元卓球五輪代表・平野早矢香さん「夫からの第一印象は❝おしゃべりメダリスト❞」
パリ2024オリンピックがついに開幕! 2012年ロンドン五輪団体卓球女子銀メダリストであり、今回の五輪では卓球解説者として現地に赴く平野早矢香さんがVERY webに初登場。現在育児中である平野さんに、今大会の注目ポイント、現役引退前後の決断やその後の結婚、育児について伺いました。
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五輪は「特別な大会」──手の震えが止まらなくなって……
──平野さんご自身はオリンピックに出たときどんな心境でしたか?
私は2008年の北京五輪と2012年のロンドン五輪に出場しました。ロンドン五輪で銀メダルを獲って表彰台に上がったときの景色は、やはり特別な思い出になっています。
北京五輪では不思議な体験もしました。初戦は団体戦。普段通りに試合すればまず勝てるだろうというくらい実力差があった対オーストラリア戦でした。ところが、いざ初戦でサーブを出そうとしたらどうにも手の震えが止まらなくなったんです。どんな大会でも緊張はするものですが、1ゲーム中ずっと手が震えていたのは後にも先にもこの時だけ。自分のコンディションもいいし、結果として試合の内容もよかったのですが、オリンピックという大舞台では、やはり自分ではコントロールできないほどプレッシャーを感じていたのかな、と思いました。オリンピックに出場する選手は、恐らく全員がどれほど緊張してもいつも通りのプレーをしようという心づもりで試合に臨んでいます。でも周囲からの注目度や緊張感が五輪以外の大会とはまったく異なるんですよね。2大会とも開会式から出席したのですが、入場した瞬間の拍手や歓声、フラッシュの光がものすごくて、涙が込み上げてくるような形容し難い感情になったことを覚えています。
強豪中国、躍進のフランス、そして日本……卓球の注目ポイントは?
──今大会の卓球競技も楽しみです。観戦のコツや注目選手を教えてください。
ご存じの方も多いと思いますが、卓球は中国が圧倒的に強いので「強豪中国に勝つ」のは、非常にハードルが高いことです。私が日本代表の頃はメダル獲得自体が高い目標という感じでしたが、今の選手たちは中国に勝って「金メダルを獲る」ことを目標に対策をしてきているので、かなりハイレベルな戦いが期待できると思います。日本代表ではエースである張本智和(はりもと・ともかず)選手と早田ひな(はやた・ひな)選手にやはり注目でしょう。また、今回の大会は、男女ともに「フランスが強い」ことにも注目です。全体的にはアジア圏が強いのですが、日本男子の張本選手とも互角に戦うライバル的存在である “ルブラン兄弟”をはじめ、男女ともにかなりの力をつけてきているフランス代表は要チェックです。
どこに行くにもジャージーだった現役時代
──VERYの読者は30代前後の人が多いです。平野さんご自身はどんな30代を過ごしてきましたか?
31歳で現役を引退して、35歳で結婚、37歳で出産……と、30代には人生における大きな変化や決断がありました。5歳で卓球を始めてからは卓球一筋。大学には進学せず、現在も所属するミキハウスに入社。27歳まで卓球部の寮で暮らしていました。寮の部屋にはテレビを置いていなかったので、世間の流行に疎く、どこへ出かけるにもジャージーという感じです。現役時代は次の大会に向けて毎度期限付きの目標を設定。そこから逆算してひたすらトレーニングをするという人生を送ってきました。
東京2020オリンピックはちょうど35歳前後で、若い世代の選手と代表争いをするのかぎりぎりまで迷いました。悩んだ末に引退を決意しましたが、その時点でセカンドキャリアはまったくのノープラン状態。当時は引退後にしたいことを聞かれても、車の免許を取ることくらいしか思いつきませんでした。それでも、後進の指導や講演などをするなかで、卓球解説やスポーツキャスターなど仕事の幅がどんどん広がっていきました。現役時代とにかく規則正しい生活を淡々とこなしていたのですが、引退後は、稼働時間が不規則に。37歳で子どもを授かってからは、育児中心となりライフスタイルがまた変化しました。現役時代と引退後では、真逆のような人生を送っているんです。
夫から「おしゃべりメダリスト」と呼ばれました…
──平野さんご夫婦の出会いのきっかけは?
夫は卓球関係者ではないのですが、スポーツ関連の仕事をしています。学生時代に野球やバレーボールに打ち込んでいたこともあって、スポーツが大好きな人です。夫との出会いは、知人の紹介。最初の出会いは友人をまじえての食事会だったのですが、そのときはあまり話をした記憶もなく、「優しそうな人だな」と思ったくらい。夫に聞いたところ、私の第一印象は「おしゃべりメダリスト」らしいのですが(笑)。その後、わりとすぐに意気投合してお付き合いが始まり、結婚することになりました。
「結婚できてよかった」と思っています
──平野さんにとって、結婚とはどんなものですか?
今の時代、結婚してもしなくてもいいし、子どもがいてもいなくてもいいし、幸せの形は人それぞれだと思います。それでも私自身はいつか結婚してみたかったし、子どもが欲しいと思っていました。実際に結婚して子どもを授かってみると、想像を超える大変さはありますが、それ以上に幸せを感じることも多く、私は結婚できて本当によかったと思っています。結婚は恋愛とは違って運命共同体のようなもの、今は夫と娘と三人の時間がいちばん自然体でほっと落ち着く時間です。
卓球人生の中で、オリンピックでメダルを獲れたことは何物にも代え難い、誇らしくて幸福な出来事でしたが、結婚してその後の子育てはそれとは別次元の幸せがあると気づきました。大変なことも多いけれど、子どもと出会わなければ気づかなかったことも多く、学びの多い楽しい日々を過ごしています。
PROFILE
平野早矢香(ひらのさやか)さん
1985年生まれ。栃木県出身。5歳で卓球を始める。高校卒業後、ミキハウスに入社。18歳で全日本卓球選手権・女子シングルス初優勝。2007年度から全日本選手権を3連覇達成、通算5度の日本一に輝く。2008年北京オリンピックでは、団体戦4位。2012年、ロンドンオリンピックでは福原愛、石川佳純両選手とともに団体戦で銀メダルを獲得。男女通じて日本卓球史上初の五輪メダリストとなった。世界選手権に14大会連続出場し、2014年東京大会では団体戦にて銀メダルを獲得。2016年の現役引退後は、一児の母として子育てをしながら、後進の指導に努めている。講演会や解説、スポーツキャスターとしても幅広く活動中。
撮影/堺 優史 ヘア・メーク/本多遥香(ROI) スタイリング/山本有紀 取材・文/亀井ゆりこ
ジャケット¥27,500 (カデュネ)サロペット¥23,100(アルページュストーリー)イヤリング¥2,180〈エルワイナウ〉ネックレス¥12,100〈Pearl for Life〉バングル¥22,000〈スティールジェニック〉リング¥20,600〈enn.〉(以上すべてロードス) ※インナーはスタイリスト私物
【衣装お問合せ先】
アルページュストーリー プレスルーム03-6894-8610
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ロードス03-6416-1995
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