40代こそ「苦手」に挑戦することが自信につながる|悟空のきもち 代表・金田 淳美さん
女性としてこれからのキャリアについて悩むSTORY世代。’22年に女性活躍推進法が改定されてからはますます女性の活躍が期待され始め、徐々に女性管理職比率も高くなってきています。個人として評価され活躍される女性リーダーの方々には、キャリアの狭間で自身の生き方を見つめ、可能性を信じてチャレンジする姿がありました。今回ご登場いただくのは、悟空のきもち 代表の金田淳美さんです。(全2回の2回目)
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金田淳美さん(40歳)
悟空のきもち 代表
「悟空のきもち」代表、株式会社ゴールデンフィールド社長。滋賀県出身。同志社大学卒業後に会計士として大手監査法人に入社。 その後退職し、2008 年に日本初の頭ほぐし専門店「悟空のきもち」を京都にオープン。 京都・大阪・東京に計5店舗、「Goku SPA」2店舗を展開。日本の極上ヘッドスパ専門店「悟空SPA」が 2024年に香港初上陸。「絶頂睡眠」に誘う施術が評判を呼び、新規予約枠は約1分で埋まる人気ぶり。
STORY編集部(以下同)――「悟空のきもち」1号店は、なぜ京都に出されたのですか?
大学が京都でした。京都の街って、東京で流行った、とか、東京だと行列になる、みたいなものが、京都に来るとすぐ潰れちゃうんです。うまくいかないんですよね。「何で京都では通用しないんだろう?」と学生時代よく考えていました。でも、関西のものが東京に行くとめっちゃ流行る、という現象も見ていたんです。
だから、関西からは東京に行くことができても東京から関西に行くのは意外と難しいかもしれない。だったら「一番難しい京都」で勝ったら、全国でも行けるんじゃないかと考えました。私はビビリで大きな挑戦はできないので、駄目だった時に最小限のダメージで終わらせることが重要。本当にうまくいくかわからないので、駄目だった時はここで終われるように、という保険をかけていました。第1ステージの京都でもしクリアできないなら、きっともっと大きい挑戦はできないので、京都をまずクリアして、そこから徐々に大阪、東京と、西固めにしてからと考えました。
――「悟空のきもち」という名前の由来は?
悟空が頭につけていた輪っかを取った時の解放感を味わってほしいという思いです。でも一番最初にお店の名前を考える時に参考にしたのは洋麺屋五右衛門さんでした。パスタは女性のイメージがあり、イタリアンのお店とかは、女性が埋め尽くしているイメージがありました。でも洋麵屋五右衛門っていう名前からか、男性でもパスタのお店に入りやすくしたような感覚が自分の中にあって。だから、男性でも女性でも気軽に施術を受けれるようにするためには、何か洋麺屋五右衛門さんのようなネーミングを自分のお店につけたいという思いがありました。
――頭のほぐしを受けながら眠りにつくというアイデアは、自分が寝れなかった経験からでしょうか?
会計士の頃、寝れないことというよりかは、しっかり寝ているのに日中仕事に集中できないことに悩んでいました。短時間でも質の良い睡眠で、結果が出るようになったらいいんじゃないかと感じました。寝ても寝ても眠たい、しっかり寝ても次の日がいつも調子がいいとは限らない、という日々だったんです。
――仕事をされている上で、「これだけはブレたくない」ということはありますか。
責任は全部自分が負う、ということです。どんな仕事もそうなんですけど何かあった時の責任を負う覚悟を持ってやっています。「もうしょうがない」と思っても、自分がその覚悟を持てばいいことだけはブレていない気がします。
――仕事以外の趣味はありますか?
それは聞かれるのが一番嫌なんですよ(笑)。仕事が趣味みたいなものです。昔は本当に趣味がたくさんあったんですけど。今は本当に仕事が楽しいんだと思います。気づいたら仕事しかしていなかったです。仕事はプロジェクトをスタートしてから終わっていくところの、ロングストーリーの中で、得た喜びや感動、楽しさをそれ以外のもので補えなくて。プライベートの方がつまらなくなっちゃっています(笑)。
――プロジェクトが終わったあとの、自分のためのご褒美はありますか?
少し前、とんでもないプロジェクトを抱えていました。もう最後、何日徹夜したかわからないぐらい徹夜して。全部終わった時に、「こんなに大変だったんだから終わったら死ぬほど休んで死ぬほど遊んで、長期の休みをとろう」と思っていたのですが、いざ終わって1日経つと、「仕事したい」と言っていましたね(笑)。
――スタッフのために女性が働きやすいような会社作りをしているということですが、どのような取り組みをしていますか?
弊社のセラピストは全員女性です。シフトもそうですし、その働き方も選べるんです。ほとんど正社員ですが、1日の中で働く時間を自分で好きなように選べます。仕事の幅も今は増えて、セラピストの枠を超えて仕事をしたい人もいれば、役職関係なく、自分でやりたいと言えばやれるようになっています。人はみんな考え方が違うので、私みたいな完全に仕事を優先してしまってプライベートに楽しさを感じなくなっている人もいれば、プライベートの充実が自分の心の健康になりますっていう人もいるし、何かそれを一つの型にはめることが一番不幸だと思っています。
それぞれが自分の仕事は基本的に二の次、三の次でいいんです。私が思う女性の働き方は、何か生み出さなきゃいけない、とか上に上がらなきゃいけない、みたいな感覚はなくていいと思っています。
――今後の展望を教えていただけますか?
1月に香港にお店を出したばかりで、自分のやりたかったこと思っていたことは、結構やりきりました。今後はお店を、会社の発展を見ていきたいなと思うようになってきました。自分がNOと言ってきたものも、今後は受け入れてみたら違うことができるかもしれない。新しい文化を考えるためのお店の出し方や会社の作り方をしていきたいと思っています。
――STORY世代でこれから仕事を始めたいと思っている方にアドバイスや、マインドの持ち方などあれば教えてください。
もし挑戦をするとしたら、自分の得意なものを探そうとはしない方がいいと思います。自分は何が向いているかとか、自分は何が得意か、みたいなことを探して、何かを始めようとした時40歳だったとします。40歳にもなるとしっかりとプライドができているし、しっかりと頑固なんですよね。それで何か得意なものとか自分のできるものをやろうとすると、できていなくても「いや、できてる」と思い込んでしまうし、できていないことに対して傷ついてしまう。
私が今挑戦していることは自分の得意なものではなく、自分が苦手なものだったり、向いていないと言われたことばかりやってるんです。そうすると駄目って言われても「そもそも苦手だしそもそも向いていませんでした」と思えるし、逆にそれができたりしたら、「あれ意外とできたんだ」とプラスに考えられます。
苦手なものとか、無理って言われたものはどっちにも転ばなくて、それがうまくいったら自信になるだけ。楽しい挑戦にしかならない。だから、苦手なこと、やっていなかったことにぜひ挑戦してもらいたいです。
撮影/BOCO 取材/加藤景子
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