本木雅弘さん、我が家族、妻、そして息子、娘との関係「60歳の今も、夫婦喧嘩だってするし、子育ても進行中」

カンヌ映画祭で大きな話題を呼んだ『黒牢城』に続き、8月には、昨夏NHKで放送され数々の賞を受賞した
戦後80年ドラマ「八月の声を運ぶ男」が未公開シーンを加え劇場公開と、
話題の主演映画が続く本木雅弘さん。
そんな本木さんも、そのキリリとしたルックスからは想像できないけれど現在、60歳。
そこで、60歳を迎えた本木さんの、知られざるプライベートライフに迫るインタビューをお届けします!

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60歳を迎えた今、我が家族、妻、そして息子、娘との関係

60歳を迎えた今も、相変わらず日々の雑事に追われて、夫婦喧嘩だってしますし、
次男はまだ高校生で子育ても進行中ですし、まだ色々と片付いていない、といった感じです。
きっと、「STORY」の40代読者の皆さんと、さほど変わらないんじゃないかな。

妻は、“作品を親身に観てくれる”といった様子というよりは、わりと率直かつ客観的に
に感想は言ってくれますし、その妻のコメントが一番キツかったりもします(笑)。
でも、時には妻の言葉に救われたりすることもあるんです。
図らずも同業者となった長男のUTAは、いつの間にか僕が出演した作品を含め、
娯楽として楽しむだけではなく、「誰々の芝居へのアプローチがすごかった」とか、
「音楽がどうだ」とか、「カメラワークがこうだった」といったことに
言及するようになりました。
親としては、芝居に対してずいぶん興味が深まったんだなぁ、と驚いたりしています。
そして、父親である自分と彼は微妙に人間のタイプも違うわけで、
解釈も演じ方もそれぞれで良いのだとも感じ、俳優として手探りを始めている彼が、
どんなテイストを見つけていくのか楽しみに見守っています。

「STORY」の読者さん達は、思春期教育に悩む方も多いようですが、
我が家の場合は、長男、長女ともに12歳で海外留学をさせているため
いわゆる思春期の“親子のぶつかり合い”といったものは、
物理的に離れていたことから、経験することなく避けて通り過ぎることができました。

しかしながら、たとえ距離が離れていたとしても、心配ごとは尽きません。
親の悪い部分も受け継いでしまっている分身のような感覚があり、ハッとすることもよくありました。
慎重すぎるとか頑固だとか……。
それでも、それぞれに世間の荒波を受けて、自分なりに乗り越え、
いつの間にか人として成長していくものです。
今思えば、「何があろうと、最終的に親は味方でいてくれる」そんな安心感さえ与えられれば良いのだと。
まだ次男の送り出しが残っていますが、過干渉は控えようと思っています。
ですが、妻曰く、同性である息子たちには評価が厳しめで、
パリで働く娘には「ちょっと甘い」父親だそうです。

偉大なる義母、樹木希林さんから学んだこと

義母の樹木希林さんは、ある意味、母性も父性も備えた方でした。
母の生き方には、どこか修行僧を思わせるような自若さがありましたね。
そして、自分を律すると同時に、他者にも愛情の注げる人。
母が残した、「おごらず、人と比べず、面白がって、平気に生きればいい」
という言葉は有名ですが、つい悩みグセのある僕の心にも響く言葉です。

要は、「足るを知る」ということだと思うんです。
自分の内側にあるものを活かして、充足するということーー。
40代以降は、満足の形やレベルを自身で設定していくことが大事なのかもしれません。
いつも、「足りない、これではない」と焦ったり、探したりするのではなく、
程の良さを知ると、自分自身も、周りも上手く緩んでくる。
そんな穏やかな波長は、周囲にも伝わっていくものなのでしょう。
60代を迎えた僕自身も、つい多くを望んでしまうけれど、
「幸せ」を招く秘訣は、偉大なる義母が教えてくれた、
「足るを知る」ということなのかもしれません。

Masahiro Motoki

1965年、埼玉県出まれ。1981年ドラマ『2年B組仙八先生』(TBS)でデビュー。翌82年に「シブがき隊」で歌手デビューし大ブレイク。88年グループ解散後は俳優に専念し、映画『シコふんじゃった。』(1992年)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。その後もNHK大河ドラマ「徳川慶喜」(1998年)、「坂の上の雲」(2009年)などのテレビドラマをはじめ、映画『日本のいちばん長い日』(2015年)、『永い言い訳』(2016年)など数々の話題作に出演。2008年公開の主演映画『おくりびと』は、第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、世界的な注目を集めた。6月に公開された主演映画『黒牢城』、そして、還暦フォトブック「刹那と永遠のまにまに」が話題に。

今回、本木さんが出演したのは……

『八月の声を運ぶ男』
出演:本木雅弘 石橋静香 伊藤蒼 尾野真千子 田中哲司 阿部サダヲ
監督:柴田岳志
制作・配給:WOWWOW
高度経済成長期を遂げた1972年の日本。日本人の誰もが豊かさを追い求めるその時代の流れに逆らうように、長崎の放送局出身のジャーナリスト・辻原保は被爆者の声を集め出す。しかし、当時はまだ原爆の記憶はあまりにも生々しく、その悲惨な体験を語ろうとするものは少なかった。誰にも理解されず孤独で過酷な作業を続ける中、辻原は一人の被爆者・九野和平と運命的な出会いを果たす。辻原は、彼が語る「声」に感銘を受けるが、その声は多くの謎にも満ちていた……。
8月21日(金)より全国のTOHOシネマズにて公開(一部劇場を除く)

撮影/田頭拓人 取材・構成/河合由樹

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