「縁側でお茶を飲んでいるイメージだったけれど…」大竹しのぶさん、まったく違っていた60代の実感

40代の時に脳出血で意識を失い、22年間寝たきりになっていた母が、ある日何の前触れもなく甦り……。圧倒的な表現力と存在感で活躍し続ける大竹しのぶさんが、そんな新作舞台に出演します。タイトルは『果てない~甦る母篇~』。作・演出は、矛盾を抱えた人間や社会のありようをユーモアを織り交ぜながら鋭く描き出す蓬莱竜太さんです。笑顔がたまらなくチャーミングな大竹さんに、初顔合わせへの期待感、普段の生活や年を重ねることについて伺いました。

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40代は子育てから手が離れ、自分のこともできて体力もあって、楽しい時代でした

――11月に開幕する舞台『果てない~甦る母篇~』は、大竹さんと初顔合わせとなる蓬莱さんの書き下ろし作品。これまでにご覧になった蓬莱さんの作品があったら教えてください。

私が観たのは『木の上の軍隊』(原案:井上ひさし)と『母と惑星について、および自転する女たちの記録』ぐらいで、最近のものは全然観に行けていないんです。自分がお芝居の稽古と本番に入ってしまうと、観劇している余裕がなくなるので、なかなか観に行けなくて。でも、2本ともとても印象に残っています。セリフの言葉が面白いなと思いましたし、女性4人のお芝居だった『母と惑星~』では、蓬莱さんは女性をわかっている人なのかなと感じました。

――大竹さんが本作で演じられるのは、40代の時に脳出血で倒れ、22年後に突然目覚める母です。STORYのメイン読者層は40代の女性なのですが、大竹さんご自身は40代をどんなふうに過ごされたでしょうか?

40代、何をしていたかなあ。30代の時は必死になって子育てをしていたんですけど、40代は子どもから少し手が離れて、仕事も好きにできるようになって、自分のこともちょっとできるようになって……。今よりずっと体力もあったし、楽しい時代ではありましたね。今回のお芝居で私が演じる人は、きっとショックだろうなという気がします。家族が自宅で介護し続けていたわけですけど、本人には22年間という空白があって、目が覚めたらいきなり60代になっているなんて。

60代になって「もうそんな歳!?」と驚くことはありますが、思っていたほど変わりません

――確かに60代といえば、すでに人生の後半。社会的にも定年退職の年代というイメージがあります。

自分が若い時は、40代だって“おばさん”だと思っていたくらいだから、60代といったらもう隠居生活というか、縁側でお茶を飲んで庭の木をいじっているようなイメージがありますよね(笑)。ただ、自分が60代になってみたら、全然違っていました(笑)。60代になって、自分自身の何が変わったかっていうと、実はそんなに変わっている感覚がないんです。もちろん、「もうそんな歳!?」と思うことはありますし(笑)、自分の母親や友達の親が亡くなって、そういう歳なんだな、次は私たちの番なんだなっていう現実を改めて感じることはありますけど。

――大竹さんは、お母様をご自宅で介護なさったとのこと。時間のやりくりなど、どうされていたのですか?

ヘルパーさんをお願いしたり、私の姉や妹が来て、交代で付き添ったりしていました。だから私は、そんなに大変だったわけではなくて。トイレの介助や食事の介助はしていましたけれども、母は認知症ではなかったので、なんというか、徐々に弱っていく母を見守り介護していたという感じですね。

心がけて実践できているのは、“ご飯をしっかり食べる”ことぐらい

――いつもアクティブでチャーミングな大竹さん。年齢を重ねることを、特に意識なさっていないような印象があります。

いえ、気にはなりますよ。今は60代ですけど、来年から70代になってしまうので、嫌だな、これからどんどん体力もなくなっていくのかなって。ただ、私の周りの70代の皆さんはとてもお元気なので、見ていてすごく励みになっています。特に、今回のお芝居のプロデューサーの北村(明子)さんは、やる気とか闘志とか、そういうエネルギーも含めて、全然変わっていないんですよ。今回の作品、その前の「大竹しのぶLIVE×ACT『NA・NI・MO・NO』」もそうですけれども、新しい企画や、こうしたらどうだろう?というアイデアを思いついて、それを実践していく。人間、年を取ると、新しいことを考えるのも面倒になっていってしまうのかなと思いきや、全然そんなことはなくて、次から次にいろいろなことに挑戦していく姿に、とても力をもらっています。

――“こんな70代にしたい”といった展望はお持ちですか?

ないです。もともと、先々のことを考えるタイプではないですし、今はもうこの『果てない~甦る母篇~』のことで精一杯(笑)。その先のことは考えられないです。考えたところで、何が起こるかわからないですしね。

――普段の生活で、何か心がけていらっしゃることがありましたら教えてください。

うーん……それも特にないですね。運動しなくちゃと言いながら、ちっともやっていないですし(苦笑)。心がけたいことはいろいろあるんですけれども、実践が伴っているのは、たぶん“ご飯をしっかり食べる”ぐらいですね(笑)。

――最後にSTORY読者の皆さんに、メッセージをいただけますでしょうか。

若さもあって、生きてきた自信もある40代は、すごく素敵な時間だと思いますし、きっと楽しい時間だと思います。なので、お仕事や子育てで忙しいかもしれませんが、思いっきり楽しんで欲しいですね。

【プロフィール】

おおたけ・しのぶ/1957年、東京都生まれ。74年に『ボクは女学生』の一般公募でドラマ出演。75年に映画『青春の門 -筑豊編-』のヒロイン役で本格的デビュー。また同年、朝の連続ドラマ小説『水色の時』に出演し、国民的ヒロインとなる。以降、第一線で活躍し続け、数々の演劇賞や映画賞を受賞。近著に『ハレの日、ケの日 まあいいか5』(幻冬舎)がある。2027年3月から東京ほかで上演される、ミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』への出演が控える。

【講演情報】

シス・カンパニー公演『果てない ~甦る母篇~』

22年前に脳出血で寝たきりになった母(大竹しのぶ)を、自宅介護してきた夫(高橋克実)と長女(江口のりこ)と次女(伊藤沙莉)。そこに介護士(井上芳雄)と家族の一員になったケンシロウ(名村辰)も加わり、一家には一定の生活パターンが出来上がっていたのだが、ある日、母が突然甦る。そこには、手放しでは喜べない各々の事情や思惑があり……。

作・演出/蓬莱竜太

2026年11月7日~12月6日/シアタートラム 大阪、愛知、福岡公演あり。当日券あり。詳細は公演公式サイトまで。

https://www.siscompany.com/hatenai/

取材・文/岡﨑 香 ヘアメーク/新井克英 スタイリスト/申谷弘美 撮影/田中駿伍

ニット¥71,500(SEVENTY VENEZIA)、スカート¥203,500(ICEBERG)/ともにサンフレール03-3265-0251 イヤリング¥27,500、リング¥17,600/ともにagete0800-500-5000

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