白髪はなぜ増える?増やさないために知っておきたいNG行動&セルフケア5選【薬剤師監修】
鏡を見たとき、ふと目に入る白髪。忙しい毎日の中で髪の変化を感じ始めている女性は多いはず。年齢のせいと思ってしまいがちな白髪ですが、正しくケアをすることで美しく健やかな髪を保つことは十分に可能です。白髪が増える理由と、今日から実践できるセルフケアを紹介します。
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1.白髪が生える原因は?
白髪が生える背景には、加齢による体の機能の変化や生活習慣、ストレスなど複数の要因が関係しています。ここでは主な3つの原因を見ていきましょう。
①加齢
年齢を重ねると体全体の代謝機能が低下し、頭皮のターンオーバーも乱れやすくなります。これにより毛根の働きが低下し、髪の色を生み出す色素細胞であるメラノサイトが少なくなったり活動が弱まったりすることで白髪ができやすくなります。
また、女性の場合はホルモンバランスの変化も大きな影響を与えます。特にエストロゲンの分泌量が減ることで、髪のハリやコシ、ツヤが失われやすくなり、白髪が目立ちやすくなることがあります。
②栄養不足
極端なダイエットや偏った食事で栄養不足の状態が続くことも白髪ができる原因の一つです。
特に髪や頭皮の健康を保つために必要なタンパク質や鉄、亜鉛、ビタミンB群などが不足すると髪を作る毛母細胞の働きが低下。さらに髪の色を生み出すメラニン色素も十分に作られなくなり、白髪につながります。
③ストレス
血圧や体温など体のさまざまな機能を調節している自律神経は、体を緊張・興奮状態にする交感神経と、休息状態にする副交感神経の2つに分かれており、両者がバランスをとりながら機能しています。
しかし精神的なストレスを感じると、交感神経が優位になり血管が収縮します。その結果、頭皮の血流が悪化し、毛根に十分な酸素や栄養が届きにくくなるのです。
またストレスが続くとノルアドレナリンという神経伝達物質が過剰に分泌され、色素幹細胞を過剰に活性化させることが報告されています。これにより色素幹細胞が枯渇すると、そこから生み出されるメラノサイトも減少し、再び黒髪を生み出す力が失われてしまうと考えられています。
2.白髪を見つけた時のNG行動って?
白髪を見つけたとき、多くの人がつい抜いてしまいがち。しかしこれはNGです。毛を抜くことで毛根が傷つき、炎症が起こることがあります。その結果、毛根の細胞がダメージを受けて髪が生えにくくなったり、次に生えてくる髪が弱くなったりすることがあります。
気になる白髪は根元からカットするのがおすすめ。もしくはヘアマスカラやヘアカラートリートメントなどで自然にカバーする方法を取り入れましょう。
3.白髪を防ぐセルフケア5選
白髪の進行を食い止めるには日常の小さな積み重ねがカギ。髪の健康を内外からサポートする方法を紹介します。
①タンパク質を積極的に摂る
髪の主成分は「ケラチン」というタンパク質です。このため、タンパク質が不足すると髪が細くなり、白髪の原因にもなります。
タンパク質を多く含む鶏むね肉や青魚、納豆、豆腐、卵などを日常の食事に取り入れて、健康的な髪づくりに必要な栄養をしっかり補いましょう。さらに、代謝や血行促進などの効果があるビタミンB群を含むバナナやマグロ、ナッツなどを合わせて食べると、タンパク質の代謝を助ける効果も期待できます。
②睡眠時間を確保する
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、髪や肌の細胞修復が行われます。寝不足が続くと、このホルモンの分泌が減少し、毛根の再生リズムが乱れてしまうことに。十分な睡眠をとることで白髪を防ぎ、健康的な髪の成長をサポートしましょう。
就寝前にはスマートフォンやパソコンの使用を控えたり、部屋の照明を落としてリラックスする時間を持ったり、ストレッチをして副交感神経を優位にするのも効果的です。
③ストレスを発散する
ウォーキングやヨガなど、自分に合った方法でストレスを発散し、自律神経を整えましょう。また、運動で筋肉をほぐすと血流が促進されるため、頭皮に必要な栄養や酸素が届きやすくなります。
リラックス効果のあるアロマを活用するのもおすすめです。例えば、ラベンダーやベルガモットなどの精油を浴槽に入れるアロマ浴は、緊張をほぐし、睡眠の質を高めることにもつながります。自分に合った方法で心と体をリセットする時間を持ちましょう。
④頭皮マッサージをする
頭皮をマッサージして血流を促すのも効果的です。具体的なやり方は以下の通りです。
<頭皮マッサージのやり方>
(1) 両耳の前後やうなじ、耳たぶを揉みほぐす。
(2) 両手で頭皮つかんで円を描くようにくるくると動かし、つかむ場所をずらして頭皮全体をほぐす。
(3) もみあげ付近から額の中心まで、頭皮を上に引き上げるように指で圧迫する。
(4) 小さな円を描くように指で圧迫しながら、額の中心の生え際あたりから後頭部のツボ「百会」まで移動する。
(5) 「百会」を3秒ほど強めに圧迫する。
(6) こめかみの生え際から頭皮を引き上げるように少し強めに圧迫し、頭頂部、後頭部へと手ぐしを通す。
(7) 指先で頭皮全体をリズミカルにはじく。
(8) 人差し指と中指を後頭部のくぼみに置き、ゆっくりとあごを上げる。
「百会」は耳の上に手のひらの付け根を当て、両手で頭全体を包み込んだ時に中指が当たる位置にあるツボです。頭皮マッサージをする際には爪を立てないように注意し、指の腹で押すことを意識しましょう。
⑤漢方薬を試してみる
白髪対策では、漢方薬で体の内側からアプローチするのも効果的。漢方薬では自然由来の生薬が不調の根本原因へアプローチし、体質そのものを改善することを目指します。
白髪対策では、「ホルモンバランスを整える」「消化・吸収機能を改善して髪に必要な栄養を作る」「自律神経を整えて、ストレスを緩和し、睡眠の質を改善する」「血行を促進して頭皮や髪の毛を作る細胞に栄養を届ける」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
<白髪対策におすすめの漢方薬>
・八味地黄丸(はちみじおうがん)
疲れやすく手足の冷えが気になる人に。加齢によって衰えた泌尿器・生殖器系の機能を高めるとともに、体全体を温めることで新陳代謝を助け、加齢性変化の改善が期待される漢方薬です。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすくイライラしがちな人に。栄養やエネルギーを補い、巡りをよくすることで自律神経の乱れや女性ホルモンの変動による不調に働きかける漢方薬です。
漢方薬は自分の体質や症状に合ったものでないと、思わぬ副作用が出ることがあります。自分に合う漢方薬を知るには、専門家に相談することが大切です。漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談して、セルフケアに取り入れましょう。
<参考文献>
※曽我元,森田康治,新井賢「地肌マッサージの頭皮への作用」
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
編集/根橋明日美 イラスト・写真/PIXTAほか
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