俳優・江口洋介さんが語った「後輩に見せたい生き方」とは
社会現象にもなった「ひとつ屋根の下」のあんちゃんや「救命病棟24時」での天才外科医など、あの頃にも増して今なおオファーが絶えず、主役から脇役までこなす俳優・江口洋介さん。今年は音楽活動35周年という、俳優と歌手の二刀流が復活。爽やかだけど熱い人、誰もがファンになってしまいます。
◆あわせて読みたい
▶俳優・大沢たかおさん「一度は引退も視野に。50代以降輝くためには、40代の生き方が大切と痛感しました」
こんな生活をしているのかな、と想像を搔き立てられる人が好き
《Profile》
’68年東京都出身。’86年俳優デビュー。以降、数多くのドラマ・映画に出演。近作では月9ドラマ「ONE DAY 〜聖夜のから騒ぎ〜」に蜜谷満作役で出演。新曲「Blueな夜」配信中。’24年映画『ゴールド・ボーイ』、Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』がある。
今年ミュージシャンデビュー35周年を迎えた。24年ぶりの新曲リリースにライブもスタートし、音楽活動を再開している。きっかけはコロナ禍だった。
「ステイホーム中、生活が元に戻ったら自分に何ができるかを問い続け、この3年分を取り戻し、よりパワーアップしないと気が済まなくなって」。
自宅のキッチンや音が響く部屋で曲作りに向かい、アルバムとライブのプロデュースを自ら進め、曲に熱い想いを込めた。
「音楽で自分を鼓舞し、みんなにとっても応援歌になれば嬉しい。俺のライブで年を取るのも悪くないと思ってくれたら最高です」。
がむしゃらに歌いたい曲を歌った20代から、今は聞き手にとって心地いい音楽を届けたいと意識が変化している。同時に放送中の「ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜」でも役の作り方に変化が生まれた。「衣装も眼鏡も自分で考え、役を膨らます楽しみ方を見つけました。やっとそこに踏み込めたのかな」。
逆に体型の変化はほとんどない。「何もしてないと言えば噓になるけれど、激しい運動はしません。役柄に応じてトレーナーと体を3回程度でぐっと作り、後はセルフでストレッチ。朝は20〜30分走る日もあるけど、歩く日もあって、疲れない程度に心地よくがモットーです」。
食生活は野菜を大量に食べる。「ベジタリアン以上に野菜を求めてます。お肉も玄米も白米も食べるし、実はあんこも好き」。
朝ごはんを食べないうちは家から出ないと決めている。特に体力をつけたいときは卵かけご飯に鮭や鶏の胸肉など和食を。一年を通して水をたっぷり飲み、夜は早い時間に食べて量も控え目だ。
「なぜなら寝る前にお腹を空っぽにしておきたいから。そうするとよく眠れ、朝起きると体が軽くて気持ちいいです」。
職業柄見た目が緩いとだめだと思いながらもエイジングは気にしない。
「撮影時、メイクさんに『みんな塗ります』と日焼け止めを勧められるから使うけど、普段は続かないですね」。
化粧水もつけるけど、水分と油分を取り入れれば銘柄は何でもよく、男性が肌を気にするなんて時代が変わったと実感している。
「女優さんのシミにうるさい男優もいて、『そんな失礼な』と思うけど、周囲は納得していて、そういう時代は俺は息苦しいですよ(笑)。年を取るって味だし、その人の生き様だから」。
好きな女性のタイプは、「自分にとって害がない人」と即答。
「エネルギーを吸われる人には近づかない(笑)。バイブレーションが合う人がいいです。こんな生活をしているのかな、と想像を搔き立てられる人が好きですね。男は年を取ってもがきんちょだけど、大人の女性には潔さが出る。そんなカッコ良さって男にはないですね」。
自身も子供の頃憧れていた男優に頭の中でようやく一致してきたと感じる。
「ローリング・ストーンズが80歳を超え、今年出したアルバムが10代のときと同じなんです。もう悔しくてしょうがない。そう思うと大人になるって意味がない、年齢制限なんて何一つしなくていいし、やりたいことを制限せず、80歳になっても変わらないと言われる生き方を後輩に見せたい。ただ人の話をよく聞く大人になっていなければね」。
\江口洋介さんの手/
機械ばかりいじっていた若い頃は手が太かったし、ギターばかり弾いている今は逆に細い時期。子供の頃は喧嘩もして手で自分を守り、夢を手で摑み取ってきて、その都度、やっていること、生き方は手に出ますね。今の時代、情報量が多くて頭でっかちになるけど、手探りしてみる、肌で感じるなど、体で感じることが大事。
《衣装クレジット》
ブルゾン¥1,012,000、パンツ(参考商品)(ともにベルルッティ/ベルルッティ・インフォメーション・デスク)その他スタイリスト私物
2024年『美ST』1月号掲載
撮影/彦坂栄治(まきうらオフィス) ヘア・メイク/中嶋竜司(HAPP’S) スタイリスト/伊藤省吾 取材/安田真里 編集/伊達敦子