女優・須藤理彩さん「夫を亡くし、心身不調に。鬱だと思っていたら…」原因がわかり自責を卒業

更年期を意識する前に不調を感じたとき、違和感のもとがホルモンバランスの乱れにあるとは気づきにくいもの。でも体調不良の原因が「プレ更年期」だとわかったとき、救われた気持ちになった、と俳優・須藤理彩さんは語ります。

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須藤理彩さん profile

1976年7月24日、神奈川県生まれ。1998年、NHKの朝ドラ「天うらら」のヒロインを務め、ドラマ初主演を果たす。その後も多くのドラマ・映画・舞台などで活躍。近年はミュージカル「ピーター・パン」『アニー』などでの好演も話題。舞台『罠』(6月6日〜26日・東京 よみうり大手町ホール。ツアー公演あり)に出演。インスタグラム(@ichico_smile)も好評更新中。


シーツがびしょびしょになるほどの汗や落ち込み

最初に更年期の症状を感じたのは40歳のとき、主人が亡くなった時期でした。ベッドから起き上がれなくなり、食事ができなくなり、何もやる気が出ない日々が続きました。

はじめは精神的なショックで少し鬱症状が出ているのかなと思っていたのですが、お休みをいただき、しばらくして日常生活が戻ったころに、内科の先生に「精神的なダメージがあるのかも」という話をしたら「もしかしたら、それはメンタルが弱っているということより、プレ更年期(*1)かもしれません」と言われてびっくり。

40代になったばかりで、更年期は先のことだと思っていましたから。そう言われてふりかえってみたら、たしかに防水シートをベッドに敷いてもびしょびしょになるくらい寝汗がひどい。パジャマを着替えても着替えても汗をかくので、もう何も着ないで寝たほうがいいのかも、と思うほどでした。日中でも急に顔が真っ赤になり、汗が引かないこともあったのです。

【*1・プレ更年期】

30代後半から40代前半にひと足早く更年期症状が出ることも。まだ意識していない時期の不調なので、ホルモンバランスの乱れだと気づかず、原因がわからないまま苦しむこともあります。生理周期の乱れやイライラ、疲労感などがあれば婦人科で相談を。

原因がわかり 自分を責めることを卒業できた

— 俳優の須藤理彩さんは、印象的な役が記憶に残る実力派。ここ数年は活躍の場をミュージカルにも広げ、高い評価を受けています。40歳のときに夫であるミュージシャン・川島道行氏と死別され、そのときの心境を以前STORY本誌でもお話ししてくださいました。

先生から「女性ホルモンは2段階で落ちていきます。閉経の10年ほど前に一度ガクンと落ちて、そのあとは少しなだらかに落ちていって、最終的にまた一気に減る時期が来ます」と言われた内容は初耳でした。でも、汗がダラダラ出続けるホットフラッシュは自律神経の乱れであり、ホルモンバランスが崩れているせいかもしれないのかと、とても腑に落ちました。

「今、自分はプレ更年期なのかもしれない」と思うと、とても救われた気持ちになりました。精神的なショックからの不調だと思っていたので、どこか自分を責めてしまっていた部分がありましたが、更年期なら仕方がない、というか。自分のメンタルの弱さが原因ではなく、ホルモンのせいだと知ることで、気が楽になったんです。

一般的には45歳くらいから症状が出ることが多いけれど、自分の場合は、いろんなことが重なってしまった、その結果ちょっと早めに来たのかなと思ったら、不調も自然なことだと受け止めることができました。

それから10年近く経って、症状は少しずつおさまってきたような状況です。更年期症状に効果が期待できるプラセンタ注射も定期的に行いつつ、とにかくよけいなストレスを溜めないように意識しています。食欲過多でもなんでもホルモンのせいにして(笑)、「更年期だから仕方ない」と開き直ることも大切なのかなと感じます。

自律神経を整えるために やれることは積極的に

減っていく女性ホルモンのせいで乱れがちになる自律神経を整えるためにやれることはやろうと思っています。ホットフラッシュが出る前は、メークさんに「顔は汗かかないですね」と褒められるくらい、まったく汗が出ない体質でしたが、汗をかくほうが交感神経と副交感神経の切り替えが上手くいきやすい、ということで、行けるときは週に3回ほどホットヨガで汗を流しています。そのときには深い呼吸も心がけます。

呼吸といえば、ボイストレーニングも正しい呼吸にひと役かってくれているのかも。ここ数年はミュージカルのお仕事をいただく機会が増え、自分のウィークポイントである「歌」を攻略しなければ、という思いで通っています。それも私にとっては新しいチャレンジであり、よい刺激。声を出す、呼吸を学ぶ、ということも、体全体をコントロールするいい手立てだなと感じています。

また、3年前から始めたガーデニングも気持ちを癒してくれる趣味のひとつ。植物園をたずねるお仕事で、案内してくださる方から「子育てが一段落した人は、次に何をしたらいいか迷うことがある」というお話をうかがいました。そう考えると、私って子どもが成長したあとは仕事しかないんじゃないか、と思ったのがきっかけです。最初はアサガオの種を植えるところから。始めてみると植物を育てることは子育てに似ていると実感しました。種を植えて一生懸命愛情を注いでも、芽が出るか、花が咲くかわからない。どんなに手をかけても栄養をあたえても、花がつかない年もあれば、満開になるときもある。どう育つかわからないからこそ、芽が出ただけでも嬉しいし、花が咲くともっと嬉しい。それが子育てに似ていてとても癒されるんです。

今はYouTubeを見ながら、プランターでパンジーやビオラなどの寄せ植えを楽しんでいます。試行錯誤しながら育てても思い通りにならないことも含めて、愛おしいんです。

「リセット上手」で 罪悪感も手放して

— 元・陸上部で体育会系だという須藤さん。「上手くできないからこそ、頑張る楽しみがある」から、新しいことに挑戦することをいとわない姿勢は見習いたいものです。

年齢やキャリアを重ねていけばいくほど、失敗したり、上手にできないことが怖くなります。私もそうでした。でもやったことのないミュージカルや歌にチャレンジしようと決心できたのは娘たちが背中を押してくれたから。彼女たちは、勉強や部活など、全力で取り組むんです。いろんなことに挑戦して挫折しては、悔しくて泣いて帰ってきたりして、でもまた奮い立って向かっていく姿が眩しくて羨ましくて。私ももともと負けん気の強いタイプなので、娘たちを見て「目標に向かって努力する」尊さを思い出して、自分も守りに入らないでやってみよう! 悔しがるパワーを持とう! と勇気が出ました。

同志であるような娘たちは、ことあるごとに手紙を書いてくれて、私の心の支えにもなっています。とはいえ、思春期にはかなりバチバチな時期もありました。私の親がとても厳しくて、私自身は親にはいろんなことが言いづらい環境で育ちました。自分の子どもには「何かあったら問題が大きくなる前に早めに言ってね」「助けられるのは私しかいないんだからね」と言ってきたので、感情を吐き出してくれたのは良かったと思います。

目標を立てて努力するのは大切ですが、いつも頑張り続けるのはストレスにつながることもあります。朝起きて、エンジンがかからない日は、1日のんびりしようと決めて「明日から頑張ればいい」と思うことにしています。いつも張り詰めているのではなく、今週がダメなら来週から、今月がダメなら来月から、そんなふうに生活サイクルを区切り、その都度リズムを立て直して、できていない自分を責めないこと。生活を短期、中期、長期でわけて考えて、崩れを引きずらないでリセットチャンスを設ける。それを意識すれば自分のペースが保てて楽になれるんじゃないかと思います。

今年の7月で50歳になりますが、思考も生活も持ち物もどんどんシンプルになってきて、いろんなものを手放せているのが心地いい。植物を育てるように、私自身にも「挑戦」という栄養をやりながら、マイペースで自分育てをしていけたらいいなと思います。

カーディガン¥39,600カットソー¥19,800スカート¥48,400(すべてNON TOKYO)バッグ¥34,100(LEMEME/UTS PR)ネックレス¥92,400右手のリング(silver tied ring)¥29,700(ともにSSIL/UTS PR)イヤカフ《gold、silverともに》¥53,900左手のリング(silver onyx×diamond ring)¥108,900左手のリング(silver chain ring)¥121,000左手のリング(gold ring)¥72,600(すべてMuff/UTS PR)

撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/加藤リーヌ スタイリスト/下平純子 取材/柏崎恵理 撮影協力/Rust Yokohama、コーヨーハイツ ※情報は2026年5月号掲載時のものです。

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