高垣麗子さん44歳・シングルマザーになって見つけた「幸せの形」とは
モデルとしてファッション誌各誌で活躍してきた高垣麗子さん。ご自身は現在、幼稚園に通う娘を育てるシングルマザーです。忙しい仕事の傍ら育児をする日々、娘さんとのエピソードを話していただきました。
【画像集】こちらの記事も読まれています
【写真】娘との日常も。自宅や思い出の店で過ごす素顔の高垣さん
娘から突然「言霊って知ってる?」と聞かれて……
──高垣さんの娘さんはもう6歳の年長さんだそうですね。
すっかり口も達者になって、一緒に話をしていると面白いです。この前「言霊って知ってる?」って突然言われたんですよ。何事かと思って聞いていたら、「なっちゃん(娘さんのこと)は、できる。なっちゃんはできる。なっちゃんは六段跳べる。なっちゃんは跳べる。跳べる」ってぶつぶつ言ってるんです。ちょうど幼稚園の運動会の前日で、跳び箱を六段跳ぶ種目に出ることになっていたんですよね。
──一流アスリートみたいです(笑)
あ、そうか、暗示にかけるみたいに「私はできる」と言葉に出していたのかと。結果、娘は運動会できちんと六段跳べていました。言霊がほんとうにあるのかわからないけれど、私もちょっと意識してみようかなと思いました。心の中で何か考えたり、願ったりすることはこれまでもやっていたけど、口に出す効果って意外とあるのかもしれないなと。「苦手だ、嫌だな」というのではなく、「大丈夫。できる。やってみよう」ってポジティブな言葉にしてみたら何か変わるのかもしれないと改めて感じました。
家事は無理せず「ひとりの時間」も大切にしています
──お子さんが小さいうちはなかなか自分の時間がとれないことが多いですが、高垣さんはいかがですか?
産後、スタバにはじめて行ったとき、それだけで感動したんです。トールサイズのアイスコーヒーを飲みながら「私、今スタバにいる‼」って。今まで当たり前だったことにありがたみを感じたし、ひとりでコーヒーを飲んでいるだけなのに新鮮で楽しかったことを覚えています。
──エッセイの中でもひとりの時間を大切にしていると書いていました。仕事や育児に忙しい中で、どうやって時間を作っていますか?
モデルの仕事は、たくさんのスタッフと一緒に作り上げることが多いですが、私自身はひとりで過ごす時間もないとうまくバランスが取れないタイプです。毎日の生活は基本、仕事と子育てで終わってしまいますが、娘を迎えに行く前の30分とか、夜に隙間時間を見つけています。本当は、娘が寝たあとに、洗濯ものを干して、畳んでとやることはいっぱいあるのですが、家事はある程度あきらめたっていいと考えるようになりました。洗濯ものはきっちり畳まず、干してあるのを取って着たってOKにしています。たまに娘が畳んであるストックのほうから着替えを出そうとすると「ちょっと待って! こっちの干してあるほうから着て。畳んであるのは貴重だから」なんて本音を言ってしまうこともあるんです(笑)。アイロンがけも、昔は毎日のようにしていたんですけど、今は何でもかんでもアイロンをかけるのはやめました。なるべく、チェックや花柄などしわがわかりにくい柄ものを選んだりしています。料理をするのは好きですが、出前やテイクアウトに助けられたと思う日もたくさんあります。頑張りすぎず手を抜くところは、抜くようにしていかないと育児中は生活が回らないですよね。
幸せは「好きなことをたくさん見つける」とやってくる
──たくさんの経験をした30代を経て、育児中の今、思うことはありますか?
本当にみんな、生きているだけで色々ありますよね。このエッセイにも書かせてもらったのですが、人それぞれ、口にしないだけで大変なことがあると思います。傍目から見たらうまくいっているように見える人だって何かに悩んでいるかもしれない。私の場合は、結婚、離婚、育児も経て、結局「自分を幸せにできるのは、自分なんだ」と思ったんです。もちろん、娘がいるから幸せと思う瞬間も多いし、結婚していたときは、パートナーがいて幸せと感じたこともありました。ただ子どもがいなくても、結婚していなくても幸せな人はたくさんいることを知っています。誰かがそばにいないと幸せじゃない、ということはないと思うんです。本当に幸せかどうか決められるのは自分だけ。そう思うようになってから、「自分が幸せだと思う瞬間をどれだけ持っているか」で人生の幸福度が決まると考えるようになりました。今回のエッセイでは、自分の好きなことや、幸せを感じる瞬間について書きました。改めて自分が好きなことやものに目を向けるのって楽しいなと実感しています。「好きなこと」って改めて考えてみると思っているよりもたくさんあると思うんです。普段忙しいと忘れてしまいがちだけど、ぜひ、そこに目を向けてほしいなと思いました。自分が好きなこと、心地よいと感じる瞬間を大事にしてほしいなと思っています。
高垣麗子さんの最新エッセイ
『わたしの好きのかたち』(光文社)
シングルマザーで、モデル。彼女の暮らしにちりばめられた「好き」を集めました。
様々なファッション誌をはじめとした媒体で長年多くの人に愛され、第一線で活躍するモデル・高垣麗子が自ら綴る日々の記録。娘と過ごす時間、仕事への想い、家族との思い出、離婚のこと……いくつもの転機を悩み迷いながら乗り越え、選択していくなかで残った大切なもの。意外にも不器用で涙もろい姿に、思わず共感してしまうこと間違いなしのフォトエッセイ。
PROFILE
高垣麗子(たかがきれいこ)
1979年、東京都生まれ。『プチセブン』専属モデルとして1994年にモデルデビュー。以後、ファッションモデルとして『JJ』『AneCan』『STORY』など女性誌を中心に幅広く活躍。食べることが大好きで、発酵食品マイスターなどの資格を持つ。2017年に出産、一児の母。
取材・文/髙田翔子
へア&メイク/森野友香子(Perle management)
写真/秋山博紀
※衣装はすべて高垣麗子さんの私服です
\あわせて読みたい/
▶高垣麗子さん二度の離婚を経て「いっぱい悩んだ後の“決断”なら前に進める」
▶漫画家・東村アキコさん、2度の離婚を経て考えた「結婚の意味」
▶【南果歩さん】乳がん罹患から7年「病気を経験しなかったら離婚してなかった」