低用量ピルは太る?体に良くない?知っておきたいQ&A

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避妊目的でなく、体調管理のため

避妊目的でなく、体調管理のために低用量ピルという選択をとる人が増えているそう。それでも気になるちょっそした低用量ピルのあれこれを、女性ヘルスケア専門医の高尾先生にお伺いしました。

【Q1】副作用として「むくむ」「太る」と聞いたことがありますが…

A.「ピルは薬なのでベネフィットとリスクの両方があります。むくみ、体重増加、肌荒れなどのマイナートラブルは飲み始めの2カ月間程度、体が薬に慣れるまで起こる場合もありますが、継続して大丈夫。また、このマイナートラブルはピルのミスマッチが原因となっていることも。たとえば肌荒れなら男性ホルモンを抑えたピルを検討することもできるので、服用によって起こる変化についての困り事はヘルスケア専門医に相談を」

【Q2】生理に問題がない人も服用していいの?

A.「低用量ピルの服用は、生理に問題を感じていないという場合でも大丈夫です。まずは①生理痛が重い②出血量が多い③周期が不安定④生理前が不調、この4つのどれかで困っている場合や、複数に当てはまる場合は、治療薬として飲む理由になります。それ以外にも、大事な試験や旅行から生理をずらすためなど、自分のQOL(生活の質)を上げる目的のためにピルの服用を選択してもいいのだということを知っていてください」

【Q3】排卵を止めることで状態のいい卵子が残る?

A.「卵子は在庫で、赤ちゃんの時が一番多い状態。ピルで排卵がない間は使われず残っているように思うかもしれませんが、卵子は時間の経過とともに着実に働きが落ちていき、数も減っていきます。洗顔の泡をおいておくと泡が減っていくようなイメージ、と言うとわかりやすいかもしれません。また、20年ピルを飲んでいるから閉経が20年遅れるということもありませんし、ピルを飲むことは妊孕性の継続にはつながりません」

【Q4】低用量ピルをやめた直後は妊娠しやすくなるって本当ですか?

A.「ピルの服用と妊娠しやすさに相関関係はなく、飲むのをやめたら妊娠しやすくなるということもありません。妊娠を考えるタイミングでピルの服用をやめる人が多いので、結果として服用をやめた直後の妊娠の成立が数字として多くなっていると考えられます。また、生理不順の人はピルで周期を整えているだけなので、やめた後の生理周期が整うわけではありません。ピルは妊娠には影響はなく、ピルをやめた最初の排卵で妊娠しても問題ありません」

【Q5】飲むのは40歳まで?血栓症のリスクも気になります

A.「ピルに含まれるエストロゲンが、血液の凝固機能に影響を及ぼします。気をつけたいのは肥満、喫煙、家系内に血栓症の人がいる場合。また、飲み始めのタイミングが一番血栓症のリスクが高いので、年齢的に血栓症のリスクが上がる40代以降で飲み始めるのは避け、スタートするなら30代のうちに。40歳の時点で問題なく安定して飲めているのであれば、ガイドラインでは50歳まで継続が可能です」

【Q6】ピル自体の価格に差があるのはなぜですか?

A.「保険適用のものと自費診療の2タイプがあり、だいたい2,000〜3,000円が平均。自費診療で処方するピルは価格を自由に決められるので、クリニックによって学生料金を設定していたり、地域によって差があったり、同じ種類のピルであっても価格のばらつきがあるのはよくあること。今はジェネリックを選ぶことができるので、700円位から購入できます。価格と質は関係ないので、無理なく続けられるものを専門医と相談して選択しましょう」

【Q7】オンライン診療でピルを処方してもらっても大丈夫ですか?

A.「医療機関での処方が望ましいですが安定した状態であればオンライン診療を利用してもよいでしょう。その場合も年に1度はクリニックで受診を。じつはピルの処方に必要な検査は身長、体重、血圧測定と問診のみ。オンラインでの自己申告で適当な値を入力するとリスクになる場合もあるので申告は正確に。また、半年に1回程度自費にて血液検査を行うクリニックもあるようですが、体調に変化がない場合はガイドライン上では不要です」

【Q8】ピルで生理を止めるのは体に悪くないの?

A.「まず、ピルは生理を止めているわけではありません。出ていくはずのものを準備しないため、体の中に溜まってしまうといった状況にはならないので安心してください。ピルは子宮内膜を薄くするように働きかける薬なので、当然出血も少なくなります。ピルの休薬期間には、ごくわずかの出血があるはずと思っていてください。また、毎月生理が来る必要はない、と考える時代になっています」

教えてくれたのは…産婦人科医・高尾美穂先生

イーク表参道副院長。「全ての女

イーク表参道副院長。「全ての女性により良い明日を」をモットーに、医療・ヨガ・スポーツの3つの面から女性の健康に関する専門知識を発信。メディア、SNSでの情報発信のほか著書多数。

撮影/笹本美和 取材/加藤みれい 編集/陣内素実 再構成/Bravoworks,Inc.