最近話題の「キャリアフリーダム」な働き方をAIの専門家に聞いてみたら…【仕事内容は?向いている人は?】

ChatGPTなど生成AI機能がより進化して身近になり、私たちの仕事をとりまく環境もめまぐるしく変化しています。自分がやりたいことを選び、自分らしく働くことができる「キャリアフリーダム」な状態を手に入れるために必要なことについて考えます。

AI時代のこれから~私たちの仕事ってどうなる??緊急座談会!

AI全盛の時代に私たちの仕事はどう変化するのか?シリコンバレーでAI企業CEOとして活躍している石角友愛さんにCLASSY.読者がお話を伺いました。

〈左から〉宇川美有紀さん・中村

〈左から〉宇川美有紀さん・中村美貴さん・柳沢 遥さん

大切なのはスキルと「何がしたいか」のアップデート

中村:幼稚園の先生から転職を考えた時、他にスキルがない!と気づき留学計画中にコロナで中止に。AI時代に何が自分にできるか不安です…。
石角:「AI時代は働き方が変わる」という抽象論がある一方、「具体的にどうすればいいかわからない」という〝リスキル迷子〟の20〜30代が多いです。資格があることは強みですし、今後、教育業界はより重要になると思いますよ。誰もが今までのキャリアで必ず何かスキルを手に入れているのですが、言語化できていない人が多い。私もMBA取得後、生後3カ月の娘を連れてシリコンバレーに行き、市場に自分をどう伝えればいいのか言語化に苦労しました。まずは過去の経験をツリーマップで細分化して書いてみて、自分のスキルにどんなスキルをかけ合わせればシナジーが生み出せるか、ぜひ考えてみてください。
宇川:私は今の仕事にやりがいもあり、転職の予定はないのですが、どうやってスキルのアップデートをすればいいですか?
石角:動画を見たり本を読むのも立派なリスキリングですし、今日のように異業種の人に会うのもそう。転職したり、社内で異動しなくても今いる場所でアップデートできます。リスキリングはアウトプットが大事。知識を習得したら、次の日にアウトプットしてみる。その結果、パフォーマンスが上がったり課題解決ができたり、付加価値を生み出せると学んだことが生かされるので楽しくなります。「もう30歳だし」といった自分を型にはめる考え方からも解放されて「いつまでも自分は成長できるんだ」と人生に対してワクワクできます。AIの知識がゼロなら、まずはゼロから1にすることが大きな違いとなります。ぜひ一歩を踏み出してほしいです!

教えてくれたのは…パロアルトインサイトCEO・石角友愛(いしずみともえ)さん
日本企業へのAI導入の第一人者。ハーバードビジネススクールでMBAを取得後、 Google本社などを経て起業。新著『AI時代を生き抜くということ ChatGPTとリスキリング』(日経BP社)も好評。

AIにできること・できないこと…キャリアへの影響をおさらい

    教えてくれたのは…

    \AIが苦手なこと/
    AIには〝意思〟がないのでゼロイチの発想はできません
    AIは与えられたテーマから文章や絵などを作成することは得意ですが、意思はありません。「ある目的を果たすために、こういう記事を作りたい」と考える〝ゼロイチ〟の部分は人間しか担えない大切な役割で、AIでは代替できません。また生成AIは自分の体験を通した話ができなかったり、大量のデータの学習には時間がかかるため、最新のデータをリアルタイムに提供することが難しいケースもあります。

    教えてくれたのは…

    \AIが得意なこと/
    大量のデータを学習してパターンや関係性を導き出します!
    AIの特長は大量のデータを学習し、パターンや関係性を見つけるのに秀でていること。この能力を応用して需要予測やデータの分類、異常検知などが可能に。YouTubeなどで出てくる関連動画もAIによるデータ分析を活用しています。ChatGPTなどの生成AIは人間の「こういう記事を作りたい」という指示に沿って「こういう文章はいかがですか?」と複数のパターンを提案することや、使い方を調べるトリセツ系も得意分野です。

知っておきたい!「キャリアフリーダム」に必要なこと

「キャリアフリーダム」に必要な考え方4つ

    教えてくれたのは…

    1.変化に対応できること
    時代は確実に変化していて、変化はさらに加速するでしょう。だからこそスキルや経験に加えて変化適応力を高める必要があります。世界に目を向け、世の中でどんな変化が起こっているか意識することも大切。今までの働き方にこだわりすぎたり、とらわれていると苦しくなる可能性も。時代の変化を素直に受け入れ「このほうがいいな」と自分が思える方向性を主体的に選択していきましょう。

    教えてくれたのは…

    2.主体的に考えること
    昇進や昇格を待つのではなく、自らが主体的に組織との関係性を築き、働きかけていく姿勢が大切です。ポイントは仕事の中で自分にとって大事なものを見つけること。充実感を覚えるのはどんな時で、それを増やすためにはどんなスキルや経験が必要かを意識して主体的に行動してみましょう。自分の仕事が世の中にどう還元されているかを知り、働く価値や意義を認識することも主体性を高めます。

    教えてくれたのは…

    3.年齢や枠にとらわれないこと
    30代になると仕事に飽きを感じたり、成長の実感が持てず、今後に不安を感じることも。定年退職後、80歳を超えてからプログラマーとして活躍された方が話題になりましたが、キャリア形成は何歳からでも可能。年齢や枠にとらわれることは、可能性を自分で閉ざすこと。「00歳だからもう遅い」という考えから脱却し、周りの声や一般的な意見にとらわれず、キャリアは自分次第で決めていけることを忘れないでください。

    教えてくれたのは…

    4.一人で考えずにいろいろな人と対話すること
    多くの人がキャリアについて一人で考えがち。一人だと価値観も考え方も偏ります。周りから意見をもらうことで自己認識が深まり、周りの人と話すことで視野も広がり、客観的に自分の現在地を確認できます。多様な考え方の人に意見を求めることで、常識や「ねばならない」にとらわれていることに気づくかも。日頃から人と仕事について対話することで自分の可能性、選択肢、柔軟性が広がり、不安を軽減する効果も。

「キャリアフリーダム」に近づくためにやるべきこととは?

「キャリアフリーダム」に欠かせないポイント…どれだけ当てはまる?

    教えてくれたのは…教えてくれたのは…

『キャリアフリーダム』に必須な変化への適応力をチェックできる『プロティアン・キャリア診断』。12個以上当てはまるならどんな変化がきても大丈夫でしょう。4〜11個の人はキャリア形成はできているけれど、変化への対応力を強化したいところ。3個以下の人は現状のキャリア維持にとどまり、変化に対応できていない状態。該当しない項目の中でできそうなことから始めて変化適応力を身につけましょう。

撮影/渡邉明日香 イラスト/雨月 衣 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc