「印象に残らない話し方を改善するコツ」…言語学の専門家に聞いた解決テクニック2選
日本では控えめなことが美徳とされる一方で、名前や顔をなかなか覚えてもらえなかったり、いまいち自分の存在感を出せないのってやっぱり悲しいですよね…?「印象が薄い人」になってしまう原因と上手な印象の残し方について考えました。
言語の専門家・堀田秀吾さんが教えます「印象に残る話し方」のコツ
話し方を工夫するだけでも、印象の残り方は格段に変わってくるそう。言語学の専門家・堀田先生のアドバイスをぜひ実践してみて。
相手との距離感や反応も「印象に残る」うえで重要に
言語学には「無標」と「有標」という概念があります。ある文脈の中で標準的なものが「無標」、逸脱感や違和感のあるものが「有標」。人は本能的に何か違ったものに注意がいくようになっています。それをうまく利用してあえて変化球を入れたり、「有標」な話題や話し方を入れてみると存在感が生まれます。
次に注目したいのが「距離感」。人間は社会的動物なので、距離が近い人は生存競争に必要な味方として覚えてもらいやすくなります。親しみやすい言葉選びで距離感をうまく調節していくのも重要。心理学では自分の内側を見せる「自己開示」は相手に近づける第一歩。自分の気持ちを素直に自分の言葉で表現できれば相手にいい印象を与えられます。
話し方と同様に聞き方にもコツが。日本人は相手と「かけあい」をして会話を作り上げていくので相手が返事をしないと不安に。日本人の返事やあいづちは世界最速という研究もあるほどです。上手なあいづちも印象に残るためにマスト。
また、人間は自分の話をしている時に報酬系ホルモンが出るので、誰もが自分の話をするのが大好き。気持ちよく相手が話せる人になれると好印象につながります。脳科学では人間の脳は人が喜ぶことをすると、自分も嬉しくなるようプログラムされているという研究も。相手も喜ぶし自分も嬉しい気持ちになれて、好印象が残せる話し方をみんながすれば、優しい社会になっていくと思います。
教えてくれたのは…堀田秀吾さん(明治大学 法学部教授)
言語学博士。司法コミュニケーションを専門に言語学、心理学、法学の知見を融合した研究を展開。テレビなどでも活躍し、『なぜか好かれる人がやっている絶妙な存在感の出し方』など著書も多数。
イラスト/松元まり子 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc