井川遥さん(49)が語る、素敵な大人の条件「私自身、とても助けられました」【映画『平場の月』インタビュー』】

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年齢という階段を登った先の景色は未知だとしても、憧れや目標を持って進めばきっと近づくことができるはず。思い描くのは、井川遥さん。これまでの歩み、仕事、ファッションについての話から、素敵の理由を探ります。

井川遥さんが振り返る、「私がCLASSY.世代だった頃」

私がCLASSY.の読者の皆さんと同じ歳の頃は、今のキャリアは想像できていませんでした。20代前半でデビューした直後からお仕事に恵まれ忙しくなったものの、右も左もわからず、できていない自分に気後れする日々。当時の自己肯定感はかなり低かったと思います。この状況を打破しなければ。これ以上迷惑をかけ続けるわけにはいかない。と芝居のレッスンに通って、自分でもできていない部分や癖を分析して改善する作業をずっと続けていました。でもそんなに何かが劇的に変わる瞬間があるわけではもちろんなくて。ずっと苦しい気持ちは変わりませんでした。その頃、年に1度必ず舞台に立つようにしました。映像の現場のスピードや緊張の中ではなかなか変われなかったこともあって、舞台なら稽古期間があって本番もひと月近くある。小さな歩みかもしれないけれど、自分に落とし込む時間が持てたことでやっと普通に呼吸ができるようになった感覚になりました。

目まぐるしく過ぎた20代を経て、30歳で結婚。当初は仕事との両立はイメージになく、家庭に入るつもりでいましたが、「やりたい」と心が動く仕事のオファーがあったとき、その気持ちに素直に、流れに身を任せてみるのもいいのかなと思ったんです。家族という基盤ができたことで、20代の頃よりも少し肩の力を抜いて考えられるようにもなってきました。それでも、仕事も子育ても自分自身のことも、あれこれ想像したところで結局は予想通りにはいかないもの。人一倍緊張しいでもあって、やっぱりうまくいかなかったとか、もっとこうできたらとか反省はつきものです。でもその積み重ねが「いつか叶えたい」というモチベーションにつながるのかなって。自分に期待する気持ちはずっと大切にしたいです。

飾らず、自然体。リラクシーな魅力

実は、欲張りでもあるという井川さん。「『もっとよくなるのでは』とついついあれこれやってしまいがち。でもお料理中に盛大に粉を撒き散らしたりと失敗に終わることも」と語る、ゆるっとした笑顔に癒されて。シャツ¥145,200パンツ¥157,300(ともにマックスマーラ/マックスマーラ ジャパン)ピアス¥577,500リング¥595,100(ともにTASAKI)シューズ¥119,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ ジャパン カスタマーサービス)

凝り性なところも含めて、自分の性分。小さな成長を重ねて大きな力に

私の仕事や生き方で大切にしていることはなんだろうと考えると…丁寧に誠実に取り組むことと、創意工夫を楽しむこと、凝り性だということですね(笑)。やっぱりそれでしか自分がしっくりこない性分なんだと思うんです。たぶん自分探しをしていた20代、30代も変わらなかったかもしれないけれど、もっと無駄なものもいっぱいくっつけて歩いていたんじゃないかと思うんです。それをCLASSY.世代の方も考えてみると自分のオリジナリティが見えてきて肯定できるのではないかと。他の人にはわからない小さな成長だとしても、その個性を伸ばしていけばきっと大きな力になるはず。いつか成し遂げたい目標ができたとき、自分の背中をドンと押してくれると信じています。

一生ものの名品は記念日より自分のタイミングを大切にします

若い頃から変わらず、マニッシュなスタイルが好きです。それと甘いディテールのものをレザーと合わせたりするMIXコーデも。裾のデザインがちょっと変わっていたり、アシンメトリーだったり、ベーシックな中にひと捻りエッジを効かせたようなものに惹かれます。それとサイズ感やバランス感を大事にしています。そしてやっぱり着心地のいい上質な素材なら飽きずに長く着れますよね。お気に入りのものは意外と30代に買ったものが多いかもしれません。一生ものと呼べるジュエリーやバッグは人生の節目の年や記念日よりも、自分のタイミングが大事。出会いだと思うので突然やってくる時もあります(笑)。自分のお気に入りを「よく似合ってる」と言われると嬉しくなりますよね。

「井川さんを撮りこぼさない!」現場で働くCLASSY.世代に素敵なエネルギーをもらいました

私の新たな挑戦とも言える映画『平場の月』。撮影現場はCLASSY.世代のスタッフが多く、バリバリと重い機材をも動かしているような頼もしさと、女性ならではの細やかさもある、とってもいいチームだったんです。この作品は、中学時代の初恋同士だった二人が再会し心を通わせるお話です。二人にはそれぞれに過ごしてきた時間があり、生き方がある。いちばん寄り添っていたい人ともう一緒にいることができないと想いをぶつけるシーンがありました。本音と裏腹な感情を私は気丈に演じなければならなかったはずなのに、撮影の合間に涙が止まらなくなるくらい気持ちが高まってしまって。「私たちあのとき、井川さんの感情を絶対に撮りこぼさないって一致団結したんです」と、後日話してくれたことがありました。若い世代の女性たちからこんなにもどっしりとした愛に溢れた言葉をもらってじんとしてしまいました。これからを担っていくのが彼女たちだなんて嬉しくなりますね!

素敵だと思う大人は、楽しみ上手でひとりも謳歌できる人

私が素敵だなと思う大人は、楽しみ上手で、ひとりも謳歌できる人。誰かを喜ばせることにもしあわせを感じられる人。そして相手が居心地のいいように席をつくってあげられる人ですね。そういう人との出会いがいくつもあって私自身、とても助けられたり、また会いたいと思ったりしてきました。こんな風に話していると顔が浮かんでくる人はよく笑う人です。やっぱり「愉しい」を共有したいですもんね。日々色々なことが予期せずに起こるけれど持ちつ持たれつ、でもさっぱりと良い関係が気づけていけたら幸せだなって思います。

穏やかに強く、チャーミングに。「しなやかなオーラ」を纏う

こだわりは強く、語り口はやさしく、ふと見せる笑顔はチャーミングでもある。仕事、家庭、自分。経験から磨かれた美しさに見つけるのは、素敵に歳を重ねる可能性。

さり気なく、艶っぽい。井川さんのシャツスタイル

シンプルなシャツの着こなしが、様になる。ハンサムでいて、レディ。相反する魅力の絶妙な共存こそ、井川さんの魅力。シャツ¥127,600スカート¥542,300(ともにトッズ/トッズ・ジャパン)イヤリング¥566,500リング(左手人差し指)¥1,306,800(ともにカルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)

フードを、遊ぶように被る。真似したい抜け感

撮影中、さらっとフードを被った姿に、現場のみんなから「いい!」と声が上がった1枚。VERYモデル時代には服の魅力を引き立てるあしらいをいつも探していたという井川さん。着こなしも経験の力。ケープ¥565,400パンツ¥104,500シューズ¥190,300(すべてマックスマーラ/マックスマーラ ジャパン)リング¥240,900(カルティエ/カルティエ カスタマー サービスセンター)インナー(スタイリスト私物)

information

©2025映画「平場の月」製作委員会

映画『平場の月』(11月14日公開)
原作は第32回山本周五郎賞受賞、発行部数25万部を突破した朝倉かすみの小説『平場の月』(光文社)。時を経て再会した中学の同級生、青砥健将(堺 雅人)と須藤葉子(井川 遥)のリアルで切ない恋物語。監督は映画『花束みたいな恋をした』の土井裕泰、脚本は映画『ある男』を手掛けた向井康介。主題歌『いきどまり』は星野源が書き下ろした。

井川遥さん
1976年生まれ、東京都出身。1999年に芸能界入りし、数多くの話題作に出演。2007年から2016年まで『VERY』の表紙を飾り、多くの女性の“理想の大人像”として支持されている。プライベートでは2006年に結婚し、2児の母。現在、映画『アフター・ザ・クエイク』『見はらし世代』が公開中。映画『平場の月』が11月14日公開。

撮影/酒井貴生(aosora) スタイリング/斉藤くみ ヘア/KOICHI NISHIMURA(VOW-VOW) メイク/佐々木貞江 取材・文/櫻井裕美 編集/越知恭子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2025年12月号「井川遥さんインタビュー」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。