初期症状は?サプリメントは有効?【男性更年期】の悩みをドクターが解決
パートナーが男性更年期かも?と悩んでいる読者の疑問にドクターがずばり答えます。初期症状は? 放っておくとどうなる? 更年期に効くサプリメントはある? など、もやもやしていたお悩みをぶつけてみました。
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パートナーが更年期かも?と心配になっている読者が集合
自営業・59歳 M.Mさん
「夫が50歳のとき感情の起伏が激しくなったり、ボーッとすることが増えたなどの症状が。心配になり、夫がリラックスできる環境作りや、ふたりで楽しめることを実践中ですが不安がぬぐえません」
医療事務・54歳 Y.Rさん
「朝から鼻歌を歌うような朗らかな夫が、転勤を機に鬱症状っぽくなりました。男性更年期なのか鬱なのかわからず、今は心療内科を受診中です。最近、男性更年期の可能性も疑っています」
自営業・50歳 H.Mさん
「以前はなんでも話し合える関係でしたが、7年前転職をした頃から、ほっといてオーラ全開に。些細なことでイラッとされるので機嫌を窺う毎日。夫のメンタル不調が心配なので、病院を勧めたいが切り出せず」
Q1.ズバリ「これが男性更年期」という初期症状を知りたいです
A.体・精神・性機能の3つに分けられます
「疲れやすい、覇気がないなど見るからに元気がない人は要注意!体でいうと暑くもないのに汗をかく、目まい、睡眠障害、筋力量の低下、メタボなどの症状。精神症状においては、集中力の低下、無気力、イライラ、朝起きられないなどが挙げられます。また性機能症状は頻尿や朝立ちの減少が見受けられます」
Q2.更年期が進行すると、最悪どんなことになりますか?
A.生命に関わる可能性もあります
「睾丸から生成・分泌される男性ホルモン〝テストステロン〟が減少すると、筋力が衰え転倒や骨折のリスクが増えます。またメタボリックシンドロームを引き起こし、悪化すると心血管系疾患、糖尿病のリスクも高まり、最悪の場合は死亡率とも関連することがわかっています。男性更年期障害は、40歳を過ぎ不調を感じたら要注意の疾患といえるので、早期発見と適切な治療が必要です」
Q3.最近パートナーがボーッとしていることが多いです。これは更年期ですか?鬱症状ですか?
A.見極めは難しいです
「男性更年期と鬱病の症状は重なる部分が多いため、一概にどちらと決め込むのは難しいです。一般的に鬱病は精神的な症状が出やすく、男性更年期障害は火照りや目まい、頻尿など体の症状が現れます。男性更年期と気がつかず不調を抱えたまま生活をしていると、鬱病を発症するケースもあるので、ひとりで抱え込まないよう家族で理解し、通院をすすめましょう」
Q4.病院は何科を受診すればいいですか?
A.泌尿器科でまずは問診を。症状によっては心療内科に
「気分が落ち込んだり、眠れなくなったりすると鬱病を疑い、心療内科を受診する人も多いでしょう。しかし鬱病を発症しそうな大きなストレスに心当たりがなければ、最初から鬱病と決めつけず、男性更年期など別の視点から病気を疑ってみるのも大事。勃起不全や性欲の減退、頻尿などの症状は泌尿器科、気分の落ち込みや不安が募る人は心療内科。複数の症状が現れた場合や、どの診療科に行くべきか迷ったら、男性ホルモンが引き起こすさまざまな症状を広く扱うメンズヘルス外来をおすすめしています」
Q5.男性更年期に効くサプリメントはありますか?
A.ありません
「男性更年期障害に有効とされるサプリは、残念ながら市販されていません。テストステロンの補充を検討する場合は、血液検査を受けたのち注射や塗り薬で。鬱や不眠といった精神症状があるなら、抗うつ薬で経過を見る場合もあります。抗うつ薬のなかにはテストステロンを減少させてしまう薬もあるので、医師と相談し、正しい治療法を選択していきましょう」
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2024年『美ST』2月号掲載
撮影/渡邉明日香(A-1) 取材/増野玲奈 イラスト/前田さつき 編集/岡村宗勇