【親の生前整理】“写真の片付け”こそ一番に始めるべき本当の理由
親の生前整理を始めるきっかけって難しいですよね。とくに、写真の整理となると何から手をつけていいか分からないと言うVERY世代も多いはず。今回は、思い出の写真の整理テクニックを専門家にお聞きしました。
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\ちょっと早い? でも早すぎることはない/
「親の生前整理」の
頼みかた・はじめかた
親が65歳になったらはじめどき。
まずは「お金」と「写真」から
親が65歳以上になると、病気のリスクも高まります。「親子とはいってもお金の話はタブーでは」という意識が働きがちですが、まずは最初に必要になる「お金」と親の人生を知るための「写真」からはじめましょう。
〝なかなか言い出しづらい問題〟
「実家に帰ったときに、
きょうだい全員で、明るく」
親の死について考える繊細さもあるテーマなので、なかなか子どものほうから切り出しにくいもの。しかし病気で入院が必要になったり、急に亡くなってしまったり…「もしも」のときがくる前に話し合っておきたい。デリケートなテーマも元気なうちだからこそ明るく話題にすることができます。帰省をしたときなどにタイミングをみて、きょうだい全員で話してみましょう。「お友達が両親と家の片付けをはじめたんだって」と周囲の人の話題からさりげなく伝えたり、「荷物が多いと、転ばないか心配だから家を片付けよう」など〝安全〟を理由にするのもおすすめ。
写真編
❝もの・心の両方を整理できる。
親の人生が見えるから大事にすること・
やってあげられることが見えてくる❞
◉お話を伺ったのは…
一般社団法人生前整理普及協会 代表理事
大津たまみさん
遺品整理の現場経験から、生前にやるべきことを普及するため 、生前整理アドバイザーを育成し 「あったかい生前整理」を伝えている。
生前整理は「もの」「心」
「情報」を整理すること
生前整理というと財産などをイメージする方が多いかもしれませんが、「もの」「心」「情報」の3つ整理が必要。写真整理は「もの」「心」の両方を整理することができるんです。親の写真を整理することで、自分の心を整理することにもなりますよ。
写真で親の人生・交友関係・
大切にしていることを知る
自分を育てる前の親の歴史を知ることは、生前整理するうえで実はものすごく大切なこと。遺品整理などでも意外と知らないことが多いものです。誰と付き合ってきたのか、どんなことに興味を持っていたのか、写真整理をきっかけに驚くほど親の過去を知ることができるんです。
終活ではなく「〝生き〟活」
「終活」という言葉をよく見聞きするようになりましたが、「終活」ではなく、親世代が人生100年時代を、この先よりイキイキとした人生を送るための「生き活」だと考えてみましょう。
やる気にさせる「その気持ちわかるよ」
「いつもありがとう」「手伝わせて」
親の話に耳を傾け「うん、うん」とどんな気持ちも一度受け止めていくことがコツ。他にも「家がきれいになってきたね!」などポジティブな声がけをしていきましょう。
遺品整理で
「残されて困るもの第一位」が写真
ものではなく心が載っている「写真」は捨てづらいと感じる方が多いようです。早い段階から、家族が集まっているときに、思い出話を聞きながら写真整理をすることがおすすめ。生前整理のきっかけ作りや、葬儀のときのエピソードや遺影にも使うことができますよ。
言ってはいけない
「死んだら誰が片付けると思ってるの」
「早く片付けて」「勝手に捨てるからね」
面倒なことを押し付けられたら困るという気持ちや苛立ちが出ている言葉に、親もやる気を失ってしまいます。親子であっても勝手に処分したりせず親の判断に耳を傾けましょう。
30代でも「まさかのとき」に
困ってしまいました
いろんな手続きが面倒で丸2日
父が亡くなり、契約変更のため、銀行・ガス・水道・電気など直接行って手続きする必要があって、それだけで丸2日。証明書が必要だったり、手続きが面倒でした。
(Iさん、38歳のとき)
お金が引き出せず、
立て替えることに
親の通帳や印鑑、キャッシュカードを探し出せたのはいいけど、暗証番号が分からない。銀行に行っても引き出せず、自分で立て替えるしかなかった。
(Sさん、32歳のとき)
自分の持ち出しで
親の葬儀をしました
父の死後に銀行口座が凍結。暗証番号などは知っていたにもかかわらず、お金を引き出せず、母と自分の手持ちのお金で葬儀を乗り切りましたが、相当慌てました。
(Iさん、38歳のとき)
共同名義の土地の相続で
もめました…
父ときょうだい2人で共同名義にしていた土地。父の死後にどうするかまで話し合いがなく、もめました。売ることも難しいけど、管理も面倒だからと押し付け合いに。
(Tさん、36歳のとき)
実家の片付けをきっかけに険悪に
実家を片付けようと、勝手に捨てるなどして、母と大喧嘩。親子仲を修復できないまま、仕事と家庭の両立でピンチになったときに実家に頼れず、退職を選びました。
(Tさん、33歳のとき)
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撮影/草間智博〈TENT〉 取材・文/塚本万智 編集/井上智明
*VERY2024年4月号「「親の生前整理」の頼みかた・はじめかた」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。