俳優・田中麗奈さん「平凡と思っていても、掘り下げれば“らしさ”が見える」
俳優・田中麗奈さんは4月3日公開の映画『黄金泥棒』の中で、平凡ながら「特別な人になりたい」と渇望する主婦・藤根美香子を演じています。センセーショナルな実話を基にした本作、役作りや印象的な場面、美香子が追い求めたものについて伺いました。
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黄金を盗む主婦・美香子をエレガントかつ、スタイリッシュに表現
――主婦が金(きん)の仏具を盗むという驚きの実話からインスパイアされて作られた映画『黄金泥棒』ですが、映画のお話があった当初、どう思われましたか?
実際の事件は2013年に起こっているのですが、私は今回の映画化で初めて知りました。そのときはとても驚きましたし、主婦の方と聞いて「どんな心理なのだろう」とか、人となりや何かあったのかなど、深くいろんなことに想像を巡らせました。「なぜ?」という思いがずっとあったのですが、その不思議な感覚は、作中で美香子が口にする「(おりんを叩いたときの音が)あまりにもいい音だったので」という一言でも表現されていると思います。
――平凡な主婦として登場する藤根美香子を演じるにあたり、どのように役作りされましたか?
実際に起こった事件ではありますが、おりんを返して以降のストーリーは萱野孝幸監督がオリジナルでのびのびと描かれています。そのぶん、私も事件に囚われることなく美香子を演じようと思い、さまざまなトーンやパターンを自分の中で準備して臨みました。その後、監督との本読みの段階で擦り合わせながら最終的な藤根美香子というキャラクターの色やフォームをはっきりとさせていきました。
――監督と擦り合わせる中で、藤根美香子というキャラクターを決定づけた言葉はありましたか?
監督はこの映画を「1960年代のようなゴージャスなアメリカ映画のように作りたい」とおっしゃっていました。私もこの作品の話をいただいたとき、すぐに連想したのがオードリー・ヘプバーン主演の『おしゃれ泥棒』という映画作品。監督からもシャーリー・マクレーン主演の『泥棒貴族』というクライム・コメディ映画の名前が出てきて、お互いの共通の認識としてエレガントな雰囲気やクラシカルな要素はありました。
金(きん)を泥棒する=自分の人生を取り戻すこと
――では作品を撮っている最中、また出来上がった作品を観て、田中さんの中で印象的だったシーンはどこでしたか?
映画の中盤に美香子は豊臣秀吉の金茶碗(きんちゃわん)を盗む決意をするんですが、そこからはスイッチが入り、活き活きとして見えるように演じました。実際に作品を観たときもキャッスルに入るところから美香子が結構悪い顔をしているんですよね。金茶碗を狙う盗人の目つきというか、自分でも「悪い顔してるな!」って驚きました(笑)。作品に入る前から感じていたことは、彼女にとって金(きん)とはただの物質ではなく、それを手に入れることで自分の人生を取り戻すことと同じように捉えていたんじゃないかということ。実際、作戦をやり遂げるために奔走する彼女の集中力や計り知れないエネルギー、それらの爆発力はそこから来ているのだと思って演じています。
恵まれているように見えて「幸せではなかったのかも?」
――確かに、映画の冒頭では「私にしかできないことってなんだろう」と思いながら家でゴロゴロする美香子ですが、中盤からはどんどん俊敏になっていきます。映画の最初と最後では、美香子の中でどんな変化があったと思われますか?
例えば、初めは立派な家に住み、稼いでくれる夫もいて、何不自由ない専業主婦生活を送っているように見えますが、クライマックスではそこから大きく状況が変わります。見る人によっては多くのものを失った、美香子は不幸になったと思う人もいるかも知れませんが、私は当初の美香子の生活が「彼女にとっては幸せではなかったのかも?」と思わざるを得ません。物質的なものには恵まれていても、心の状態はどうだっただろうかと。
ことの発端は金(きん)のおりんを盗んだことから始まりますが、そこから夫婦間のトラブルが生じ新たな目標を見つける。そしてそれに向かって夢中になった時間ややり遂げようとする推進力、それに伴う心の豊かさや充実感が後半に進むにつれ美香子らしさとなって溢れ出します。それが彼女の中で宝物になっていったのだと思います。
――美香子を通して感じた「自分らしさ」について、田中さんご自身はどう思われますか?
泥棒はしなくても、些細な選択やきっかけから思わぬ自分の一面と向き合うことになるのは誰しもあると思います。自分の人生を「平凡だ」と思い込んでいる人でも、深く掘り下げることでその人だけの個性やこだわり、「らしさ」がちりばめられた日常がある。映画を通して、改めて自分のことを知り、らしさを受け入れながらそれらと付き合っていくことの大切さを再確認しました。
――では最後に田中さんがこれから見せたい俳優としての姿を聞かせてください。
今回は久しぶりのコメディであり、ちょっと天然なところのある役を演じていますが、ここからさらに違った一面を見せたいですね。ありがたいことに体も元気ですし、休日はアクティングクラスへ出かけたりしていて「まだまだ動けるぞ!」という感じなので、アクションとかやりたいですね。パニックムービーなど、一日中走り回って汗水垂らして、体張って撮影したり、そんな作品もやりたいと思うところです。
PROFILE
たなか・れな 1980年5月22日福岡県久留米市生まれ 1998年初主演映画『がんばっていきまっしょい』で第22回日本アカデミー賞新人俳優賞、第41回ブルーリボン新人賞受賞。その後も多くの映画や舞台、ドラマなどで活躍。今後は4月28日放送開始のNHKドラマ10「コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店」(毎週火曜22:00~)への出演が控えている。
平凡な主婦・美香子に共感できる!? できない!? 100億の金茶碗(きんちゃわん)を巡るクライム・コメディ

2013年、とあるデパートで発生した主婦による金(きん)盗難事件をもとに、時を経てまさかの映画化。普通であることがコンプレックスの主婦・藤根美香子は金(きん)のおりんをきっかけに、周囲を巻き込んで盛大な犯罪を計画。思いもよらない展開の連続に自分らしさを炸裂させる美香子を田中麗奈さんが熱演。4月3日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国公開。
撮影/堺 優史<MOUSTACHE> ヘア・メーク/RYO<TRON> スタイリング/岩田麻希 取材・文/松倉和華子
ジャケット¥53,900(ヴェニット/ハルミ ショールーム)スカート¥29,700(デ・プレ)ネックレス¥105,600(エンド カスタム ジェエラーズ×ハイク/ボウルズ)ピアス¥2,750リング¥3,630(シースキー/ロードス)
SHOP LIST
デ・プレ ☎︎0120-983-533
ハルミ ショールーム☎︎03-6433-5395
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