「日本のレトロな町をめぐり、伝統文化に触れたい」【吹屋・勝山(岡山県)編】|いつか行きたいアラサー女子旅|CLASSY.
旅に出る一つのきっかけになるのが、「○○したい!」という想い。思い切りショッピングがしたい?大自然を満喫したい?CLASSY.世代の旅作家・小林 希さんが、希望を叶える旅先を紹介します。コロナが落ち着いたら、こんな所にぜひ行ってみたい!
今一度、古き良き日本に出合う大人の夏旅
岡山県中部の緑豊かな山あいに、ひっそりと広がる赤色の町、吹屋(高梁市)。ここは、江戸から明治にかけて吉岡銅山の鉱山町として栄え、さらに銅山から採れる硫化鉄鉱石から赤色の顔料である〝ベンガラ〞も製造・販売し、国内随一のベンガラ産地として隆盛しました。ベンガラは建築や工芸品、船舶などにも利用され、日本近代化の時代を支えました。赤銅色の石州瓦とベンガラを使った見事な町並みは、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。メイン通りを歩けば、豪壮な屋敷が軒を連ね、どこもかしこもフォトジェニック。まるで、日本昔話の世界へ迷いこんでしまったかのような気分に浸れます。
吹屋から車で約1時間半の県北に位置する城下町の勝山(真庭市)もおすすめ。江戸時代には出雲街道の宿場町として発展し、当時のままの面影が残り情緒的。近年は、「のれんの町」として知る人ぞ知る可愛らしい町でもあります。
独自の絞り染色技法で、町中の〝のれん〞を作るのは、地元出身で染織家の加納容子さん。27年前から始め、徐々にのれんをさげる家や店が増えていったそうです。軒下ののれんを見ると、何屋さんか、はたまたどんな人が暮らしているのか想像ができて楽しい。
加納さんの「ひのき草木染織工房」で、絞り染め体験をさせてもらいました。白いハンカチを好きなように絞ってベンガラで染めると、想像以上に優しい色合いに。思い出の詰まった一枚が完成しました。
勝山では、老舗の酒蔵「御前酒」の直営店「NISHIKURA」で銘酒や甘酒などを買ったり、地元のお母さんたちが作る食材を使ったカフェ「ろまん亭」でランチをしたり…。小さな町だけど、とても充実した時間を過ごせます。
海外に行けない今だからこそ、日本に残るノスタルジックでレトロな町をめぐり、伝統や文化に触れて〝日本再発見の旅〞をしてみてはいかがでしょう。
紹介してくれたのは…小林 希さん(旅作家)
元編集者。29歳で会社を辞めて世界一人旅へ。一年後帰国して旅作家に転身。旅、島、猫をテーマに著書多数。世界60カ国、日本の島80島をめぐる。近著『週末海外』(ワニブックス)。インスタグラム:@nozokoneko 旅するオンラインサロン「しま、ねこ、ときどき海外」