夏の不快な生理の対策「トイレで流せるデリケートゾーン専用ウェットティッシュを使ってみて」
いつだってわずらわしさしかない、生理期間。
特に夏はムレやすく不快感も上がります…。少しでもストレスフリーに過ごすために、夏の生理との付き合い方を産婦人科医の高橋怜奈先生に教えてもらいました!
教えてくれたのは…
産婦人科医・高橋怜奈医師
元プロボクサーという肩書を持つ異色の産婦人科医師。SNSでの発信を積極的に行っており、女性の身体や性にまつわる悩みに応えるYouTubeチャンネルが大人気!
【産婦人科医YouTuber高橋怜奈】
http://www.youtube.com/channel/UCVR9XnYBIQ4OlGmFPUNGGVQ
▼夏の生理トラブルの原因は“ムレ”から起こる!
ムレることで、さらなる不快感を引き起こす…
【おもなトラブル】
・ムレ
・ニオイ
・かぶれ
・かゆみ
・皮膚の炎症
高橋怜奈医師(以下・高橋医師)「これらのトラブルはムレが大きく関わるもの。とくにニオイはムレが大きな原因。またムレることにより、皮膚がかぶれて痒みを感じ、かいてしまいうことで皮膚の色素沈着につながることも。夏は生理でなくてもムレやすい季節です。正しい知識を持って、快適に過ごす工夫をしましょう」
▼生理中のデリケートゾーンは高温多湿
経血がナプキンにつくことで、通気性の悪いデリケートゾーンはムレてしまう
高橋医師「生理中は外陰部が経血で常に湿っている状態。さらに生理中に使うサニタリーショーツは、防水機能の逆効果で通気性が悪く、ムレやすい環境ができてしまっています。
そんな状態の外陰部にナプキンが常に当たっていると、摩擦が起きてしまい皮膚に刺激を与えてしまいます。それによりかぶれなど、ほかの問題も起こりやすいのです」
生理期間のムレを改善する3のコツ
①タンポンや月経カップで経血を外へ出さない
②アンダーヘアを整える
③デリケートゾーン専用ウェットティッシュで経血をオフ
①タンポンや月経カップで経血を外へ出さない
不快な夏の生理期間は外陰部を“濡らさない”が大切!
高橋医師「生理中のデリケートゾーンのムレを防ぐには、経血を膣の外に漏らさないことが効果的。
膣で経血をとどめる月経カップやタンポンを使うと外陰部が湿らないため、ムレることを避けられます。そういった膣へ挿入するタイプの生理用アイテムを使えば、サニタリーショーツを履かずに過ごすこともできますから、よりムレが軽減されかぶれる心配も少なく快適に過ごせるはずです」
②アンダーヘアを整える
経血をキレイに拭き取って清潔に
高橋医師「アンダーヘアがあることによって、経血が残りやすくなりムレの原因につながります。すべて脱毛をしてしまうことはもちろん効果的ですが、残したい派の人も、長さを整えるだけで十分効果があります。
医療脱毛で完全に毛を無くすまでには長い時間通わなくてはなりませんが、何回か通って毛量を減らすという選択も検討してみてください。
セルフで処理をする際は、アンダーヘア用のシェイバーなどを使用しましょう。剃刀などの刃が直接肌に当たらないように注意をして。無理な自己処理をすると、傷ができてしまい新たなトラブルの原因になってしまいます」
③デリケートゾーン専用ウェットティッシュで経血をオフ
トイレにも流せるタイプなら外出先でもケアが簡単
高橋医師「月経カップやタンポンなどがムレ対策に効果的と言っても、体に合わずに使えない人もいますよね。そういった方は、デリケートゾーン用のウエットティッシュなど、外出先でも使えるケア用品がおすすめ。
帰宅後、入浴時にはデリケートゾーン専用のソープで経血をしっかりと落とすことも大切です」
※膣内洗浄液の使用はおすすめしません※
「ドラッグストア などでも取り扱いのある、膣内洗浄液はおすすめできません。膣内は多くの善玉菌によって健康状態が保たれています。洗浄液を使ってしまうと、これらの善玉菌も洗い流してしまうために、膣内環境のバランスが崩れてしまう原因に。デリケートゾーンのお手入れは外陰部を専用ソープで優しく洗い上げるようにしましょう」
【注意】不衛生な生理用品の使用は病気の原因にも繋がる
タンポンだけじゃない! トキシックショック症候群の可能性
高橋医師「生理用品を使用する上で、気をつけなければならないリスクがあります。特に気をつけなければならないのは〈トキシックショック症候群〉。性別に関わらずかかる可能性があり、重篤になると死亡するケースなどもある病気です。
タンポンが原因でトキシックショック症候群にかかってしまった話は、耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし用法を守って使用していればタンポンも安全な生理用品です。反対に用法を守らなければ、タンポンに限らずナプキンだって発症の原因となることもあるのです」
トキシックショック症候群とは?
黄色ブドウ球菌の中の一部のバクテリアが毒素を産生することによって、引き起こします。ただし黄色ブドウ球菌は3人に1人の割合で皮膚や脇の下などに生息している、珍しくない細菌です。生理用品の使用に限らず、火傷の傷や怪我などからも感染をする可能性があります
▼挿入タイプの生理用品は自分に合ったものを選んで
さまざまなアイテムが手に入る今だからこそ、自分に合うものを探してみましょう
高橋医師「日本ではナプキンを使用する人が大半ですが、現代ではさまざまなアイテムが手に入るようになっています。わずらわしい生理期間を少しでも楽に過ごせるように、生理用品も自分に合ったものを探してみることが大切です。
挿入するタイプの月経カップとタンポンは、特に使用感もまったく異なりますから両方試して選んでください。私個人としては月経カップをおすすめします。タンポンは細かい繊維が密集したものを挿入するため、膣に傷がつくリスクがあります。医療用シリコンでできている月経カップであれば、そういった摩擦を感じずに着脱できます。
ただし性交渉の経験がない人にとっては挿入方法が難しいという点がありますから、そういった方はタンポンの方が扱いやすいですよ」
【月経カップの注意点】
・使用時間を守ること
・医療用シリコンでできているものを選ぶ
・抜き忘れに注意をして
【タンポンの注意点】
・使用時間を守ること
・経血の量によって、タンポンの種類を使い分ける
(経血が少ない日に多い日用を使用しない)
・抜き忘れに注意をして
写真/Unsplash(Etienne Girardet、Natracare、Marketing City to Sea)
取材/川端宏実