「世界中の女性を真珠で飾りたい」世界で初めて養殖真珠が誕生した〈ミキモト真珠島〉で感動体験
【Day 2:ミキモト真珠島編】 私たちが今真珠を気軽に楽しめるのは、御木本幸吉氏のおかげです
LINK+Uメディアツアーも2日目を迎え、今日は世界で初めて真珠の養殖に成功したミキモト真珠島へ案内していただきました。昔は桟橋から連絡船が出ていたそうですが、今はパールブリッジと呼ばれる橋を歩いて渡ることができるので便利です。
創業者の御木本幸吉氏は真珠に生涯を捧げ、真珠王と呼ばれていた人。昔は限られた人しか身につけることができなかった真珠を、「世界中の女性を真珠で飾りたい」と夢を抱き、世界で誰も実現することのできなかった真珠の養殖を成功させた人物です。
真珠島の中には、御木本幸吉氏の銅像も建てられています。当初銅像の建設には謙遜し遠慮していた本人も、いざ創るとなったら上野の西郷隆盛像よりもちょっぴり高くしてというリクエストを出したお茶目な性格(笑)。なので西郷隆盛像よりも30cmほど高く作られているそうですよ。
養殖でも、アコヤガイの約50%が死貝になってしまう難しさ
島内にある真珠博物館の1階は、真珠のできる仕組みや養殖方法など数多くの資料や映像とともに展示してあります。真珠を作る難しさや養殖場での作業など知らないことも多く、なんと核入れ手術を行ったアコヤガイの約50%が死貝になってしまうという事実! 更に良質の真珠は全体の約30%というから、長い時間をかけた養殖真珠の貴重性というのは分かりますね。
企業としても、環境に配慮した持続可能な真珠養殖を実現。使われなかった貝殻は粉にして化粧品やお菓子などへ循環させ、貝肉は食品や健康食品などへ産業廃棄物を何も出さない「ゼロエミッション」の活動が行われているのです。素晴らしい。
寒い冬でも、海女さんの実演風景が見られます
そして外では海女さんの実演が行われ、昔ながらの白い磯着を纏って潜る姿を見られるのは真珠島だけだそうです。アコヤガイの真珠繁殖における浜揚げの季節は12月〜1月頃で、真冬の海に磯着で潜るなんて過酷でしかない……。海女さんが躊躇なく船からいきなり飛び込んだ姿は衝撃! この日の気温は16℃くらいだったのですが、見ているだけでも寒そうでした。もう尊敬しかありません。
今は海女さんの人数もかなり少なくなり伊勢志摩エリアで600名程らしいのですが、思ったよりも多くて驚きました。それにしても海女さんの潜る姿が美しく、 シンクロナイズドスイミングの選手のようで感動しました。
御木本幸吉氏ってどんな人?
御木本幸吉氏は、生まれ育ったうどん屋では身代を築くのは無理と分かっていたようで、大きな目標を掲げることで自分に課題を与えて鼓舞していった人。初めての店舗は東京の銀座4丁目と決め、最初から富裕層の顧客をターゲットに決めていました。新聞記者を集めて粗悪な真珠を目の前で火をつけて燃やすというパフォーマンスをし、「ミキモトは最高級の真珠しか扱いません」と言ったとか。実業家としても優秀で、メディアの扱い方も流石の一言です。
もともと天然真珠は1000個の貝の中に、1個あるかないかの希少な宝石。あのエジソンからも「自分の研究でできなかったものの一つ。動物学上不可能とされていた真珠を発明完成したことは世界の脅威」と言われたそうです。御木本幸吉氏のおかげで私たちは真珠を日常に取り入れたオシャレを楽しむことができるのは感謝ですね。因みに、私の結婚指輪はミキモトで購入しました。パールではなくダイヤモンド入りでしたけどね(笑)。
伊勢名物のご馳走をいただきます
話は戻り、お昼は真珠島の中にあるレストラン「阿波幸」にて名物の伊勢うどんセットに舌鼓。「阿波幸」とは、創業者の御木本幸吉氏の生家であるうどん屋の店名を引き継いだレストランで、大きな窓から海を望んでゆったりとお食事が楽しめます。東京の人間からすると珍しいアコヤガイの貝柱を使った、干し貝柱や貝柱のフライなど味わえるのも嬉しい。生まれて初めて食べたアコヤガイの貝柱は味が濃くて身がしっかししていて美味でした! 伊勢でも冬にしか市場に出回らないアコヤガイの貝柱をここでは一年中食べられるそうですよ。伊勢うどんも、今まで私が食べた伊勢うどんの中で一番美味しかったです。
お食事の後はパールプラザでお土産選び。お手軽なものから高価なものまで品揃え豊富で目移りしちゃいます。養殖真珠に関する難しさと人々の思いを知ったからこそ、真珠に対する想いもひとしお。私は自分と友達のお土産用に、真珠層由来のオリジナル成分※が入った入浴剤を4セットとフェイスパウダーを購入。お土産は真珠だけでなく、コスメやお菓子などもあるので見ているだけでも楽しいですよ。大好きなミキモトの歴史にもちょっと触れることができて大満足なツアーでした。
※加水分解コンキオリン(保湿成分)
https://www.mikimoto-pearl-island.jp/
取材・文/北野法子