「のどの痛みや咳が治らない…」原因は?症状を和らげる簡単な方法は?
咳やのどの痛みが長引いてつらいと感じていませんか?医療機関で薬を処方してもらったほうが早く治せることはわかっていても、仕事が休めなかったり、小さいお子さんがいて病院で長い待ち時間を過ごすのが難しかったりしますよね。そこで本記事では、長引く咳やのどの痛みを早く治すセルフケア方法を紹介します。
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1.長引く咳・のどの痛みの原因
①のどの痛みの原因
のどの痛みを起こす原因は、咽頭炎によるものが多いです。咽頭炎は風邪ウイルスによって引き起こされるケースがほとんどですが、細菌感染が原因であるケースもあります。
また、のどの両脇にある扁桃はウイルスや細菌の影響を受けやすく、炎症が起こりやすいです(扁桃炎)。さらに悪化すると扁桃周囲炎や扁桃周囲潰瘍にかかり、痛みが強くなることもあるため早めの対処が大切になります。
また、イガイガするような痛みがある場合は、花粉症の可能性が高いです。特に秋の花粉は粒子が細かく気管に入りやすいことから、のどの痛みや咳を起こす傾向にあります。
②咳の原因
長引く咳は、のどの炎症が原因となっているだけでなく、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、喘息や結核といった肺の疾患、逆流性食道炎、心臓疾患が関係していることがあります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の場合、後鼻漏(鼻水がのどの方へ流れ落ちてくる症状)によってウイルスやアレルゲンがのどに付着して咳につながります。
逆流性食道炎の場合は、胃酸が繰り返し食道へ上がることで食道が炎症を起こし、咳の原因となる気管支喘息を引き起こすことが原因です。
2.2週間以上長引く咳には要注意
特に2週間以上続く咳は、風邪以外の病気のサインである可能性が高いため注意が必要です。たとえば、肺炎や肺がん、結核、心不全などのケースもあります。
特に、咳喘息にかかっていることが多く、放置すると気管支喘息になるリスクがあります。気管支喘息は完治しにくいうえに、年間約1500人の方が呼吸困難になり命を落としている要注意疾患でもあります。咳が続く場合は軽視せず、症状にあわせて呼吸器科や内科、耳鼻科を受診してください。
3.長引く咳やのどの痛みを早く治す方法
病院で原因を特定し適切な治療をするのが第一ですが、セルフケアで緩和することも可能です。
①のどへの刺激を減らす
酸味や辛味のある食材や調味料は避け、のどへの刺激を減らしましょう。炎症がみられる場合は刺激を与えることで悪化する恐れがあります。また、熱すぎるものも弱っているのどに対しては刺激になるため、煮込み料理やグリル料理など高温になりやすい料理を食べるときは、十分に冷ましてから食べるようにしましょう。
②保湿・乾燥対策をする
漢方では、のどや鼻、気管支、肺といった呼吸器系は乾燥が苦手で常に潤いがある状態が良いと考えられています。のどの粘膜が乾燥すると、ウイルスや細菌などが付着して炎症する可能性があるからです。「こまめに水分を取る」「加湿器を使う」などして呼吸器系を直接潤わせたり、部屋の湿度を上げたりして対策をしましょう。
③のど飴をなめる
のど飴はのどに潤いを与えるだけではなく、医薬品や医薬部外品ののど飴を使用すれば消炎効果や咳の鎮静効果が期待できます。
医薬品は医薬品に限り使用が認められている生薬が含まれており、咳を鎮める効果が認められています。医薬部外品は殺菌剤や痰を鎮める生薬が配合されています。
医薬部外品は効果が医薬品よりも穏やかなので、もし改善が見られなければ医薬品ののど飴、または処方薬で治療する必要があります。医薬品や医薬部外品は1日の服用量が決まっているので、使用する際は用法用量を守りましょう。
④ツボを押す
東洋医学では、昔から「肺の気の流れを整えて咳を鎮める」とされているツボが2つあります。
<尺択(しゃくたく)>
ひじの内側にある関節部分のシワ中央から、親指側に指2本分移動したところの腱の外側にあるツボです。
押し方
(1)反対の手でひじを包み込むように手を添える。
(2)親指で少し強めにツボを押す。
(3)その状態で約10〜20回ひじの曲げ伸ばしをする。
<中府(ちゅうふ)>
鎖骨の外端下にあるくぼみから、さらに指1本分下に移動したところにあるツボです。
押し方
(1)反対の手の中指で、気持ちいいと感じる程度の力加減で押す。
(2)押しながら深呼吸を5~10回行う。
⑤漢方薬を飲む
つらい咳やのどの痛みは、漢方薬で解消できることがあります。
漢方薬は医療機関でも処方されており、医薬品として「のどの痛み」「咳」に対して効果が認められているものもあるのです。また、自然環境に存在している生薬を配合して作られているため、副作用の発症リスクは少ないといわれています。
のどの痛みや咳の改善には、「のどの炎症を和らげる」「気管支を広げて呼吸をしやすくする」「のどや肺に潤いをあたえる」「酸素や栄養を肺に届け、呼吸器の機能を回復する」といった漢方薬が選ばれます。代表的な漢方薬は以下の通りです。
<のどの痛み・炎症におすすめ>
・桔梗湯(ききょうとう):のどの痛みや腫れがある人に。桔梗湯を使ってうがいをしたり、なめるように服用したりすることでのどの炎症に働きかけます。
・麦門冬湯(ばくもんどうとう):のどや呼吸器などに潤いをあたえ、空咳やのどの炎症を改善します。
<咳におすすめ>
・滋陰降火湯(じいんこうかとう):のどに潤いがなく、痰が出づらくて咳込んでしまう場合や乾いた咳の場合に用いられます。
・麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう):呼吸が苦しかったり、咳込んだり、少量の粘りけがある痰が出る咳などに用いられます。
漢方薬は咳やのどの痛みの解消に役立ちますが、体質に合っていることが前提です。体質に合わない漢方薬を用いても効果がなかったり、副作用を発症するケースがあったりします。使用する前に、漢方に詳しい薬剤師や医師に相談してから使用してください。
デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
編集/根橋明日美 写真/PIXTA