内田恭子さんが『おばあちゃんになっても着たい』特別な着物って?
知性のある上品なファッションと聡明なキャラクターで人気の内田恭子さん。VERY NaVYで、彼女が愛する「モノ、コト、場所」を通じてその〝審美眼と価値観〟を知るエッセイ連載。今回は、内田さんこだわりの〝お着物〟についてのお話です。
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内田恭子さんの
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「帯」
ハマってはならないものの一つ。はい、着物。男子しかいない我が家は、「これはママが大切に着ていたお着物よ」なんて言って代々譲り渡していく夢も儚く、将来のお嫁さんに押し付けたところで嫌な顔をされても困るので、なんとか素敵なお着物に出会う機会を少なくしております(笑)。
そんな私が心から楽しみにしていること。それは京都の染織プロデューサーの岩本さんが選りすぐったお着物を、大御所女優さんたちのお着物のスタイリストをやっていらっしゃる村田悦子さんが見立ててくださる時間。岩本さんが京都で数少なくなっている着物職人さんとひとつひとつ仕上げた着物を、村田さんの抜群のセンスで見てくださる、とても素敵な時間なのです。
その人その人に合った着物を提案してくださるので、永遠の着物双葉マークの私としてはとてもありがたいのです。決して頑張りすぎない、今の私に合った粋なコーディネートをしてくださるから、どこに出ても恥ずかしくない、見る方が見れば分かるさりげなく光る装い。これこそプロの技!
足付けぼかしという技法で染め上げたクリーム色から茶色に変わるグラデーションの訪問着は、極細の市松の生地で、光の屈折で陰影が現れ、絹の艶が美しく仕上がっているもの。それと合わせてくださったこの帯がまたため息もの。東大寺の正倉院宝庫に収蔵されている「紫檀木画槽琵琶」を基に製織されたもの。細かく裁断された螺鈿や別誂(べつあつらえ)の漆箔、漆糸などを使って、日本が世界に誇る職人技の織組織によって木画の質感や特徴を見事に表現し、上品な質感のある帯に仕上がっているのです。
ところでこの模様、どこかで見たことありませんか? LOUIS VUITTONのモノグラムを思い出した方もいるかもしれません。この紫檀木画槽琵琶から影響を受けたという面白い説もあるんです。美しい着物を愛でながら、そんな楽しい話まで聞かせていただけるので、私にとっては学びと喜びの至福の時間。着物を通して人が集い、そこからまた出会いが生まれる。着物もアートのひとつだなと実感します。
着物を知り尽くしたお二人に見立てていただいたものは全て袖を通す度に、素敵なものと人との出会いに感謝を感じる逸品です。おばあちゃんになっても着られるものと太鼓判付きだから、生涯大事に着続けます。
Profile
内田恭子さん
1976年生まれ。フジテレビのアナウンサーを経て、結婚を機にフリーランスに。現在は幅広いメディアで活躍する一方、上品かつ高感度なファッションも話題に。2児のママ。kikimindfulness主催、マインドフルネストレーナー。
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モデル・文/内田恭子 構成/松井美雪 編集/羽城麻子