかったんです。意思疎通のできない赤ちゃんと二人きりで、一日中家の中にいる生活がいきなり始まって。「これまで『弘中綾香』として32年間生きてきたのって、なんだったんだろう」と、社会から取り残されてしまったような気持ちになりました。当初から会社には「11月に出産して、次の4月には戻りたくなると思います」と伝えていましたが、予想どおり、生後5カ月で保育園に預けて復帰しました。

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─「取り残されている」という感情は、誰かに打ち明けられたのでしょうか。

ほとんど誰にも言わなかったです。夫にすら打ち明けませんでした。ホルモンバランスの影響もあって、当時は夫のこともあまり信頼できなくて(笑)。それに、夫にとっても育児は初めてのこと。二人であたふたするくらいなら、産後ケア施設に行こうと思いました。そのほうが私もたっぷり寝られて、ちゃんと休めるので。父も母もまだ仕事をしていることもあって、里帰りはしませんでした。だからその分、いろんなサービスを使って、その道のプロに育児を手伝ってもらおうと考えていました。助産師さんはいろんなことに詳しいし、とにかく優しくて。本当に甘えさせてもらいました。

─ここまでお話を伺っていると、弘中さんは、あまり人と比べずに、ご自身の判断軸で子育てをされているように感じます。それでも、子育ての情報があふれる中で心が揺れるような場面はありましたか。

離乳食で、一度大きな壁にぶち当たりました。お豆腐やおかゆといった「白いもの」しか食べてくれない時期があって。SNSを見ると、手の込んだ離乳食を毎回用意している人に、どうしても目がいってしまうんです。クマちゃんの形をしたご飯に耳までついているとか。そういうのを見るたびに、「もう無理!」って思いました。でもそんなときに保育園の先生に相談したら、「今は食べる練習をしている時期なので大丈夫」「給食は残さずに食べていますよ」と言ってもらえて。それですごく安心しました。それからは、オロオロするようなことがあったら、すぐに保育園の先生やシッターさんに打ち明けるようにしています。「大丈夫」と言ってもらえたら、それを信じる。そういうスタンスになりました。

─お子さんは昨年2歳に。そろそろ主張が増えて、親の余裕が試される場面が増えてくると思いますが、どのように対応されていますか?

何を聞いても「やーだよ」と言う時期に突入しましたが(笑)、私も大体のことは「まあいいか」で片付けてしまっています。最近は、保育園に行くにも着替えを拒否することがあって。特にかぶりの服がイヤで、パジャマみたいな前開きの服が好きなんです。やっと着替えてくれたと思ったら、大事にしているおでかけ着だったりもします。でも、それで保育園に行ったとしても、まあいいか、と。ちょうど昨日も、保育園の帰りに「パンが食べたい」と言い出しました。家にはすでに夕飯を用意してあるし、パンで満腹になってしまうかもしれない。でも、それならそれでいいかと。毎日が、だいたいそんな感じです。

─「まあいいか」が自然に出てくるところが、弘中さんらしいですね。

もともと、仕事に対しては常に100点を目指していたんです。でも出産して、それは無理だと気づきました。仕事も育児も、どちらも60点で万々歳。生活が回っていれば、それで十分だなと。仕事については時間の制約がはっきりあって、基本的には保育園のお迎えまで。だからできる量は限られています。量を増やすことは難しいから、できる範囲の中で質を上げていくしかない。そうやって頭を切り替えながら、気持ちのほうは、書くことで整理してきた気がします。もともと書くことが好き。特に初めての出産って、もう二度とないじゃないですか。日々忙しく過ごす中で、昔のことって本当にあっという間に忘れてしまう。だから、備忘録として残しておきたかったんです。この本も、当時書き留めていたものを、個人的な感想としてそのまま出しているという感覚に近いです。それから、もう一つ大きいのは、娘の存在かもしれません。いつか娘にも読んでもらえたらいいなと思っています。「私には無理だと思っちゃった」と率直に書いてあるところも含めて、面白いなと思ってもらえたらうれしいです。

弘中綾香さんが愛用しているサンバリアのUVパーカとホワイトノイズが流れるスピーカーとオーガニックのオートミール
弘中さんが子どもに読み聞かせしている絵本

自転車送迎に欠かせないサンバリアのUVパーカ。ホワイトノイズが流れるスピーカーは「今は私がこれなしでは眠れません」。オーガニックのオートミールは娘さん超お気に入りのおやつ。読み聞かせも親子の大切な時間です。

◼︎弘中綾香さん
1991年神奈川県生まれ。2013年テレビ朝日に入社。「ミュージックステーション」、「あざとくて何が悪いの?」など人気番組を担当。’23年に第1子を出産、5カ月後に職場復帰。

弘中綾香さんのエッセイ本「たぶん、ターニングポイント」

第1子の妊娠、出産、
子育てを赤裸々に綴ったエッセイ

『たぶん、ターニングポイント』
妊娠中の不安、産後の覚悟と救い、おっぱい問題、孤独感、復帰へのハードル…「これまでの私」と「母としての私」のあいだで揺れる、弘中さんのリアルが詰まった一冊/朝日新聞出版

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撮影/須藤敬一 ヘア・メイク/木部明美(PEACE MONKEY) スタイリング/山本有紀 取材・文/樋口可奈子 編集/中台麻理恵
*VERY2026年3月号「弘中綾香さん仕事と母親、どっちも60点で万々歳!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。