佐久間由衣さん(29)「20代前半はもどかしくて苦しかった」人生が好転した“学び”とは
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東京・京都・愛知で上演される舞台「ヴェニスの商人」で豪華キャストの一員として出演する佐久間由衣さん。現在29歳、まさにCLASSY.世代の佐久間さんに、20代を振り返りながら、30代に向けての仕事観を語っていただきました。
Profile
1995年3月10日生まれ。神奈川県出身。2013年「ViVi」の専属モデルオーディションで、グランプリを受賞。ドラマ「トランジットガールズ」で本格的に俳優デビュー。出演作はドラマ「チア☆ダン」「最愛」、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」「らんまん」、映画「“隠れビッチ”やってました。」「君は永遠にそいつらより若い」「キングダム」など多数。12月から始まる舞台「ヴェニスの商人」では初のシェイクスピア作品に挑む。
俳優にとって舞台は贅沢な仕事。一番後ろの席の人にまでエネルギーを届けたい
――今回、佐久間さんにとって二度目の舞台となる『ヴェニスの商人』に出演されます。舞台のお仕事に、どのようなやりがいを感じていますか?
舞台は稽古期間がしっかりあって、何度も何度も本番をさせてもらえるというところが、すごく贅沢なお仕事の仕方だなと思います。ただ、「もう一回お願いします」とやり直すことはできないので、そこは緊張感があります。そんな部分も楽しみつつ、取り組めたらいいなと思っています。
役を理解する作業はドラマや映画と同じですが、舞台では、自分のエネルギーを一番後ろの席に座っているお客様まで届けることがすごく大事だな、と初めての舞台で感じました。その時に、藤原竜也さんと共演したのですが、ずっと舞台に立ってきた方のエネルギーの出し方は凄まじくて。そこには到底及ばないかもしれませんが、自分が持っているものをしっかり出していきたいですね。どうやったらそれができるのか、稽古中にチャレンジしながら、キャストやスタッフの方ともコミュニケーションをとって吸収していきたいです。
――『ヴェニスの商人』では富豪の娘・ポーシャを演じます。キーパーソンとなる役ですね。
ポーシャは、1人2役のような部分もある重要な役。今からブルブル震えています。どう演じたらいいのか、なかなかわからなくて未知なので、演出家の森新太郎さんや、出演者の皆さんとたくさん話し合いながら、良い作品を作っていけたらいいなと思っています。
シェイクスピア作品は理解するのに時間がかかるイメージがあったのですが、すばらしい翻訳のおかげで台本はすごく面白くて、シチュエーションも思い浮かびやすく、人の気持ちがシンプルに入ってきたので、とても楽しみながら読ませていただきました。一つ一つのセリフもすごく魅力的で、実際に役を通して言葉にすることが今から楽しみです。
苦しくてもどかしかった20代前半。自分をさらけ出したら楽になれた
――今年は20代最後の年。CLASSY.世代でもある佐久間さんですが、どんな30代にしたいですか?
歳をとることはポジティブに捉えているので、30代は純粋に楽しみです。周りには、楽しそうに30代を過ごしている人たちがたくさんいるので早く仲間に入りたい!
20代前半は、とても苦しかったんです。自分の表現したいことがあるけれど、そこに自分が追いつけず、具現化できない。そんなもどかしさみたいなものに直面して、時に背伸びしたり、やさぐれたり、不安定な時間を過ごしていたな、と。今思うと、それはそれで、毎日一生懸命過ごしていたなと思います。
20代後半からは「できないことも、わからないことも全部さらけ出してみなさんに頼ってやっていこう」という気持ちになったら、心が楽になって、色々なことに集中できたんです。
――その変化には、何かきっかけがあったのでしょうか?
20代前半は「わかっていなきゃいけない、背伸びしたい」という気持ちがあったのですが、このやり方だと限界があるなと。自分ひとりでできることには限界があるというか。みなさんの力を借りて、自分を活かしていくのがこの仕事の醍醐味だと、考えていくうちに行き着きました。
一番のきっかけとなったのは、初めての舞台を終えて「できないこと、わからないことはコミュニケーションをとって、ちゃんと自分の心を伝えて、みんなで作っていくということを大事にしたい」と思ったことです。特に舞台は総合芸術なので、役者は一つの分野にすぎないというか。自分だけがビジョンを描いていても、みなさんと共有できていないと、うまくいきません。それは映像作品も同じで、わからないことや「こうしたい」ということは、積極的にコミュニケーションをとって、一つの作品に責任を持って関わりたいと思いました。
実際に、そうやって現場に挑むと、そこから学ぶことがとても多くて。自分から聞いて、答えてもらえることで、すごく勉強になりますし、その方が気持ちも楽。30代からは、よりシンプルにエネルギーの出し方をちゃんと定めて出していきたいと思っています。
Information
舞台『ヴェニスの商人』
深い人物描写と痛快な展開で圧倒的な人気を誇る最高傑作が、個性豊かな俳優陣とともに古典の常識を覆す新しいアプローチで現代のエンターテイメントに生まれ変わる注目の舞台。シェイクスピア作品でも稀代の悪役で知られる高利貸のシャイロックを、草彅剛が演じる。
脚本:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子 演出:森新太郎
出演:草彅剛、野村周平、佐久間由衣、忍成修吾ほか
東京公演:日本青年館ホール 2024年12月6日〜22日
京都公演:京都劇場 2024年12月26日〜29日
愛知公演:御園座 2025年1月6日〜10日
トップス¥18,500※参考価格(COS/COS青山店) ボトムス¥7,700(スピード/ゴールドウイン カスタマーサービスセンター) タイツ¥19,800(ババコ/ショールームリンクス)シューズ¥60,500(カチム)
撮影/河内彩 ヘアメーク/宮本佳和 スタイリング/柳田真樹 取材/加藤みれい 構成/越知恭子