多部未華子さん(36)「子どもを送ったらカフェに」母になり変化した仕事術【ドラマ『シャドウワーク』インタビュー】
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放送中のドラマ『シャドウワーク』で主演を務める多部未華子さん(36)。夫からのDV被害によって、心に深い傷を負った女性を繊細に演じています。そんな背景を持つ役柄のため、極端に少ないセリフ量や壮絶なDVシーンなど、多部さんにとっても初めての挑戦の連続だったとか。力強いメッセージ性を感じさせる本作の見どころについて、多部さんにインタビューしました。
Profile
1989年1月25日生まれ。東京都出身。中学2年生だった2002年、スカウトをきっかけに芸能界入り。2003年には、1,000人を超える応募者のなかから、映画『HINOKIO』のメインキャストに抜擢され、本作と『青空のゆくえ』の2作品で第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞する。2009年、NHK連続テレビ小説『つばさ』に主演。近年の作品には、『いちばんすきな花』(2023年)、『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(2025年)など、さまざまなテレビドラマに出演している。
壮絶な過去を乗り越える女性たちの姿に「力強いメッセージ性を感じました」
――まず、本作の原作や脚本を読んだ感想を教えてください。
DV被害という壮絶な過去を背負った女性たちの物語なので、テーマはとても重いんです。でも、彼女たちが自分の意思で人生を変えていく様子が描かれていて、力強いメッセージ性も感じました。1人の女性として、共感できる部分がたくさんありましたし、劇中のような雰囲気のシェアハウスが、実在してくれたらいいのになとも思いました。それぞれのキャラクターの役割がはっきりしていて、ドラマとしての面白さも追求されている、完成度の高いストーリーだと思います。
――多部さんが、こういったシリアスな作品に出演するのは久しぶりかと思います。オファーを受けた決め手は何だったんでしょう?
単純に、これだけの人数の女性が集まる作品ってあんまりないので、どんな現場になるんだろうと、興味が湧いたことが大きかったですね。実際、素晴らしいキャストの方々と一緒にお芝居ができて、本当にやってよかったです。
初共演の人も多かったですが、とにかく話題の尽きない現場でした
――たしかに、各世代を代表するような女優の方々が集まっていますよね。現場の雰囲気はいかがでしたか?
ずっとワイワイしていました(笑)。初めましての方も多かったのですが、とにかく話題が尽きなかったです。ご飯もみんなで集まって食べることが多かったですね。シェアハウスの女性たちはパン屋さんで働いているので、現場にいろいろな種類のパンが置いてあって。それを食べ比べては、どれがおいしかったか情報交換をしたりしていました。
――ちなみに、共演者の中でムードメーカーのような方はいましたか?
(須藤)理彩さんです! 以前、共演したときは、あまりお話しする機会がなかったので、こんなにおしゃべりな方だったんだと驚きました。理彩さんが来ると、現場の雰囲気がさらに明るくなって楽しかったです。
石田ひかりさんと久しぶりの共演「子育ての話で共感できてうれしかったです」
――石田ひかりさんとも、久しぶりの共演でしたよね。
そうなんですよ。今回は、私のライフステージが変わったこともあって、子育ての話で共感できたのがうれしかったです。(寺島)しのぶさんにも、お子さんの話を伺ったりして。ほかにも、四十肩とか老眼とか、共通の話題で盛り上がりました(笑)。
――お話を聞いているだけで、楽しい現場だったことが伝わってきます(笑)。今、ライフステージの変化という言葉が出ましたが、多部さんはまさに、子育てと仕事を両立をしている真っ最中ですよね。セリフを覚えたり、役作りをしたりする時間は、どうやって確保しているんですか?
家にいると、どうしてもほかのことが目に付いてしまうので、なるべく一人の時間を作るようにして、カフェで過ごすようにしています。その日のタスクを決めて、「絶対に、この時間までに終わらせる!」という気合で乗り切っています(笑)。
セリフは「……」ばかり。“受けの芝居”が難しかった
――多部さんが演じた、紀子というキャラクターについてもお伺いします。どんな人物だと捉えて役作りをされましたか?
紀子は、夫からの長年の暴力のせいで、自信を失ってしまっていて。自分がどうやって生きていけばいいのかも、見失っている状態。だから、口数が極端に少なくて、紀子のセリフは「……」ばかりでした。ただ、言葉は発していなくても、いろいろなことを察して、考えて、理解するという感情の流れがあるので、その表現がすごく難しかったです。これまで演じたことのない役柄でした。セリフがないと“受けの芝居”になるという点でも、一筋縄ではいかなかったです。ただ、本来の紀子は、芯がしっかりしているブレない女性なので、自分なりに理解して演じることができました。
――物語の冒頭には、壮絶なDVを受けるシーンもありますが、どんな思いで臨まれましたか?
私にとっては初めての経験でしたし、とても演じがいがありました。山田(篤宏)監督をはじめ、スタッフの方々とディスカッションしながら撮影できたのもありがたかったです。その後の物語の展開のために、このシーンはなるべく残酷に痛々しく映らないといけなくて。どんな“見せ方”をすればいいのか、みんなで話し合いながら作り上げました。
――多部さんも、意見を出したりしたのでしょうか?
そうですね。監督が、キャストやスタッフの方々に、フランクに意見を求める方だったので、助監督さんやカメラマンさんのアイデアを、その場ですぐに取り入れることもあって。新鮮で今っぽい現場だなと思ったんですけど、私にとってもすごくやりやすかったです。ただ、キャストの女性陣が常におしゃべりで盛り上がっていたので、監督がどう思っていたのか、少し不安でしたけど(笑)。
生きることを諦めない女性たちの姿に、きっと勇気づけられるはず
――それでは改めて、作品の見どころや注目ポイントをお願いします!
壮絶な体験をして傷付いた女性たちが、それでも生きることを諦めずに、強く前を向いていくさまを描いた作品です。シリアスで重いテーマではありますが、そんな女性たちの姿に、勇気づけられるはずです。彼女たちがどんな決断を下すのか、ぜひドラマを通して見守っていただけたらと思います。
Information
『連続ドラマW シャドウワーク』(WOWOWプライム・WOWOWオンデマンドにて毎週日曜22:00〜放送・配信中)
夫から長年暴力を受けている紀子(多部未華子)は、入院先の病院で看護師の路子(石田ひかり)と出会い、彼女が昭江(寺島しのぶ)と共同運営している、DV被害者のためのシェアハウスで暮らすことに。平穏な生活を手に入れた紀子だったが、その家にはある驚愕の“ルール”があった。Youtubeにて第一話無料配信中。
撮影/島津美紗 取材/近藤世菜 編集/越知恭子