その不調、実は隠れ脱水かも?冬に潜む体調不良の理由。
脱水症状と言えば夏のイメージがありますが、実は冬も気を付けたい症状なのを知っていますか? 風邪や病気ではないけど、からだの不調を感じるようになった人は隠れ脱水を起こしているかもしれません。気になる隠れ脱水の症状と対処法を、医師の木村眞樹子先生に教えてもらいました。
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目次
- 意外と気付きにくい冬の隠れ脱水
- 脱水が起きると感じやすい症状
- 隠れ脱水の対策
- 冬の隠れ脱水対策には漢方薬もおすすめ
- 隠れ脱水は予防が肝心
意外と気付きにくい冬の隠れ脱水
冬の脱水症状の主な原因は、水分摂取量の減少と乾燥による「不感蒸泄」の増加にあります。
冬は夏のように汗をかくことが少なく、季節がらのども渇きにくいため、水分が不足しているという感覚がわきにくい状況です。そのため、水分摂取量が少なくなる傾向があります。
しかし、人間のからだからは「不感蒸泄」といって、皮膚、粘膜、呼気などから気付かないうちに水分が抜けていきます。
不感蒸泄は乾燥した環境で加速するので、冬はまさに乾燥の季節。
その結果、いつのまにか水分不足になり、隠れ脱水を引き起こしてしまうのです。
脱水が起きると感じやすい症状
隠れ脱水は脱水症の初期段階であるとされています。そのため、その症状に気付きにくいのが特徴です。
隠れ脱水は、水分不足から始まり脱水症へと進行していく危険性があるため、それぞれの症状を整理し、あてはまる症状はないか確認してみましょう。
【1】水分不足の症状
隠れ脱水は、体内の水分が不足しているときに発症します。
口の渇きを感じる、尿の色が濃くなる、疲労感を覚える、めまい、たちくらみや動悸がするなどの循環器系の症状は水分不足の主な症状なので、異常に気付いたらすぐに水分補給をしてください。
【2】脱水症の症状
脱水症のときのからだの変化は、主に脳、消化器、筋肉で起こります。
脳に関係する症状として、頭痛や集中力の低下、日中の強い眠気などがあげられます。
消化器系では、食欲不振や胃もたれ、腹部の不快感などがみられます。
筋肉系では、からだに力が入りにくくなる、脚がつるなどの症状があらわれることがあります。
これらの症状を感じたときは、すでに隠れ脱水になっている可能性が高いため要注意です。
脱水症は深刻化すると脳梗塞や心筋梗塞の引き金になる危険性もあります。自分の体調の異変に気付いたら、「たいしたことはない」と放っておかずに対策をしていきましょう。
隠れ脱水の対策
隠れ脱水の対策のポイントは水分補給と乾燥予防です。日々の生活に少し新しい習慣をプラスするだけなので、是非実践してみてください。
【1】水分補給
最も大切なのは水分補給です。のどが渇いていなくても、こまめに水分を摂るようにしましょう。
1日1.5リットル程度を目安に2〜3時間おきに水分補給をするのが効果的です。
からだを冷やさないよう、白湯、お茶、スープなどの温かい飲み物を選ぶのがおすすめです。
【2】湿度
寒い冬に暖房は必要不可欠ですが、暖房の使用は部屋を乾燥させる原因となりえます。
理想の部屋の湿度は50〜60%程度です。加湿器を使って部屋の湿度を適切に保つようにしましょう。
加湿器がない人は、洗濯物や濡らしたタオルを室内に干すだけでも変わるので、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
【3】スキンケア
不感蒸泄により皮膚から水分が絶えず失われていくため、スキンケアを入念に行うのが大切です。
また、スキンケアを怠ると、乾燥した空気が肌や粘膜の水分を奪ってしまうため、肌トラブルなどを引き起こす可能性もあります。保湿クリームやリップクリームを使用して、肌と唇の乾燥を防ぎましょう。
冬の隠れ脱水対策には漢方薬もおすすめ
水分補給の頻度が減り、乾燥が気になる寒い季節には、隠れ脱水にならないよう継続的なケアをしていくことが大切です。
漢方薬は、体質改善を得意としているため、水分バランスの整ったからだを目指すことができます。
そのためには、「胃腸の機能を回復し、水分の吸収をよくする」「水分代謝を改善し、余分な脱水を防ぐ」「水分の循環をよくして体中に必要な水分を届ける」などの働きのある漢方薬を選びます。
漢方薬は決まった時間に服用することで習慣化しやすいため、隠れ脱水対策のひとつとして取り入れてみてはいかがでしょうか?
今回は、からだの水の巡りを整える効果を持つ漢方薬を2つ紹介します。
<おすすめの漢方薬>
- 五苓散(ごれいさん)
水の巡りを促し、からだの水分バランスを整えることで、むくみ、下痢、嘔吐、頭痛などの症状に幅広く用いられます。のどが渇き、尿量が少ない人におすすめです。 - 六味丸(ろくみがん)
腎を補って水分代謝を改善し、むくみ、排尿困難、頻尿などにも用いられます。疲れやすく、口の渇きがある人におすすめです
漢方薬は食事の工夫などでは不調が改善しなかった人でも、効果を感じる場合が多くあります。
ただし、漢方薬はその人の体質に合っていないと、よい効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるために、服用の際は漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するのが安心です。
隠れ脱水は予防が肝心
人の体内水分量はおよそ60%といわれており、水は人にとって大切な要素です。
汗をかかなくてもからだからは絶えず水分が失われますが、寒い冬はそれに気付きにくいだけでなく、水分を摂らなくなる傾向もあります。そこに、外気や室内の乾燥も加わって、隠れ脱水になる人が増えてしまうのです。
隠れ脱水は気付きにくい症状だからこそ、自分の不調にいち早く気付くことと、脱水症にならないように対策を講じておくことが重要です。
毎日の生活に少しだけ新しい習慣をプラスして隠れ脱水から自分を守りましょう。
参考サイト
サワイ健康推進課
西梅田シティークリニック
生活クラブ
<この記事を書いた人>
医師
木村 眞樹子(きむらまきこ)
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方) https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/