マイナンバーカード、これからどうなる?
オンライン取引や確定申告などで、マイナンバーを使う機会が徐々に増えています。今はまだマイナンバーカード普及率は1割程度ですが、健康保険証代わりに使えるなどの施策も発表されています。活用法はこれから広がっていくのでしょうか?
今回は「マイナンバーカード」について、経済学者の安田洋祐さんに解説していただきました。
安田洋祐さん
経済学者。専門はゲーム理論。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から大阪大学准教授に就任。『報道ランナー』(関西テレビ)や『ミヤネ屋』(読売テレビ)にコメンテーターとして出演するほか、財務省「理論研修」講師、金融庁「金融審議会」専門委員を務めるなど多方面で活躍。ユニークな視点での経済解説に定評がある。
マイナンバーカードとは?
マイナンバーが記載された顔写真付きのカード。氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバー、本人の顔写真などを表示し、個人番号を証明する書類などとして使えます。
マイナンバーカードで何ができる?
・各種行政手続きのオンライン申請
・オンラインバンキングなどの取引
・コンビニ等で各種公的証明書を取得 など
安田洋祐さんの考えるマイナンバーカードのこれから
・マイナンバーでなく二次元コードを記載するなどセキュリティ強化が必須。
・マイナンバーカードの普及率が低い今が仕様変更のチャンス。
・セキュリティ面がクリアになり普及が進めば有効な活用法が広がる可能性大。
セキュリティ強化が普及のカギに
2016年1月に始まったマイナンバー制度。開始から数年が経過しているものの、いまだにマイナンバーカードの普及率は12%程度と低迷しています。各種行政手続きのオンライン申請などで使える便利なカードですが、今後は健康保険証の代わりにも使えるようになる予定です。それなのに、なぜこれほどまでに普及しないのでしょうか?
大きな理由として考えられるのは、セキュリティの問題です。現在交付されているマイナンバーカードの裏面には、マイナンバーが記載されています。実際には暗証番号も必要なため、マイナンバーを知られただけで個人情報や行政手続きの内容が漏洩することはありません。しかし、個人情報に加えて個人番号まで記載されたカードを持ち歩くのは不安だという気持ちもわかります。そこで提案したいのが、カードに数字を直接記載するのではなく、二次元コードを印刷したカードを発行するという方法です。
健康保険証代わりなど活用法が広がる可能性も
利用者は、カードを見られてもマイナンバーを知られることがないので安心ですし、万一カードを紛失しても、新たな二次元コードを印刷したカードを再発行すれば数字そのものを変える必要もありません。顔認証による本人確認などと併用すれば、危険性をさらに減らすこともできます。現行のカードに内蔵された電子証明書の有効期限は、発行から5回目の誕生日です。カード自体の仕様を変えるなら、マイナンバーカードの普及率がまだ低く、マイナンバー制度開始時にカードをつくったカード所有者の更新時期が近づいている今がチャンスです。
安全性が認知されて普及が進めば、マイナンバーカードは今までにないイノベーションを生み出す可能性があります。健康保険証の代用では、過去の病歴を病院を越えて共有できたり、お薬手帳の代わりになったりと、利便性の向上が期待できます。将来的には、二次元コードをかざせば年金が受給できる、といった便利な使い方ができるようになるかもしれません。せっかく交付されるマイナンバーカードだからこそ、懸念材料を解決し、さらに有効な活用法が広がっていくことを願っています。
※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。
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イラスト/熊野友紀子 構成/タカノマイ(Mart編集部)
Mart2019年7月号
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