鈴木砂羽さん(52)ハードな40代を振り返る「あらゆる更年期症状に七転八倒でした」
経験したからこそ辿り着ける境地があります。今回お話ししてくださった俳優の鈴木砂羽さんは辛かった40代と更年期を経て、自分を大事にするマインドに気づけたと言います。
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鈴木砂羽さん PROFILE
1972年9月20日、静岡県生まれ。1994年、主演映画『愛の新世界』で俳優デビュー。映画、ドラマ、舞台などで活躍しながらバラエティ番組出演、漫画家としても人気を博す。10月からはレギュラー出演している「相棒 season23」がスタート。独自の感性を生かしたInstagram(@bombon_sawa)も人気。
あらゆる更年期症状に七転八倒
私の更年期はなかなかハードなものでした。40代半ばから動悸(*1)やホットフラッシュ、四十肩(*2)や精神的な落ち込み、イライラすることもしょっちゅう。体も心もボロボロで、渦中の時は「この負のスパイラルから、いつになったら抜け出せるんだろう」と悶々と思い悩んだものです。
50代になってからは少しずつ改善の兆しもありますが、まだまだ手探り。症状への対処法は婦人科で先生と話し合いながら進めています。
私の場合は40歳になる手前と50歳になる手前で婦人科系の疾患が見つかったこともあって、かかりつけの婦人科がいくつかあるので、不調があるたびに検査してもらったり、更年期症状に効果が期待できる薬を処方してもらったりしています。今はジュリナという、卵胞ホルモンの一種・エストラジオールを補充する薬を毎朝1錠飲んでいますね。
更年期は人それぞれ症状や表れ方が違うので婦人科に行くのがおすすめ。私はエステや美容院に行くように、月に一度通っています。更年期症状のお薬の知識や最新フェムケアマシン、コスメのお試しなど、先生たちと話すととても安心できるし、勉強になります。
【*1・動悸】
更年期は女性ホルモンの分泌が低下し、自律神経が乱れがちに。それが原因で心臓や呼吸をコントロールする神経の働きが不安定になることも。
【*2・ 四十肩】
意外な症状の一つが肩の違和感。女性ホルモン低下による血行不良が原因であることも。
今は全てに寛容に
— 俳優として、演劇クリエーターとして、また漫画家などの作家活動を行うアーティストとしても幅広く多才な活躍を見せる鈴木砂羽さん。彼女が語る更年期は症状のフルコース。2022年には子宮筋腫と子宮の上部切除の手術を行ったこと、コロナ禍の時期も重なり、精神的に追い込まれることもあり、苦しい時期を過ごしました。
40代までは人に期待したり人と比較したり、とどうしても心がザワザワすることが多く、自分でもコントロールが難しいなと感じていました。「〜でなきゃならない」「〜すべきなのに」と考えがちで、今考えると自分の心にひどく負荷をかけ、ストレスだらけにしていたような気がします。でも、更年期の心身の絶不調を経験して50代になったら、悟りとまではいかないけれど目の前が拓けた感覚でした。
更年期という時期も、私のように不調に見舞われたり、いろんなことで悩んだりする人もいれば、そんなに変わらず無風状態で過ごす人もいて十人十色。でもたぶん人はそれぞれ必ずどこかの段階で気づきを得るような人生を選んできているはずです。全員が全員、私のような激しい過程を経なければならないというわけではなく、その人に合った学びがどこかしらであるはず。心と体の声に敏感になってキャッチしていけば、きっと更年期もソフトランディングできるのではないでしょうか。
考えすぎは、自分自身へのいじめのようなもの
— 「更年期は誰にでも訪れる時期。その期間は特に自分の体と心に寄り添うことが大事」と教えてくれる鈴木さん。そのために必要な心がけは「視野と認識を広げること」と「自愛」だと言います。
更年期は〝心持ち〟が何より大切だと思います。まずは、自分の心身をいつまでも若者扱いしないで、来るべき時が来た、とちゃんと認識して意識を広げてあげること。私は若いはず、という思い込みから抜け出せないでいると捉え方が限定的になってしまって「私はもう歳なんだ」「前はできたのにもうダメなのかも」と気持ちが落ち込みがちになることも。認識の間口を広げて「イライラしてもしょうがないじゃん」「これはみんなに起こることだから」と大らかに受け止める。そんな寛容性が重要なのではないでしょうか。
そのためにはどうすることがいいのか。最近私がすごく大切だと感じているのが「自愛」。一生懸命で必死なゆえに、激しく怒ったり感情的になったりしたこともあった私ですが、今考えると人に対して放った言葉は全部ブーメランのように自分に返ってきていたのかなと思います。
脳は、主語が認識できないと聞きます。人に言った言葉もすべて自分ごとだと捉えるそうですから、誰かにぶつけた感情的な言葉で自分自身をいじめてしまっていた、大切にできていなかったなと気づいた時に、自分自身をもっと愛してあげようと決めました。
まずは第三者に対しても自分に対しても寛容になること、ジャッジしたり自己否定したりしないことを意識しつつ、メンタルが整うルーティンを持つことで〝考えすぎ〟を防ぎます。
マインドフルネスに近いのか、私は移動中に気持ちがスッキリすることが多く、飛行機や新幹線など乗り物が大好き。最近ではLUUPの電動アシスト自転車や電動キックボードを借りて、キックボクシングやサウナに行って、乗り物をポートに返却してから居酒屋やバーで飲むのがいちばん癒されるルーティン。この流れで脳のクレンジングをするというイメージです。
人間って、放っておくとつい余計な思考にとらわれてしまうので、定期的に脳を空っぽにするのが大事なんです。キックボクシングはバーネススタイルのジムに行き、真っ暗闇のスタジオで音楽と共にひたすらサンドバッグに向かって打ち込むと、汗をたくさんかいて心も体もスッキリ。サウナはもっぱら個室サウナを愛用中。五反田や恵比寿のサウナや「おふろの王様」のような日帰りスパに行くこともあります。
また、体がメンテナンスできるサロン系の開拓も怠りません。基本は「カクレミノ家」というスタジオで週に一度は丹田叩き&へそヒーリングを。丹田(へそ)や腸周辺をケアすると心身のエネルギーが整います。丹田を叩くのは家でもスタジオでもどこでもできるので、よくやってますね。
また10年ほど前から目のケアサロンにも通っています。中医学をベースに磁気・ツボ・目周りの手技で目と頭をほぐしてくれる「目の美容院」(10月1日からは「目神の快眠Maviage」にリニューアル)で自律神経のバランスをケアしています。ここでも脳が一旦リセットされる感じで、施術後は頭が軽くって、顔のむくみまで取れます。そのほかにもホットペッパーを見て新規店に飛び込みチャレンジすることも。アタリもハズレも楽しんでいます。
更年期は限定期間
— 人一倍深い愛情と感受性の鋭さゆえ、人間関係で傷つき、コミュニケーションの取り方で悩み、あらゆる波に揉まれ、もがき苦しんできた鈴木さんだからこそ、そろそろ終わりかけている更年期への思いは複雑だとか。
私はたまたま激しい波に揉まれて乱高下を味わいましたが、そうじゃなかったとしても更年期は限定期間。いつかは終わります。いずれにしても50歳前後はそれまでの若さと気力で乗り切ってきたようにはいきません。
私個人としては、これまでは人間形成の時期で、50代はその仕上げになると思っています。そして60代はもっと自分軸で生きて自己解放を目指したい。自分の中の女神を目覚めさせたいですね。人生ではいろいろなことを経験し、傷ついたり苦しんだりしますが、悩みって研磨剤のようなものだと思うんです。傷ついて磨かれる。50代になった今、無駄なことなんて一つもなかった。より長く健康でいるために、自分を大切にするために、今できることを少しずつ続けていけたらいいなと考えています。
〈TOP写真〉トップス¥27,500(コグ ザ ビッグスモーク)ピアス右¥33,000ピアス左¥33,000イヤーカフ¥94,600(すべてジョージ ジェンセン/ジョージ ジェンセン ジャパン)ブレスレット¥7,500(チャールズ&キース/チャールズ&キース ジャパン)ハーフパンツ、スニーカー、靴下/すべてスタイリスト私物〈末尾写真〉コート¥39,600(ブランバスク/バスク)長袖Tシャツ¥9,900(レアック/SUPER VOICE CO.,LTD.)ピアス¥45,980(ジョージ ジェンセン/ジョージ ジェンセン ジャパン)
撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/杉村理恵子 スタイリスト/宮下恵美子 取材/柏崎恵理 撮影協力/株式会社 Luup ※情報は2024年11月号掲載時のものです。
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