【グッチ】バンブーバッグ、ホースビット…歴史から紐解くアイコニックな名品の魅力

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手にするたびに高揚感に満ち、自信をくれる。私たちが信頼を置くブランドの名品は、改めてその歴史に触れることで一層愛着が湧いてきます。ファッション論が専門の平芳裕子教授とともに振り返る本連載。今月は「グッチ」の名品たる所以を紐解きます。

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改めて歴史を知ることで伝わるスピリット
平芳裕子先生と
「読むラグジュアリー」

GUCCI(グッチ)

「確固たるアイデンティティを軸に、
時代の変化や新たなデザイナーによって
柔軟に再解釈されるブランドの美学」

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バンブー、ホースビット、ウェブ ストライプ。軽やかに進化し続けるアイコニックな名品
右から)ヴィンテージ感のあるレザーと佇まいも魅力。バッグ[グッチ バンブー 1947/H14×W22×D7cm]¥693,000 ホースビットとウェブ ストライプ、GGキャンバスで仕立てられたブランドのシグネチャーが詰まった名品。バッグ[パパラッツォ/H32×W24×D17cm]¥467,500(ともにグッチ/グッチ クライアントサービス)

流行を取り入れるセンスに長け、
「着飾りたい」という人間の
本能に応えてくれる

昨年、アーティスティック・ディレクターに就任したデムナが牽引する新生グッチ。’90年代のスーパーモデル、ケイト・モスを起用したことも話題を呼んだ2026年秋冬コレクションは、カッティングに趣向を凝らしたミニマムなドレスや単色でいて光沢のあるメンズのツーピースなど、よりスタイリッシュに進化したデザインが印象的でした。バンブーやホースビットなど、数々の名品を世に生み出したイタリアを代表するブランド、グッチの歴史は創設者のグッチオ・グッチがお店をオープンした1921年から始まります。1881年にフィレンツェの郊外に生まれたグッチオ・グッチは、16歳の時にロンドンの一流ホテルである「ザ・サヴォイ」でポーターとして働きました。そこで、国際色豊かな上流社会の文化やイギリスの美学に直に触れ、ゲストのトランクやラゲージを多く目にした経験から高品質なラゲージのアトリエを持ちたいと考えるようになり、英国スタイルのラゲージ専門店を開きます。そして、ブランドが大きく発展した1930年代、それまでの主力素材であったレザーではなく、ヘンプのキャンバス素材に目をつけます。耐久性に優れたこの素材にダイヤモンドパターンを織り込んだバッグを開発し、グッチ初のシグネチャー「ディアマンテ」を発表。これは、後にブランドのアイコンとなる「GGパターン」の先駆けとなりました。

ヘンプ素材の次に、軽くて耐久性に優れたバンブーに着目。竹をまっすぐに使うのではなく、職人が熱しカーブさせてハンドルに用いたバンブーバッグはまさにクラフツマンシップに裏打ちされた革新的なアイデアでした。「グッチ バンブー 1947」と名付けられたハーフムーンシェイプのバッグは、ファッション史に名を刻んだ名品として今も愛され続けています。時代の流れを読み、新しい素材をファッションの世界に落とし込む。着飾りたいという人間の本能に応えるべく、変化することを厭わないしなやかな姿勢も、ブランドの飛躍に繫がったと言えるでしょう。そして1953年、不朽の名作「グッチ ホースビット 1953」が誕生します。

上流階級がレジャーで乗馬に親しんでいた歴史から、馬具をモチーフにしたアイテムを数多く発表していた1950年代。ローファーの装飾に採用されたホースビット ハードウェアもまた、乗馬を楽しむエレガントなライフスタイルからインスパイアされ、馬具の轡を彷彿とさせるダブルリングとバーで構成されています。一見、轡とわからない洗練されたデザインは高く評価され、1980年には世界屈指のミュージアムであるニューヨークのメトロポリタン美術館の永久所蔵コレクションに。このことも、「グッチ ホースビット 1953」のタイムレスな魅力を裏付けています。馬具モチーフのアイテムは広がりを見せ、馬の背に鞍を固定するために使われるトスカーナ地方の伝統的なキャンバス製の腹帯にインスピレーションを得たグリーン・レッド・グリーンのウェブ ストライプが登場。ホースビットと同様、グッチを象徴するアイコンのひとつとなっています。そしてもうひとつ、1961年にはブランドのアイデンティティを語る「ジャッキー」バッグが誕生。ジャクリーン・ケネディ・オナシスが愛用していたクラシックなホーボースタイルのバッグはジャッキーの華やかなライフスタイルを映し出し、グッチの名を世界に知らしめました。

1960年代半ばにプレタポルテの展開を開始、日本の銀座並木通りにもショップをオープンし、1972年には初のウェアを中心に扱うショップをニューヨークにオープンします。インテリア用品やライフスタイルアイテムなど幅広いアイテムを展開して成長を続けていく中、1994年にトム・フォードがクリエイティブ・ディレクターに就任。独自の視点で由緒ある老舗ブランドを、より高感度なファッションブランドへと導きます。サテンのシャツにローウエストのパンツスーツなど、官能的でモダンなデザインは新鮮で、新しいグッチの幕開けを感じさせました。その後のアレッサンドロ・ミケーレも、独自のセンスとポップカルチャーとの融合で若者世代の支持を集め流行を牽引。そして2025年、デムナをアーティスティック・ディレクターに迎えたグッチはまた新たなステージへ。ボディコンシャスなシルエットを追求し、今の時代にフィットした、クールで抑制の効いたセクシーさを生み出すデムナの手腕に期待が高まります。

初期のバンブーバッグ
1940年代に発表された初期のバンブーバッグ。デビュー当時からほとんど姿を変えていないという歴史を感じさせる一面も魅力。
デムナが手がけた2026年秋冬コレクション
デムナが手がけた2026年秋冬のコレクションの最後に登場したモデルのケイト・モス。トム・フォードへのオマージュを感じさせるボディコンシャスなドレスも話題に。
グッチオ・グッチ氏が小さなラゲージ専門店からスタートさせたグッチ
創設者のグッチオ・グッチ氏。1921年にフィレンツエのヴィーニャ・ヌオーヴァ通りに小さなラゲージ専門店をオープンし、ブランドがスタート。

神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授平芳裕子先生
神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授
平芳裕子先生

東大ファッション論集中講義(ちくまプリマー新書)
文化を作り上げ、世界経済を動かすにもかかわらず、浅いものとされがちな「ファッション」や「衣服」を学術研究の領域で紐解く。反響を呼んだ東大での4日間の講義を書籍化。

\新刊本もぜひお求めください/

『何がダサいを決めるのか』
平芳裕子著(ポプラ新書)

撮影/山口恵史 スタイリング/坂野陽子 取材・文/北山えいみ 編集/城田繭子
*VERY2026年7月号『平芳裕子先生と「読むラグジュアリー」』より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。

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