【漢字】「前栽=ぜんさい」は間違い!実は読めそうで読めない漢字3選|CLASSY.
もう12月、「師走(しわす)」です。学校の教「師」も、もちろん忙しいのですが、「師走」の語源には諸説あり、「師」は、「僧侶」や「御師(オシ・オンシ=寺社の参詣者の世話役)」を指し、この時期に忙しく「走り回る」とするものから、年の終わりにやり残したことを、「し果つ(=やり終える)」など、諸説あります。いずれにしても忙しい歳末、恒例のCLASSY.ONLINEでの漢字常識クイズで、どうぞ一息入れてください。
1.「汎用」
最初は「汎用」です。よく見る二字熟語ですが、なんと読むでしょうか? 例文は「汎用性が高いのが特長の商品です」。
「ボンヨウ」と読み間違えた方はいませんか? 「平凡(ヘイボン)」の「凡」を漢字の構成部分に持ちますので、それに引っ張られますよね。「ボンヨウ」と読む熟語なら「凡庸(=平凡ですぐれたところがない)」でしょうか。こちらは、「ハンヨウ」が正解でした。漢字「汎」は、ほぼ「汎用」でしかお目にかからないと思いますが、れっきとした常用漢字で、「広い」という意味(訓読み)を持ちます。したがって、「汎用」とは、「一つのものを広くいろいろな方面に用いること」です。
2.「漸次」
次は「漸次」です。高校入試や大学入試の漢字問題の定番語です。何と読むでしょうか? 例文は「景気は、漸次回復しているようだ」。
「ザンジ」と読み間違えた方はいませんか? それは「暫時(=しばらくの間)」です(これも入試に出ます)。紛らわしいですが、「漸次」は、「ゼンジ」が正解でした。常用漢字の「漸」は、「ようやく」の訓読みを持ち、「しだいに・だんだん」という意味で使われます。ちなみに、「暫」の訓読みは「しばらく」です。「漸」と「暫」の読み分けは、なかなか手ごわいですよ。
3.「前栽」
最後は「前栽」です。今日一番の難問かもしれません。何て読むでしょうか? 例文は「立派な前栽のあるお屋敷に招待された」。
恐らく「ゼンサイ」または「マエサイ」と読んだ方が多いのではないでしょうか。「前」も「栽」も常用漢字ですが、漢字表では「前(まえ/ゼン)、「栽(サイ)」の読みしか掲載されていません。この「前」を「セン」と濁らないで読むのがポイントです。正解は「センザイ」でした。
意味は、「草木を植えた前庭、またその植え込み」のことです。昔の貴族生活が描かれる『源氏物語』などの古典文学作品に、数多く登場する言葉ですので、高校時代の古文の教科書で一度は目にしているはずですが、現代でも同じ「センザイ」の読みで使われています。かつての「寝殿造(しんでんづくり)」のような大邸宅でなくても、お座敷に面した現代の住宅の庭にも使う言葉です。
では、今回はこのへんで。
《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)