【HERSエンゲイブ】コリアンダーのカレンダー
コリアンダーです。
苦手な人もいると思いますが、許してください。例えばHERS編集部のKさん。
アジア圏では「パクチー」とか「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれることが多いですが、小生は、「コリアンダー」という呼び名にこだわっています。
というのも、コリアンダーは東南アジアならではの食材と思っている人が多いと思いますが、実際には地中海沿岸部の原産。なので、タイ語の「パクチー」ではなく、ラテン語名由来の「コリアンダー」というほうがルーツに近いのかと。まあ、実際によく食べているのは確かに東南アジアなのですが、ベトナムやタイでの食べ方はほとんどが葉を生で食べるもの。それに比べて、ヨーロッパやインド、スリランカでは種子をよく利用しますね。ベルギーならではのヴァイツェンビール(白ビール)も、コリアンダーの種子やオレンジピールなどで香りづけをしています。
そんなコリアンダー栽培についてですが、まず誤解しがちなのは、東南アジアでよく使われるだけに、暑さに強いと思っている方が多いと思いますが、それはノン、ノン! 間違いです。むしろ寒さに強いです。
小生、無類のコリアンダー好きなので、よく栽培しますが昨年からの栽培記録を振り返ってみます。
4月初めに種を蒔きました。発芽したのは約2週間後。種皮が固いので発芽には少し時間がかかります。GW中の様子がこちら。
しばらくは順調に育ったのですが、株が大きくなる前に花が咲いてしまいました。これが6月中旬ごろ。
開花が近づくと、葉の形が変わってきます。いつものコリアンダーの葉とは違って、上の写真のように切れ込みの深い細い葉が出てくるのですが、これはあまり美味しくありません。結局、あまり収穫できませんでした……。
「えーい、ちきしょう」と思い、新たに種を蒔いたのですが、それらは一向に発芽せず……。昨年は空梅雨だったので、その影響かな、と思ってました。もう少しマメに水やりすればよかったな、と。
ところががが、のレディー・ガガ!
暑かった夏が終わり、9月の末になると6月に蒔いた種が続々と発芽しました。
こりゃなんだー? コリアンダー!
ここにはビーツの種を蒔こうと思っていたのに、こうなったらコリアンダーを育てるしかないや。10月中旬には、害虫に食べられないために防虫ネットを被せて大事に、大事に。(奥は小松菜)
わっさわっさと育ってきたので、
11月に入って3株を丸ごと収穫しました。間引きの意味もあったので、まだ小さいですが、それでもスーパーで300円ぐらいで売っているものよりは全然大きいのだ!
この日は白ワインのつまみとして、生でシャキシャキと食べました。ちょっと塩をかけて。(奥は小松菜)
12月に入って、さすがに寒いだろうと思ったので、防虫ネットから穴あきビニールシートに変えて保温することにしました。大事に、大事に。
そして、年末年始を経て、1月末。
小生も、寒かったのと神経痛がひどかったので、しばらく畑から離れていました。久しぶりに農園に行き、穴から中を覗いてみると……。
コリアンダー。こりゃ、なんだー?
枯れかけているかな? と思ってビニールシートを剥がしてみると。
一部の葉は枯れてしまい、緑色の茎や葉も完全にへたっています。天に向かうのではなく地にひれ伏した感じ。「もう、だめかぁ……」と落ち込んで、なにもする気になれず、とりあえずほったらかしに。
ところががが、のレディー・ガガ! 第2弾。3月17日には大復活してました!!!
わっさ、わっさ。わっさ、わっさ。
まだ気温は低いので、昨年6月のような花もつけず、どんどん株が大きくなっていきます。この日は5株ほど収穫し、2株だけ畑に残しました。
今回は、鍋に入れて、ナンプラーをたらしたポン酢につけて食べました。
翌週の3月24日。
いよいよ春の畑の準備があるのと、あまり暖かくなるとコリアンダーに花がついてしまうので、残り2株も収穫。さようなら、コリアンダー。よく冬を越してくれたね!
根っこがこんなに大きくなっていました。
根っこも、スープのベースにしたり、天ぷらにしたりして食べると美味しいらしいですね。やってみようかしら。
最後の収穫の葉は、「おひたし」にしていただきました。小生、コリアンダーの食べ方としていちばん好きなのが「おひたし」です。ニッポンのセリと同じ仲間だから、「おひたし」が美味しくないわけないんです!
さて、ここで余談。上記とは別の農園で育てていた、、、というよりも、勝手に生えてきたコリアンダーの話です。
やはり9月のこと。
大根の種を蒔くころに、マルチ(畝に覆いかぶせてある黒いシート)の脇から、こぼれ種が発芽しました。しばらく育ててみると、11月中旬にはこんな感じに。大根のそばで着実に存在感アピール!
こちらは上に何もシートを被せず、野ざらしのまま放置しておくことにしました。大根収穫後の12月初旬。
クリスマスイヴの日。だいぶ寒くなってきたので成長も止まってきました。
年を越して、1月中旬。赤くなってきました。
2月2日。
そして、2月17日。ほとんど真っ赤できれい!
赤い色は、アントシアニンという色素によるもの。寒くなると、無駄なエネルギーを使わないようにするために、この色素が強くなるのだとか。紅葉と同じ仕組みです。ですが、さすがに野ざらしのコリアンダーはこれが限界でした。このあと、復活することなく枯れました。コリアンダー。寒さに強いといえども、冬越しさせる場合は、やはり厳寒期になにかしらの保温資材を使ったほうがよさそうです。
取材・文・撮影/川原田朝雄