大人婚をした俳優が改めて「結婚してよかった」といま思う理由とは
人生が長くなった今、40代はまだ折り返し地点手前。後半をともに生きるパートナーを得たいという方が増えています。今回は、40代以降で結婚された方々にお話を伺いました。すると、若いときとは異なる、豊かで味わい深い結婚の形が見えてきたのです。
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床嶋佳子さん 俳優
60歳・東京都在住

鎧を脱ぎ捨て凪の心で
幸せを味わえるのが大人婚の真髄
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ドラマや舞台などで活躍する俳優の床嶋佳子さん。幼少期からバレエに打ち込み、元バレリーナという経歴を持つ。「振り返ると学生時代はバレエ一色でした。23歳の時にミュージカルで主演を演じたのを機に、27歳で俳優に転身。当時は表現者としての自分を確立したいという一心で、がむしゃらに仕事に向き合う日々でした。脇目もふらず俳優業に情熱を注いでいるうちに、気づけば30代、40代…と、いわゆる婚期も過ぎていたんです」。そんな中、50代を前に急速に感じ始めたのが〝老い〟と将来への不安でした。
「30代後半には、子どもを望むなら結婚しなくてはという思いもありました。でも当時、ご縁のある方がいたというわけでもなく…。50代を迎えて老いをリアルに感じ始めた頃、〝結婚したい〟という思いが日に日に強くなっていったんです。そこからはマインドを入れ替え、自分の気持ちをフルオープンに! 最初はテレビ番組で『私、寂しいんです!』と赤裸々に告白(笑)。周囲にも本音で相談していたら、友人達が紹介してくれるようになりました」。
そんな時、思いもよらない場所で運命の出会いが。「友人夫婦と一緒にスポーツジムを訪れた際に、『絶対に合うと思う』と以前から名前が挙がっていた男性が、たまたま同じジムに来ていて。それが今の夫でした。プールサイドで紹介された時は一目でその人とわかり、〝好みの雰囲気だな〟と直感的に惹かれたのを覚えています」。
それから二人で会うようになり、半年後に入籍。それでも結婚生活を始めた当初は、喧嘩が絶えなかったそう。「いい大人が一緒になるわけですから、それぞれの自己主張があって当然。最初の2〜3年は何度もぶつかりました。でもそこは私も言いたいことを我慢せず、きちんと紙に記して論理的に説得(笑)。価値観が確立されている大人だからこそ、ちゃんとぶつかり合ったことで、本物の夫婦になれた気がします」。
5年が経った今、改めて〝結婚してよかった〟と感じているそう。「若い頃の結婚はお互いに理想が沢山あって、その理想が少しでも崩れると、ネガティブな感情に襲われますよね。でも私達夫婦の一番のプライオリティは、いかに残りの人生を明るく楽しく、健康的に過ごせるか。目的が明確でシンプルだから、理想が1つ叶わなくても大した問題ではないんです。鎧が剝がれて心にも余裕がある、それが大人婚の最大の良さだと思います。もう十分幸せなので、これ以上多くは望みません。『おいしいね』『景色が綺麗だね』と言い合える何気ない日常に幸せを感じながら、このまま穏やかに暮らすのが夢。夫と共有すれば、幸せはさらに膨らんでいく。そんな未来が楽しみです」。
<編集後記>大人婚の根底にあるのは、「人と心で繋がりたい」という思い
「何気ない日常が一番の幸せ」。そう笑顔で語っていた床嶋さん。穏やかでシンプルな愛の形が、大人婚ならではだと感じました。結婚しなくても幸せになれるこの時代に、あえて大人婚を選んだお二人。誰しも心の奥底に秘めている「支え合いたい」「心で繋がりたい」という人間の根源的欲求の最たるものが、大人婚なのかもしれません。(ライター 渡部夕子)
撮影/堺 優史(MOUSTACHE)ヘア・メーク/本名和美 取材/渡部夕子〈床嶋さん〉 ※情報は2025年6月号掲載時のものです。
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