「自分をちゃんと認められる写真展にしたい」日向坂46金村美玖、初の写真展『みとめる』に込めた思い

bisモデルとしても活躍する(2020年10月から)、日向坂46金村美玖の初となる写真展『みとめる』が22歳の誕生日となる9月10日から10月6日まで、東京・神保町・New Galleryにて開催中。2017年にけやき坂46(現:日向坂46)に2期生として加入。日本大学芸術学部写真学科の現役の学生でもある彼女が、2023年の冬から撮り溜めていたセルフポートレイト作品を中心に季節ごとにセレクトされた全36作品を展示。ロケ地の選定から衣装、コンセプト、作品のセレクト、サイズ、組み、配置までを自ら構成している。初めての写真展『みとめる』に込めた思い、写真家としてこれから撮っていきたいことなどをたっぷりとインタビュー。

日向坂46 金村美玖、初の写真展を迎えて

――まずは初めての写真展が実現した感想を教えてください。

数年前から『みくふぉと』という名前をつけてブログに写真をアップしたり、「写真が趣味です」とお話をさせていただいて、写真展が夢というか、目標のひとつとしてあったのですが、こんなにも早く夢が叶うと思っていなかったですし、実現してすごくうれしいです。観に来てくださったファンの方々の反応、反響を見て、写真展が本当に開催されたんだという実感が湧きました。

――夢だった写真展の話を聞いたときは?

話を聞いたときは、できるかとすごく不安でした。だからこそ、いっぱい撮らなきゃという気持ちでした。

――制作期間はどれぐらいだったのでしょう。

制作期間的にはけっこう短くて、具体的に写真展やりますと決まったのは、2、3カ月前ぐらいです。かなり急ピッチな作業だったんですが、そのなかでもすごく自分の意見を取り入れていただきました。すごく素敵なものができたという自信がありますし、悔いなく楽しく写真展ができてよかったなと思っています。

――写真展は、2023年冬から2024年冬までの季節を追った構成になっています。大量の写真があったと思いますが、セレクトの基準は?

写真展なので、いかに(ギャラリーの)壁とその余白を残しながら配置するか、サイズ感を気にしながら選びました。本当はもっと飾りたい作品もあったんですが、この季節は2点だけとか3点だけと決めて、自分が出ているというかすごく心に響くような写真と思ったものを何個かピックアップして、組み合わせを考えていいなと思ったものを選びました。

――季節ごとの展示でこだわったところは?

やっぱりこの写真は入れたいというのが何枚かあったり、額装や配置の仕方、サイズ感をどうするかというのがけっこう難しくて、アドバイスをいただきながら選んでいきました。

――特にこの組み合わせはうまくいったのはありますか?

全部お気に入りで、それぞれの季節が素敵に仕上がったと思っているんですが、なかでも、2024の冬の(撮影場所の)尾道の5点の写真は、自分のイメージ通りに並べられたなと思っています。尾道は、街自体がすごく静かで時間をゆったり感じられるような場所で、自分を撮影するのにぴったりでしたし、子どもがいたり、人とのふれあいもあってとても素敵な場所でした。

――撮影の場所も自分で決めてアポどりしたんですね。

はい。尾道は、崖の上みたいなところにある民家の縁側のある大きな和室をお借りしました。自分でアポをとって。なるべく人が少なくて迷惑にならなそうな場所を探しました。
場所選びは、すごく調べますね。天気もすごく気にします。

セルフポートレートは「本能的に自由にやっていた」

――セルフポートレートの写真と景色がすごくバランスがいいのが印象的でした。セルフで撮るのは、表情とか難しくなかったですか?

もともと撮られる方の仕事をしていることもありますが、慣れてはいると思います。でも、初めは、ひとりだと恥ずかしさとか躊躇するところもありました。だんだん慣れてくるにつれて、特に何も気にせずに、自分の好きに、自由に動けるようになりました。

――カメラマンに撮られるのとは違いますか?

違いますね。カメラマンさんに撮っていただくときは、私自身は特に何も考えずに自然にしていれば、素敵に撮っていただけるのでとてもありがたいと思っています。自分で撮るとなると、自由がきかなかったり、なかなかうまくいかないこともやっぱりあって、けっこう戦いみたいなところはあります。

――撮影しているときは、モニターが見れないわけですよね。

モニターが見えてないので、イメージでここだったらこうなるだろうみたいな。わりかし本能的に自由にやっていたと思います。

――景色の写真もとても素敵でした。

景色を撮るのも好きで、うまく撮れるようになりたいんです。でも、セルフポートレートが軸で、プラスでその風景も一緒に撮ったっていう感じなので、すごく注力できたかと言われると、もっとできたかなと思っています。

――今回の写真展の始まりの冬の北海道・美瑛は、金村美玖1st写真集『羅針盤』のロケ地でもあります。写真集のロケ地を選んだ理由は?

写真集の撮影で富良野・美瑛に行かせていただいたんですが、そのとき、北海道がすごく好きになったのと、そのときは、(美瑛の)青い池に行けなかったのでぜひ行ってみたいと思っていました。それと旭川動物園にも行きたくて。シロクマとかペンギンがひと目見たかったというのも理由のひとつです。青い池は、雪が降り積もっていてまったく見えなくて、雪に木が刺さっている姿がライトアップされていて味のある光景でした。

――ひとりでの撮影で苦労したところはありますか?

冬の北海道の撮影は交通手段が大変でした。雪が降っていましたし、車の運転もできないし、駅までたどり着いたはいいものの、雪でスーツケースも転がせないみたいな。バスを乗り継いだり、民泊みたいなところに宿泊していたんですが、そこのお母さんに送り迎えはしていただいたり。もう実家みたいな感じでした(笑)。

――写真集を作って、写真に対するイメージが変わったみたいなのはありますか?

写真集は自分のなかでとても大切で、そこが軸にあって、その写真集のときに得たものだったり、表現とか、写真の組み合わせだったりとか、自分の写真にも生かせたらいいなって思っていました。すごく影響受けてるなって思います。

写真展『みとめる』に込めた思い

――今回の写真展のタイトルを『みとめる』にした理由は?

私自身がすごく自信がなかったり、不安に思いがちな部分があったりで、そういうネガティブな性格なんですが、今までやってきた写真をこうして皆さんにお見せすることで、自分のことをちゃんと認められる写真展にしたいという思いがあります。私だけでなく、見てくださった皆さんにも、あまり自分を否定せずに、人間なので落ち込むときもあると思うんですが、私もこういう気持ちがあったというのを知ってもらうことで少しでも寄り添えるかなという意味合いも込めて『みとめる』というタイトルにしました。

――ファンの人の反応はいかがですか?

ハッシュタグでいくつか見させていただきました。私がこういう性格ということもすごくわかっていらっしゃるので、さらに奥の方を知ることができてよかったとか、普通に写真自体がすごい素敵だったとか、開催日がお誕生日だったので、それも含めてダブルでお祝いを言っていただきました。

――「コマーシャル・フォト」で写真の連載も始まりましたね。

写真を勉強しながらの連載ですが、専門大学かなって思ってます。授業です(笑)。毎回、先生に批評をいただくんですけど、ドキドキしてます。でもその道のプロフェッショナルの方なので、すごくありがたい経験です。今月のテーマは、「食べ物を撮る」だったのですが、食べ物を撮ったことが全然なく、美味しそうに撮るっていうのに注力したこともなかったので、いろいろ技術を教えていただいています。

――最後にこれからどんな写真撮っていきたいですか?

周りに可愛い子がたくさんいるので、彼女達を撮影するのがいちばん好きかなって思うんですが、最近はみんなに見せるのではなくて、私だけで見ていたいという気持ちもあります(笑)。その時々によって興味があることがけっこう違うのですが、自分が撮ってみたいという自分の気持ちを最優先させてこれからもいろいろな写真を撮っていきたいと思います。

 

撮影_木村哲夫