申真衣さん「空いているからといって予定を全部人に渡さない」“余裕のある人”が手放しているもの

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「余裕のある人」に憧れるけれど、現実は仕事も恋愛も美容も人間関係も、全部に追われて精一杯。何もかも中途半端に感じて、理想の自分から遠ざかっているように思うこともあります。今回は、CLASSY.世代が憧れる先輩・申真衣さんに、完璧を目指すのではなく、自分の余白を守るための「取捨選択」について教えてもらいました。

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余裕がある人って、 常に自分の中に「余白」を持っている人

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余裕があるように見えるのは、 「要らないこと」を 取捨選択をしてきたから

「余裕がある人」って、どういう人だと思いますか?

私なりの定義では、余裕がある人とは、時間でも幸福感でもエネルギーでも、人に分け与えられる人。自分がいっぱいいっぱいだと、人に何かを渡すことはできないですよね。常に自分の中に「余白」がある人だと思います。そういう意味では、私自身は全然余裕がない(笑)。友人や仕事仲間に分け与えてもらっていることの方が多いから。「余裕があるように見える」と周りから言っていただくことが多く、ずっと不思議なのですが、ではなぜそう見られるのかというと、たぶん「多くを望んでいない」からだと思うんです。あれもこれも欲しい、全部手に入れたいと思うと焦りが出る。私は早い段階から「これは要らない」「今じゃなくていい」と取捨選択してきたので、それが余裕に映るのかもしれません。

申真衣さん
申真衣さん
申真衣さん

20代後半は友人とはヨーロッパに行くことが多かったです。これらはロンドンやパリに行ったときのもの。社会人5年目くらいで、金銭的にも、ちょっとだけ余裕が出てくる時期でもありました。大げさな贅沢じゃなくて、「旅行行こうか」っていう話が現実的になる感じ。気軽にどこかに行って、そこで笑って、また帰ってきて働く。そういうリズムがすごく楽しかった記憶があります。

取捨選択、具体的にはどんなことをしてきましたか?

たとえば2人の娘がいるのですが、大人気のテーマパークなど子連れファミリーが行く場所には、あえて行かないようにしています。混雑で疲弊するくらいなら、その時間を別のことに使いたい。「みんながやっていること」を自分もやらなきゃとは思わないようにしています。子どもの誕生日も、お祝いすること自体は大切にしていますが、飾り付けに凝ってお友達をたくさん呼んでワイワイするパーティーを毎回開くことはしない。大切な人とお祝いできれば十分です。スケジュール管理で意識してきたのは、「空いているからといって予定を全部人に渡さない」こと。空き時間は自分のためのものだから、全部埋めなくていい。何も予定がない時間も必要。最初は断る罪悪感もありますが、慣れると「自分を守るために必要」と思えるようになります。友人とのご飯は好きですが、適度な時間に帰宅して睡眠を取ると、翌朝の心と体の余裕が違う。だから二次会、三次会はなるべく行かず、早めに切り上げます。ただ帰り際に「今日すごく楽しかった!」と伝えることは忘れない。最後の印象は大事で、気持ちを伝えて帰れば「早く帰った人」ではなく「あの人と話せてよかった」と思ってもらえる。小さな工夫ですが、コミュニケーションは大切です。

社会人5年目って、実は一番 友人関係を大事にできる時期

CLASSY.世代、社会人5年目って、どんな時期でしたか?

20代後半ですね…社会人5年目って、振り返るとすごく独特な時期でした。社会人になりたての頃は、覚えることも気を使うことも多く毎日必死。友達と会う時間があっても、心から楽しめていない瞬間もあったと思います。でも5年目くらいになると、仕事が急に楽になるわけではないんだけれど、「回し方」が体に入り、目の前のことに追われ続けるだけではなくなってくる。「一日一日が必死で、今日をどうにか乗り越える!」という感覚から少し離れられた。そうすると自然に友達との時間も取り戻せたんです。その頃の写真を見返すと、「すごくいい顔してるな」と思うことがあって。恋愛もいいと思うけど、この時期の「友達との時間」は人生の土台になっている気がします。30歳以降も人生のフェーズがあると思いますが、ときに仕事や家庭が忙しくて一旦離れても、また戻ってこられる関係があることは心強い。今、仕事で手一杯で友達と会えていない人も、仕事に慣れた先に、また友達と笑って過ごせる時間が戻ってくるはず。

目標設定や自己管理はどうされていますか?

20代の頃から日記をつけ、仕事とプライベートそれぞれで目標を立て、定期的に振り返ってきました。いわゆるPDCA(Plan計画→Do実行→Check評価→Act改善)ですね。目標設定で一番大事なのは、「少し頑張ればたどり着けるレベル」にすること。高すぎる目標は、達成できなかったときに自分を傷つけます。たとえば「1カ月で8kg痩せる」は現実的ではないし、できないと「やっぱり私はダメだ」となって逆効果。目標を立てたら「今日何をすればいいか」まで落とし込むことが大切です。「今年中に英語を話せるようになる」だけだと今日でも来月でもいい気がするけれど、「今日は単語を10個覚える」まで具体化すれば、行動が明確になる。やることが見えると、不思議とストレスも減るんですよ。

仕事が恋愛の足枷になることはない。 結婚の時期を焦りすぎないで

仕事と恋愛、どちらかを優先しなきゃいけないと感じたことはありますか?

よく「仕事か恋愛か」という二項対立で語られますよね。でも私は、あまり正しい捉え方ではないと思っていて。仕事・恋愛・経済的な安定は、時間を食い合うものではなく、一つを頑張ることで他もついてくるものだと感じています。仕事をイキイキと頑張っている人って、恋愛対象としても魅力的に映りませんか?目が輝いている人は、それだけで素敵に見える。それに職場や取引先での出会いは実は多いんです。仕事を頑張ると自然と出会いの場も広がる。だから「仕事を頑張ると恋愛の時間が減る」とは思わず、むしろ恋愛にもつながると思っています。結婚の時期は、コントロールできるものではありません。私は会社の先輩と30歳で結婚しました。当時は結婚願望はまったくなかったけれど、お付き合いして2カ月で決めました。「何歳までに結婚」と計画しすぎると、プレッシャーになって焦りが生まれる。出会いやタイミングは「自分だけでどうにかなるものではない」から、計画しすぎないことも大切だと思います。

余裕がないのも若さの特権。 場数を踏んでいくのを楽しんで

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小さな迷いをなるべくなくしていくと 今やるべきことがクリアになってくる

決断するときに迷わないコツはありますか?

長く悩まないことを意識しています。転職や引っ越しなど後戻りできない大きな決断は時間をかけますが、日常的な選択はなるべく素早く決める。人間は1日に約3万5千回の選択をしているといわれています。「今日のランチは何にしよう」「このメール返すべき?」「この服にする?」という小さな選択の積み重ねが、実は疲労の原因になる。だから日常のことはさっさと決め、脳のエネルギーを大事なことに使うようにしています。さらに「今決めなくていいこと」は一旦忘れてTODOリストへ。頭の中でぐるぐる考えると消耗するので、「これはあとで考える」と書き出す。そうすると頭が軽くなり、今やるべきことに集中できます。

コミュニケーションで気をつけていることはありますか?

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忙しいときでも、セカセカした雰囲気を出さないようにしています。バタバタは周りに伝染するし、自分が焦っていると周囲も焦らせてしまう。だから、どんなに忙しくても表に出す雰囲気は落ち着かせるよう意識しています。パートナーや友人、職場の同僚に厳しいことを言わなきゃいけない場面でも感情的にならない。怒りながら言うと、相手には内容より感情が伝わってしまうから、普段と変わらないトーンで淡々と話す。それが一番届くと思っています。上司への報告や相談は、相手の機嫌が良い時間帯を狙うのも効果的です。朝一番やランチ後など、人によってゴールデンタイムがある。同じ内容でも、タイミングで受け取られ方は変わるので観察してみてください(笑)。職場で泣くことは、私は意識的に避けてきました。泣くこと自体が悪いわけではないし、理不尽なことを我慢する、声を上げない、という話ではありません。「この人には厳しいことを言えない」と思われ、指導してもらえなくなるのは長い目で見ると損。感情のコントロールは若い頃から意識してきました。

今、人と比べて焦ってしまっても 長期的に見ると、 答え合わせができていく

キャリアの選択で迷ったとき、どう判断していますか?

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「何を得たいか」と「何を犠牲にするか」を言語化することを大事にしています。「いい感じがする」「なんか不安」という感覚だけで大きな決断はしない。きちんと言葉にして整理してから動きます。リスクを取ることは大切。取らなければチャンスも来ない。ただ、リスクを理解して踏み出すのと、何も考えずに飛び込むのは全然違う。ワクワクする方向に、リスクを理解した上で進む。それが私の判断基準です。

CLASSY.世代な後輩たちへ、メッセージをいただけますか?

余裕がないのって、「若さの特権」だと思うんです。場数を踏めば自然と余裕は生まれてくるから。だから今、余裕がないことを責めなくていい。ただ、人と比べることだけはやめた方がいいと思います。一番のストレス源だから。その最たるものがSNSなのかな。見ていると、みんなが充実していて自分だけ取り残された気持ちになる。でもSNSに上がっているのはハイライトだけで、みんな同じように悩んでいます。この時代やめるのは難しくても、少し距離を取ってみるだけでかなり楽になるはず。他人の評価は揺らぎやすく、昨日褒めてくれた人が今日は批判することもある。それを体感的に理解すると、他者評価を気にしすぎなくなる。人生は長いから、短期的な一喜一憂にエネルギーを使うのはもったいない。そう思えるようになったのも、年齢と経験のおかげなのかもしれません。

Profile

申 真衣さん
東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券へ入社。退職後、エンターテインメント企業・GENDAを共同創業。2023年には東京証券取引所グロース市場への上場を果たし、2025年4月まで代表取締役社長を務める。2024年12月にはNOT A HOTEL社外取締役に就任。経営者として活躍する一方、ファッション誌でモデルとしても活動、プライベートでは30歳で結婚し2児のママ。その知性としなやかな生き方で多くの女性から支持を集めている。

モデル╱申 真衣 撮影╱遠藤優貴 ヘアメイク╱福川雅顕 取材╱嶺村真由子 編集╱平賀鈴菜 再構成/Bravoworks,Inc.
衣装/すべて本人私物
※掲載のシャネルはすべて本人私物です。ブランドブティックへのお問い合わせはご遠慮ください。
※CLASSY.2026年9月号『Epilogue 申真衣さんと考える「余裕」の正体』より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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