【元トップスター・柚希礼音さん】が入団時に苦労したこと
退団後もさまざまなフィールドで活躍し、輝き続ける宝塚OG。今回は、 ダンスの名手として6年間星組トップスターを務め、新たな宝塚ファンを増やし続けた伝説的存在、柚希礼音(ゆずきれおん)さん。退団から8年、スターオーラ全開でますます活動の幅を広げる柚希さんは、生き方もストイックなまでの潔さを貫かれていました。
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大切なのは、日々、幸せでいられる空間づくり。自分も整っていきます
《Profile》
大阪府出身。幼少時からバレエを習い、宝塚をすすめられ高校2年で受験。1999年85期生として入団。初舞台後、星組に配属。新人公演、バウホール主演を重ね、2009年星組トップスターに就任。『ロミオとジュリエット』、『オーシャンズ11』など話題作に出演。6年間トップを務め、日本武道館コンサートも実現。2015年『黒豹の如く/Dear DIAMOND!!』で退団後は『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』、『マタ・ハリ』など名作ミュージカルに出演。12月には三池崇史監督の映画『怪物の木こり』が公開予定。第37回菊田一夫演劇賞など受賞多数。
──美容の習慣はありますか?
水をたくさん飲むこと。宝塚では早替わりの合間に1日2リットルは飲んでいましたが、今はそうはいかないので、意識的に摂るようにしています。あとはずっと続けているバレエ。そしてたくさん眠ること。8、9時間は寝ます。
──この夏には初ディナーショーも。ショーはやはり特別ですか?
そうですね、もともとショーをやりたくて宝塚に入ったので。宝塚では毎公演必ずあったショーが、退団したらできなくなってしまった。ミュージカルのダンスは演じる役としてのダンスです。でもショーでは柚希礼音として歌い踊ることができる。ショーではその面を見ていただけたらと思っています。
──受験前は宝塚の大ファンではなかったので、入られてから苦労されたこともあったとか
とにかく踊りたい一心で入ったので、入団してから「宝塚ってすごく素敵!」と宝塚の良さに気付いたんですよ。最初はファン目線がわからず苦労もありましたが、宝塚ファンではない視点を持っていたからこそ、100周年のときには宝塚を知らない人たちにも見てもらいたいという熱意を持つことができました。
退団後女性をどう演じたらいいか悩んだこともありましたが、男役時代をなかったことにするのではなく、上からどんどん新たな役を足していけばいい、それが私なんだ、と思えるようになりました。
舞台では明日の活力になるようなものを一つでもいいからお客様にお渡しできたら、と思っています。作品のメッセージ性は、役をきちんと追求していったら届くはず。それを最大限伝えたいと思ってやってます。
──ストイックに生活のリズムをコントロールされてるんですね
舞台が終わったら急いで家に帰り、全力で寝ることに向かいます(笑)。眠りが浅くなるので、公演中や稽古中はお酒も飲まないですし、環境を整えるため家には好きなものだけを置いています。
元々はすごいサボり症の女だったんです(笑)。宝塚の舞台はそれではいけない、とわかりました。入院中で一日だけ外出許可が出て来てくださる方など、観劇される方はさまざま。私たちはその一回の公演にどれだけ情熱を込めることができるだろう、と。
トップになってますます重責を感じるようになっていったので、休むときは思い切り休む、という切り替えで乗り切ってきました。
──旅がお好きだそうですね
宝塚時代は千秋楽の後そのまま旅立つ、ということもよくしていました。次はスペインに行ってみたいです。スペインが舞台の作品にけっこう出ているのにいまだに行けてないんです。2週間くらいバル巡りとかしてみたい(笑)。
──最後に、柚希さんにとって〝美しく生きる〟とは?
自分が幸せでいること。それって幸せな空間で自分を喜ばせながら過ごすことかな。コロナ禍で家を整えたら自律神経も整っていく自分に気がついて。贅沢でなくても日々を丁寧に過ごして、内面から豊かになりたいですね。見ていて幸せなんだろうな、と感じる人って美しいですから。
柚希礼音さんからのメッセージ
「公演中は封印するお酒も休みになるとご褒美で開けちゃいます。星組は体育会系だったので強くなりました(笑)。一人のときはビールが多いですが、友だちが来たらシャンパン、白、赤とフルで楽しむことも」
《衣装クレジット》
ブレザー ¥218,900(参考価格) パンツ¥160,600(参考価格) パンプス¥160,600(すべてトッズ/トッズ・ジャパン)ピアス(右耳) ¥572,000(両耳セット価格)(サイモン・アルカンタラ/ザ・サロン バイ ノーア)
2023年『美ST』12月号掲載
撮影/八木 淳(SIGNO)〈人物・静物〉 ヘア・メーク/佐藤エイコ(ilumini.) スタイリスト/間山雄紀(M) 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子