【市川染五郎さん】時代劇『鬼平犯科帳』ドラマ版&映画版で〝若き日の鬼平〟に【スペシャルインタビュー】

松本幸四郎さんを主演に迎え、新たに映像化される時代劇『鬼平犯科帳』SEASON1。〝若き日の鬼平〟長谷川銕三郎(てつさぶろう)を幸四郎さんの長男・市川染五郎さんが演じることも大きな話題を集めています。来年1月8日に「時代劇専門チャンネル」でテレビスペシャル『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』が放送されるのを前に、染五郎さんのスペシャルインタビューを2回にわたりお届けします!

――曾祖父である初代・松本白鸚

――曾祖父である初代・松本白鸚さん主演で初めて映像化され、大叔父・中村吉右衛門さん版で長年に渡り愛されてきた『鬼平犯科帳』。お父さまの松本幸四郎さんが新たに主演を受け継いだ新シリーズがスタートし、染五郎さんととても縁の深い方々が演じられてきた歴史ある作品ですが、初めて今回の出演のお話を聞いた時の感想を教えてください。
血縁関係があるからというだけではなく、今のこの時代に長谷川平蔵という人を演じることができるのは父しかいないと思っていましたので、まず父の主演が決定したと聞いて自分のことのように喜ばしかったです。父も、大叔父が長年演じてこられた役をやることができるのは本当に嬉しいだろうなと思いました。 自分が銕三郎として出演させていただくお話をいただいたときは、まさか出演できるとは思っていなかったですし、しかも父が演じる役の青年時代の役を演じるとは思っていなかったので単純にびっくりしました。歴史ある作品にこういった形で出演させていただけるということをすごく嬉しく思いました。

――過去作の映画版やドラマ版は

――過去作の映画版やドラマ版はご覧になられましたか?
はい。『血闘』と『本所・桜屋敷』 という今回出演させていただく2作品と、父が出ている『引き込み女』というスペシャル版を観ました。それまでは、長谷川平蔵という人は〝鬼の平蔵〟と言われているぐらいですから、ただただ怖い人という勝手なイメージがありました。でも実際に作品をじっくり拝見して、人間としての器の大きさというか、 懐の深さみたいなものを感じました。冷酷な人だと思っていたのに全然そうではなくて。悪に対しては厳しい鬼のような人ですが、情が深くて男としてすごく惚れるというか、憧れる人物でした。 だからこそ、これだけ長い間愛されている人なんだと思いましたね。

――『鬼平犯科帳』は時代劇ファンでなくとも誰もがその名前を知っているような作品ですが、銕三郎を演じられた染五郎さんが感じる鬼平の面白さを教えてください。
なんでしょうね、やはり一番の魅力は〝長谷川平蔵〟の人柄だと思います。男らしいというか、ただ強いだけではなくて“色々な意味で男らしい人”なので、僕が本当にこういう男になりたいなと思う人物ですね。

――出演が決まってから、役のこ

――出演が決まってから、役のことなどをお父さまとお話されたり、アドバイスをもらったりしましたか?
二人で同じ人物をやるわけですが、しっかり擦り合わせたりはしていないです。小道具の持ち方を「自分はこういうふうにやっている」と父から聞いて同じようにやったり、父の撮影している現場や映像を見せていただいたりして、自分なりに歩き方などは工夫しました。自分が見ていて普段からの父の癖なのかなと思うところですが、着物を着ている時に右側の裾をスッと持って歩くので、それを自分も真似して持って歩いたり。細かいところで同じ人物に見えるような動作を入れました。

――お二人の演技の同じ動作などを探しながら観るとより楽しめそうですね! テレビスペシャル版を最初にご覧になった時の感想はいかがでしたか?
まず脚本をいただいた時に、もうとにかく面白くて。舞台でも映像でもまず脚本をいただいて読むわけですが、読んだ瞬間にこの役がどういうシチュエーションでどういう人物像で、自分がセリフを言う時にこういう言い方になるだろうなというのが、今回の脚本はパッと浮かんだのが新鮮な感覚でした。文字で読んで面白いなと思っていたものが実際の映像になってみるとさらに面白かったです。この作品のキャッチコピーが〝鬼、新時代。〟となっている通り、本当に新しい時代劇だなという感じがしました。

――今回の『鬼平犯科帳』テレビ

――今回の『鬼平犯科帳』テレビスペシャル版ご出演を経験されて、新たに発見したことや収穫になったことを教えてください
映像作品には何度か出演させていただいているのですが、最初から最後までメインの役で出させていただくというのは初めてでした。個人的には映像の演技は舞台とは全然違うなと思っているので、映像のお芝居はすごく勉強になりましたし、銕三郎という役柄がやんちゃしている青年期の役だったのですが、そういうタイプの役は初めてだったのですごく勉強になりましたね。

市川染五郎
’05年3月27日生まれ 東京都出身 血液型 AB型●’05年、東京都出身。十代目松本幸四郎の長男。祖父は二代目松本白鸚。’09年、歌舞伎座『門出祝寿連獅子』で四代目松本金太郎を名乗り、初舞台を踏む。’18年に歌舞伎座『壽初春大歌舞伎』において『勧進帳』で源義経を勤め、八代目市川染五郎を襲名。’22年6月に『信康』で歌舞伎座初主演。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK)や映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』への出演のほか、劇場アニメ『サイダーのように言葉が湧き上がる』では声優に初挑戦している。

『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』
‘69年に初代・松本白鸚主演で初映像化され数々の名優に演じ継がれてきた『鬼平犯科帳』。’24年より松本幸四郎を主演に迎え〝鬼平〟新時代がスタート。「時代劇専門チャンネル」で1月8日放送開始のテレビスペシャル版『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』を皮切りに5月公開の劇場版『血闘』、5月以降には連続ドラマ『でくの十蔵』『血頭の丹兵衛』が放送開始。市川染五郎は〝鬼平〟の青年時代・長谷川銕三郎を演じる。

【着用衣装】ニット¥147,400ジャケット¥528,000パンツ¥187,000ベルト¥106,150ブーツ¥403,700(すべてベルルッティ/ベルルッティ・インフォメーション・デスク 0120−961−859)その他/スタイリスト私物
撮影/木村 敦 ヘアメーク/AKANE スタイリング/中西ナオ 取材/門脇才知有 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)