「親の視野は狭い」と自覚することから【智弁和歌山・スーパー寮母】が語る、伴走する子育て
智弁和歌山高校野球部寮「智翔館」の寮母を務めるのは、監督の妻でもある中谷千保子さん(43歳)。日々、子どもたちと向き合うなかで信条としていることをお聞きしました。それは、思春期の子どもたちだけでなく、すべての世代に通じるアドバイスでした。
▼あわせて読みたい
【智弁和歌山】甲子園優勝を支えた寮母が、夫である監督に「唯一お願いしたこと」才能を伸ばす関わり方とは
受け身でいることが当然の子どもたち 人生を切り開くために必要なのは、思考力と強さ
「私が今の子どもたちに対して一番危機感を持っているのは、全てに対して受け身という姿勢です。智弁和歌山野球部員として、寮に入ってくる子どもたちでも変わりはありません。
その原因の一つだと感じているのは、それまで受けてきた教育。今の日本の教育って大前提として大人の理想とする答えが示され、その答えに対してマルバツ(=成績)がつけられる受け身の教育構造になっているんです。大人から言われたことを素直にこなす子どもがいい成績をとり、評価される。
でも、人生って受け身なだけでは切り開いていけないんです。
目標を設定してそこまでの道筋を自分の頭で考える思考力と、行動に移し、いざというときに踏ん張れる力を持って生きていかなければ、壁を乗り越えられません。そのためには常々、今、何をすべきかを子ども自身に考えさせることが大事だと思っています。
私は常日頃から「今日は何を思って、グラウンドへ行くの?」と、声掛けをしているとお話しましたが。もし、子どもが「何って、なに?」という状況ならば、自分で考えられるようにいろいろ質問をなげかけていきます。子ども自身が目標とすべき未来の輪郭が見えてきたら、そのために今やるべきことも明確になってくるはず。
あとは、その何かに向かって自走できるようになれば、もう大丈夫。子どもの未来は大きくひらけてくるはずです。」
思春期は子どもと向き合うラストチャンス、どんな時も応援する姿勢を忘れずにに
「私から思春期のお子さんのいるSTORY読者のお母さん方に子育てのアドバイスをするとしたら第一に『自分自身の人生を含めて全てを受け入れ、楽しむこと』を伝えたいですね。
子どもに対して過剰な期待を持って親目線でこうなって欲しい、こうあるべきと思い出すとキリがないです。必要なのは、子どもがどうなっても伴走して一緒に楽しむ覚悟と愛情。
子どもが親の思い通りの道に進まなかったとしても、それを悲観することなく愛情を持って接し、どんな状況になっても一緒に歩む覚悟を持って欲しい。
親は子どもたちの目標とする未来や、やりたいことを心から応援する覚悟と姿勢を示し、それを子どもたちがしっかりと受け止ることで強く進んでいけるのではないでしょうか。
子育てって、手間はかかります。私は何人もの子どもを預かっている立場ですが、時には「これが自分の子どもだったらどうしよう」という局面になることもあります。そんな時も愛情を持って接し、常にポジティブな言葉を浴びせ続けていくことで子どもは少しづつ変わっていくと実感しています。
大学生の年代になると、親元を離れる子どもさんも多いし自身の考えも固まってきてしまう。高校生って大人になる前に親が子どもに深く関わることのできるラストチャンス、このタイミングを逃さないで欲しいです。
付け加えるならば、お母さん自身の経験に基づいて考えた、子どもにはこうなって欲しい理想の姿って視野が狭いと自覚して欲しい。我が子だけに目が向いていると見えてこない部分があるかもしれませんが、子どもの可能性と未来は親が想像するより遥かに大きい!
子育てに正解なんてないです。
学歴があっていい会社に入ったら、一生安定していい暮らしができるというという根強い指向がありますが、これから先は通用しなくなると私は思っています。ステレオタイプに拘らず、本当に子どもたちがやりたい生き方に向かって進める力こそ人生にとってマスト。
そんな生き方ができる力を持った子どもは、豊かで幸せな人生を送れると私は確信しています。」
STORY世代のスーパー寮母・中谷千保子さんが描く これからの自分の将来
寮母となって7年。圧倒的なメンタルサポートで、その間チームを2度の甲子園優勝に導いた千保子さん。ご自身は描いている未来は?
「監督がどう動くかが第一で、監督が智弁和歌山に関わっている限りは今の状況が変わることはないです。チームが勝っても負けても、それは変わりません。
一方、自分の中ではこの状況で終えることはないなという感覚もあります。
酵素浴のある複合施設やヨガスタジオの経営もほったらかしになっている部分もあるので、それもきちんとやっていかなければいけないですし。
何かのきっかけがあれば、智弁和歌山野球部の部員だけでなく、もっと多くの人たちに向かってメンタルトレーニングやアスリートの食事面も含めた健康管理などを発信することがでたらという思いもあります。インスタもそんな思いから始めました。
ここからは、体力・時間・事業のバランスを改めて整えて、次のフェーズへ。
誰もやっていないことにも、躊躇なく挑戦していきます。」
日々の子どもたちとの生活がダイレクトに伝わってくる中谷千保子さんのインスタアカウントは@c_chihoko_n。子育てに悩むSTORY読者にとってヒント満載です。
取材/安西繁美 構成/玉榮日菜子
おすすめ記事はこちら
▶「夫は兄と同学年」NY留学、経営…妻・千保子さんの異色キャリアが【甲子園優勝校・智弁和歌山】の寮母に繋がるまで