【JJドラマ部】最後まで観たい!2025年秋ドラマベスト5【ネタバレあり】
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『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS)公式ホームページより
10月にスタートした秋ドラマもいよいよ中盤に入り、最終回に向かって盛り上がってくる頃です。40本近い作品の中から、ドラマオタクのコラムニスト小林久乃と元JJ編集長イマイズミが継続視聴を決めた5本をご紹介いたします。
【コラムニスト小林久乃が選んだ5本】
①じゃあ、あんたが作ってみろよ(火曜22時/TBS系)
②小さい頃は、神様がいて(木曜22時/フジテレビ系)
③ぼくたちん家(日曜22時30分/日本テレビ系)
④娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?(火曜23時/関西テレビ・フジテレビ系)
⑤ザ・ロイヤルファミリー(日曜21時/TBS系)
【元JJ編集長イマイズミが選んだ5本】
①シナントロープ(月曜23時06分/テレ東系)
②じゃあ、あんたが作ってみろよ
③エリカ(火曜24時45分/フジテレビ系)
④ザ・ロイヤルファミリー
⑤ちょっとだけエスパー(火曜21時/テレビ朝日系)
竹内涼真の当たり役「海老カツ」にみんなが夢中!
元JJ編集長イマイズミ(以下、イマ):今クールで一番話題をさらっているのは、やっぱり『じゃあ、あんたが作ってみろよ』ですよね。小林さんは1位、私は2位に入れました。第1話のTVer再生回数がTBSドラマ歴代1位、600万回を突破したというのも納得です。
小林久乃(以下、小林):最大の魅力は、なんといっても海老原勝男を演じる竹内涼真。世界を救うヒーローみたいなカッコいい役じゃなく、どこにでもいそうな等身大の男をここまで自然に演じられるのはすごい。みんな、こういう竹内涼真を見たかったはず!
イマ:間違いなくキャリア最大の当たり役ですよね。勝男の「強いて言うなら、全体的におかずが茶色すぎるかな」っていうセリフは、リアルで言ったことある人じゃないと出せないトーン。あれは絶対“素”ですよ(笑)。
小林:そんな古い価値観の男だった勝男が、振られたのをきっかけに料理を始めたり、マッチングアプリに挑戦したりと、ちょっとずつアップデートしていく姿が本当に健気で、気づけば応援したくなっちゃうんですよね。
イマ:私も毎回「頑張れ、勝男!」って気持ちで観てます。女社長の椿(中条あやみ)や後輩の南川(杏花)、白崎(前原瑞樹)といった周囲のキャラが、勝男を優しく支える構図もあたたかくていい。
小林:勝男って、意外に言われたことを素直にやってみるタイプだから、憎めないんですよね。そして忘れちゃいけないのが、鮎美(夏帆)の新しい恋人・ミナトくん(青木柚)! こういう“普通っぽい”ビジュアルの男が一番タチ悪いんですよ(笑)。本気で人を好きになったことがなさそうな雰囲気がリアル。
イマ:青木柚は映画『秒速5センチメートル』など話題作にも次々と出演していて、演技力にも定評があります。ミナトくんみたいなフワ~ッとした男、「いるいる」って思わせますね。そして彼がいるから、勝男の不器用な愛情が際立つ。
小林:勝男は回を追うごとにどんどんいい男になってるから、もう鮎美とヨリを戻さなくてもいいんじゃない?って思ってきました。
イマ:確かに。でも、鮎美も少しずつ変わってきてますよね。原作漫画はまだ完結していないので、ドラマオリジナルのラストがどうなるのか楽しみです。個人的には、劇中でチラッと出てくるトレンディードラマ『フォーエバーラブは東京で』も気になって仕方ない(笑)。
小林:そういう制作陣の遊び心も含めて、このドラマは語りどころが多すぎます!
名作『オッドタクシー』を彷彿とさせるオシャレ考察系の深夜ドラマ
イマ:私が今クールの1位に選んだのは『シナントロープ』。登場人物たちのテンポのいい会話劇、伏線だらけのストーリー展開、若手俳優たちの演技合戦。もう、どこをとっても私のツボでした。
小林:“シナントロープ”って、そもそもどういう意味なんですか?
イマ:「人間の生活圏に生息して、人工物を利用して生きる野生の動植物のこと」なんですが、作中では登場人物たちがそれぞれ“鳥”に例えられています。都成剣之介(水上恒司)はアオアシカツオドリ、水町ことみ(山田杏奈)はキバラオオタイランチョウ、木場幹太(坂東龍汰)はキバタン…という感じで。
小林:キャストも豪華ですよね。他のドラマだったら、主役を張るような若手俳優が勢ぞろいしてる。
イマ:みんな演技力があるんですけど、中でも印象深いのは、“動かない鳥”ハシビロコウに例えられた志沢匠を演じている萩原護。ほとんど動かないのに存在感がありすぎて、つい見入っちゃいます。
小林:折田(染谷将太)率いる裏組織〈バーミン〉のメンバーも、深夜ドラマ常連のクセ者俳優ぞろいで最高ですね。
イマ:そのへんのキャスティングもセンスがいいなーって。脚本の此元和津也さんって、もともと漫画家でもあるから、キャラの立て方が抜群に上手い。彼が脚本を書いたアニメ『オッドタクシー』(2021年/テレ東系)のように、登場人物が勝手に動いてるように見えて、最後にはピタッと一本の線でつながる——、そんな見事な構成力は今回も発揮されるはず。
小林:初回で、目出し帽をかぶった客が普通にハンバーガー食べてる最中に、目出し帽をかぶった本物の強盗が入ってくるシーン、あれは笑いました(笑)。
イマ:シリアスとユーモアのバランスが絶妙ですよね。後半に入って、都成と水町の関係がどう動くのか、そして折田が探している“シマセゲラ”とは何者なのか、謎は深まるばかりで最後まで目が離せません。
令和ならではの新しいホームドラマがランクイン
イマ:小林さんの3位は『小さい頃は神様がいて』ですね。
小林):脚本の岡田惠和さんが描く、あの“あたたかい世界”に惹かれます。会話のリズムが独特で、聞いていて心地いい。できることなら登場人物たちが暮らす「たそがれステイツ」に住みたいくらいです。
イマ:結婚20年目で、突然離婚を言い渡される恐怖…! 小倉渉(北村有起哉)のあの動揺っぷり、わかる気がします。
小林:いや〜、わたし調べでは、結婚してる女性の99%は離婚したいと思ってますよ(笑)。しかも、妻のあん(仲間由紀恵)は19年前に「子どもが20歳になったら離婚する」って約束したんですから。忘れてた渉が悪い!
イマ:いやいや、普通は「まさか本気じゃないよね?」って思うでしょ…。
小林:小倉家以外の、たそがれハイツの他の住人たちもまた魅力的なんですよ。2階にはレズビアンのカップル、1階には娘を事故で亡くして、いまは彼女の子どもたちと暮らしている老夫婦。誰もが少しずつ傷を抱えていて、それでも前に進もうとしている。岡田さんって、そういう“血の通ったキャラクター”を描くのが本当に上手い。
イマ:あと、渉とあんの息子・順を演じてるWEST.の小瀧望くん、久しぶりの地上波ドラマ出演ですよね?
小林:そうですね。最初に俳優としての彼を観たのは『世界一難しい恋』(2016年/日テレ)だったんですが、あのときから演技が上手かった。今回は天使のように爽やかだけど、実は何かを抱えてるという難しい役どころ。あの柔らかい笑顔の裏に影がある感じがすごくいい。ただのホームドラマでは終わらなそうな予感がします。
イマ:ホームドラマといえば、小林さんは3位に『ぼくたちん家』を挙げてますね。
小林:なんといっても、恋する50歳のゲイ・波多野玄一を演じるミッチー(及川光博)が最高! ちょっとした仕草や表情のひとつひとつが、ホントに可愛らしいんです。
イマ:これまでの“何か企んでる教頭”とか、“出世欲にまみれた官僚”とか、インテリ系くせ者キャラの印象が強かっただけに、新鮮でしたよね。逆に、いつもは人の良いおじさん役が多い光石研が、ろくでもない父親・市ヶ谷仁を演じているのも面白い。
小林:そうそう、おじさんつながりでいえば、玄一の元恋人・鯉登裕太郎を演じる大谷亮平もハマってました。
イマ:このドラマ、企画段階から“インクルーシブプロデューサー”として、日本テレビの白川大介さんという方が関わっているそうです。白川さん自身、ゲイであることをカミングアウトされていて。
小林:なるほど。性的マイノリティーの人たちが直面する現実に、きちんと向き合ってるなと思いました。それに、ほたる(白鳥玉季)たちのような“トーヨコ”にたむろする子を、ただの可哀そうな若者として描いていないところに好感が持てます。
イマ:ちょっと風変わりなホームドラマかと思いきや、社会問題にもちゃんと踏み込んでいる。
小林:でも、全体のトーンはほんわかしていて、観るとホッとします。玄一と索(手越祐也)の関係がどう変化していくのかに加えて、ともえ(麻生久美子)が横領した3000万円はどうするのかというミステリー的な要素もあり、これからますます面白くなっていきそう。
イマ:『小さい頃は神様がいて』も『ぼくたちん家』も、血のつながりはなくても、同じ屋根の下でお互いを思いやりながら暮らしていくという点が共通していますよね。かつてのような大家族ドラマは少なくなったけれど、いまは新しい形のつながりを描くことが、令和のホームドラマなのかもしれません。
深夜ドラマから「サイコホラー」と「復讐劇」の2作品をピックアップ
小林:イマイズミさんが選んだ『エリカ』はノーマークでした。
イマ:実は私も(笑)。10年以上前の漫画が原作のサイコホラーなんですが、とにかく映像が気持ち悪い! エリカ(茅島みずき)が住むゴミ屋敷の作り込みとか、ハチノス入りの真っ黒なビーフシチューとか…美術スタッフの執念が感じられます。
小林:うわー、それは観る人を選びそうですね。
イマ:学校では浮いているエリカは、ちょっと優しくしてくれた教師・青嶋一哉(渡辺大知)に異常なほど執着して、邪魔者を次々と排除していく。最後は青嶋の妻を誘拐して自分に従わせようとするんですが、もしかしたら、ただ一途で不器用なだけの可哀そうな子だったんじゃないかと思わせます。
小林:主演の茅島みずきちゃんって、どんなドラマに出てましたっけ?
イマ:『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023年/日本テレビ系)や『素晴らしき哉、先生!』(2024年/テレビ朝日系)など、学園ドラマによく出ていました。元セブンティーンモデルで、身長が170cmもあるから迫力満点。最終回に向けて“ダークヒロイン”ぶりがどんどんエスカレートしていくのがたまらなかったです。
小林:え、もう最終回だったんですか?
イマ:全6話なんですよ。正直、それくらいの長さじゃないと、怖すぎて見ていられなかったかも(笑)。
小林:同じ深夜ドラマで私が選んだのは『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』。タイトルからしてインパクト大ですよね。
イマ:設定もすごい! 娘をママ友たちに殺された母親・篠原玲子(水野美紀)が、全身整形で25歳の新米ママ・篠原レイコ(齊藤京子)に生まれ変わって復讐していくという…。
小林:いくら全身整形でも、水野美紀と齊藤京子じゃ骨格からして違うのに(笑)。このドラマの見どころは、やっぱり水野美紀! 普通のドラマなら“整形前”は回想でちょっと出るくらいなのに、若返ったレイコから一瞬、玲子に戻る演出があって、彼女の出番もたっぷりあるんですよ。
イマ:『ディアマイベイビー ~私があなたを支配するまで~』(2025年/テレ東系)の松下由樹もそうでしたけど、深夜ドラマに実力派女優が出ると一気に面白くなりますよね。
小林:そもそも荒唐無稽な設定だけど、彼女の演技力があるから説得力が増します。そして、夫役も深夜の実力派俳優・竹財輝之助(新堂幹久役)。
イマ:安定のクズ夫ですね(笑)。昔、CLASSY.の誌面ではよく“理想の彼氏役”として出てもらってたんですけど、まさかこういう未来が待ってるとは思いもよらなかったな…。
小林:そして物語はいよいよラスボス・ママ友の新堂沙織(新川優愛)との対決へ。
イマ:やっぱり深夜ドラマは、外せませんね!
王道の人間ドラマ・日曜劇場と人気脚本家のSFドラマに注目
イマ:私が4位、小林さんが5位に選んだのが『ザ・ロイヤルファミリー』。小林さんが日曜劇場を挙げるのって、ちょっと意外です。
小林:そうなんですよ。タイトルを見たときは、『華麗なる一族』(2007年/TBS系)みたいなセレブ一族の話かと思ったら、まさかの主役は“馬”!
イマ:このドラマは競走馬の生産や育成の仕組み、レースのグレードなどをすごく丁寧に描いていて、初心者にもわかりやすいのがいいですよね。20代の頃によく競馬中継を観ていたので、懐かしい気持ちになりました。
小林:正直、競馬って『ザ・ノンフィクション』の後にやってる『みんなのKEIBA』(ともにフジテレビ系)くらいの印象しかなかったんですけど、こんなに馬がたくましく美しいなんて思いませんでした。
イマ:JRAが全面協力してるだけあって、レースシーンの迫力はすごいですよね。観客エキストラの数も尋常じゃない!
小林:私の知り合いの女性でも、馬の生涯を自分の人生と重ねながら観てる人、多いんですよ。
イマ:え、そっちの見方ですか?(笑)。てっきり、ずっと役柄も名前も伏せられていた目黒(蓮)くん(中条耕一役)狙いかと。
小林:ファンの間では、原作小説から彼の役どころを推測していたみたいですけど、第5話でついに山王耕造(佐藤浩市)の隠し子として登場しましたね。もちろん彼もいいんですが、妻夫木聡(栗須栄治役)、安藤政信(広中博役)、高杉真宙(佐木隆二郎役)——このキャスティングがまた完璧で。
イマ:有馬記念が物語のクライマックスになりそうですね。ロイヤルホープは優勝できるのか、耕造と耕一は和解できるのか、そしてあのカップルは結ばれるのか…気になりすぎて、今から原作小説を読もうか迷ってます。
小林:いやいや、せめて最終回を観終えてからにしましょう(笑)。
イマ:そして、私の5位は『ちょっとだけエスパー』。これ、大泉洋(文太役)の“おいしいところ”を全部味わえる作品なんですよ。どこまでが台本で、どこまでがアドリブなのかわからないくらい自然なセリフ回しがおかしくて。第2話の、車の中で尿意をもよおすシーンはまさに彼の真骨頂。
小林:地上波の連ドラでは久しぶりの宮崎あおい(四季役)も、驚くほど昔と変わってませんね。ホント可愛らしい。
イマ:ある薬を飲んでちょっとだけエスパーになる展開なんですけど、脚本の野木亜紀子さんがXに投稿した台本の表紙に、四季がその薬を飲むことを予想できるイラストが描いてありました。
小林:最初は大泉洋のコミカルな演技のせいで『ホットスポット』(2025年/日本テレビ系)みたいな“ほんわかSF”かと思ってたんですが、2話目でまさかのバッドエンド。やっぱり野木亜紀子さん、一筋縄ではいかない雰囲気が出てきました。
イマ:北村匠海(市松役)もまだ本格的に登場してませんが、『ザ・ロイヤルファミリー』の目黒くんみたいに、“イケメン登場を中盤まで引っ張る”のが最近のトレンドなんですかね?
小林:視聴者を途中離脱させないために、みんな知恵を絞ってるんですよ。
イマ:それにしても、前回の対談で予想したラインナップとはだいぶ変わりましたよね。
小林:実際、観始めてみないとわからないのが連続ドラマのいいところ。これからラストに向けての盛り上がりを楽しみましょう!
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小林久乃(こばやし・ひさの)コラムニスト、編集者。正々堂々の独身。中学生から地上波ドラマを愛して30年以上、筋金入りのオタク。好きが高じてついには『ベスト・オブ・平成ドラマ!』(青春出版社刊)を上梓した。ラブストーリーが好きで、特に禁断の恋がテーマとなると視聴熱が俄然、盛り上がる。公式HPはhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp
元JJ編集長イマイズミ 女性誌『CLASSY.』『JJ』の編集長を歴任。1クールの地上波ドラマを全録画するようになったのは、編集長になった13年ほど前から。「仕事で新しい俳優、タレントさんを覚えるため」というのが理由だったけど、見事に大ハマり。ホームドラマとラブコメ好き。韓国ドラマもやや中毒。

イラスト/lala nitta