【15年ぶり映画出演】菊川怜さん(47)「子育てしながら、私がもう一人いたらいいのにって思います(笑)」
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2010年に公開された『大奥』から、約15年ぶりの映画出演を果たした菊川怜さん(47)。日本の第一次産業を応援する映画シリーズの第5作目、『種まく旅人〜醪(もろみ)のささやき〜』に主演し、日本酒産業に関わる人々と向き合う、農林水産省の官僚役を演じています。昨年11月に離婚を発表し、現在はシングルマザーとして3人のお子さんを育てている菊川さん。「自分がもう1人いたらいいのに…」と思うほど忙しい日々のなかで、どのように本格的な仕事復帰を成し遂げたのでしょうか。久しぶりの現場で感じた思いや、仕事と子育ての両立についてインタビューしました。
Profile
1978年2月28日生まれ。埼玉県出身。1998年、スカウトをきっかけにモデルとして活動開始。『OL銭道』(2003)や『新選組!』(2004)など数々のドラマに出演。東京大学出身という経歴をいかし、『真相報道 バンキシャ!』や『情報プレゼンター とくダネ!』では、キャスターも務めた。2017年に結婚、2019年に第一子を出産。子育てを優先し芸能活動をセーブしていたが、2024年、約8年ぶりにドラマ出演。
約15年ぶりの映画復帰は「必死だったけれど、お芝居の楽しさを思い出せた」

――本作『種まく旅人〜醪のささやき〜』で15年ぶりの映画出演となる菊川さんですが、オファーを受けたときの思いや、出演を決めた理由について教えてください。
もう何年も仕事をセーブしてきたこともあり、主演でオファーをいただけたことに、はじめはやっぱり驚きました。でも、またお芝居ができるチャンスをいただけたことが、本当にうれしかったです。しばらくカメラの前に立っていなかったので「ちゃんと感覚を取り戻せるのか」「そもそも子育ての合間にセリフを覚えきれるのか」と、プレッシャーや不安もありましたが、挑戦したい気持ちのほうが大きかったですね。
――実際、久しぶりに現場でお芝居をしてみて、いかがでしたか?
現場の雰囲気や流れに乗せていただいて、いつの間にか感覚を取り戻していました。最初のほうに撮ったのが、日常的でライトなシーンだったこともありがたかったです。15年というブランクも、あまり感じる瞬間はなくて。意外にすんなりと現場に立てている自分に気付いたときは、なんだか不思議な気持ちでした。ただ、久しぶりに本格的な演技をすることには、かなり必死になりましたね。セリフも移動中や細かいスキマ時間を使って叩き込んでいきましたし。それでもやっぱり、お芝居をするのは楽しくて仕方がなかったです。
日本酒は大好き。酒造での撮影で、つくるのは体力勝負なんだと改めて実感しました
――本作は、日本酒づくりにかかわる人々が大切にしているものづくりの精神や、現場で起こっている問題や葛藤を描いていますよね。実際の酒造でも撮影が行われたそうですが、印象的だったエピソードを教えてください。
蒸したお米にパウダー状の麹菌をかけるシーンがあったんですが、その部屋が暑いうえにものすごく狭くて。キャストとスタッフがぎゅうぎゅう詰めになりながら、みんなダラダラと汗をかいて撮影したことを覚えています。日本酒づくりは体力勝負なんだなと、身をもって感じた出来事でした。映画ではそれぞれ短いシーンになっていると思いますが、一つひとつの工程が重労働で。杜氏の方々が仕事にかける思いの強さや深さを改めて知ることができました。
――そんな菊川さんが、この映画を通して伝えたいのは、どんなメッセージでしょうか?
ふだんは、ただ美味しくいただいているだけの日本酒ですが、私たちの手元に届くまでに、職人の方々が額に汗して、果てしない手間暇をかけてくださっているということ。そして、産業として継続するために乗り越えてきた歴史や、未来につなげていこうと戦っている現状を多くの方々に知っていただきたいです。そういった背景を知ると、感謝の気持ちも込み上げてくるでしょうし、日本酒そのものの味わいも、さらにおいしく感じられるんじゃないかと思います。
――ちなみに、菊川さんご自身は、ふだんから日本酒を飲まれるんですか?
日本酒は大好きです! 若いころには、毎晩のように飲んでいました(笑)。残念ながら、子育てをするようになってからは、なかなか機会が減ってしまいましたが。
子育てはとにかく時間との戦い。「本当は、菊川怜“A”と“B”で分業したい(笑)」

――「子育て」というワードが出てきたので、お子さんにまつわるお話もお聞きしたいです。妊娠・出産を通して、ご自身の価値観やライフスタイルに、何か変化はありましたか?
圧倒的に時間が足りなくなりましたね。こんなことを想像しても仕方ないんですけど、私がもう1人いたらいいのにと、日々思ってしまいます。「“菊川怜A”が子どもを見ている間に、“菊川怜B”が家事を片付けてしまえば効率的だな…」なんて妄想を繰り広げることもあって。でもその時間こそがもったいないんですよね(笑)。
――これまで長年、仕事をセーブされてきたのも、やはり「時間が足りない」という理由が大きいのでしょうか?
そうですね。はじめからそうしようと思っていたわけではないのですが、子育てに追われるなかで、どうしても余裕を持つことができなかったんです。ただ、いつか必ず復帰したいとは、ずっと思い続けていました。もちろん、仕事と子育てのバランスは、人それぞれいろいろな選択肢があっていいと思います。私の場合は自然と「今は仕事より子育てを優先する時期なのかな」という考えになっていったという感じです。
仕事と子育ての両立に余裕はないけれど、子どものことが可愛くて仕方がない
――現在、シングルマザーとして3人のお子さんの子育て真っ最中の菊川さんですが、仕事と両立するために、何か意識されていることはありますか?
意識というか、とにかく日々一生懸命にやっているだけですね。どうすれば今日1日を乗り切れるのかということに必死で、常に頭はフル回転です(笑)。何十個もタスクがあるので、仕事の前後やスキマ時間のスケジュールを緻密に組み立てて、なんとかこなしているのが現状です。
――なるほど…! やっぱり子育てと仕事の両立は大変ですよね。それでも、子どもを持ってよかったと思う瞬間はどんなときですか?
赤ちゃんのときは存在そのものが愛おしかったし、成長してちょっと生意気なことを言うようになっても、「ママ大好き!」なんて言われると、本当にうれしい気持ちになります。私にとって子どもたちは、とにかく可愛くて、かけがえのない存在です。
Information
映画『種まく旅人〜醪のささやき〜』(公開中)
淡路島で作られる日本酒と、兵庫県が代表的な産地である酒米・山田錦にフォーカスした作品。菊川さん演じる、農林水産省の官僚で“日本酒オタク”な主人公・神崎理恵が、日本酒づくりの現場で、職人たちの情熱や、抱えている葛藤に真摯に向き合うさまが描かれる。
撮影/木村敦(Ajoite) スタイリング/青柳裕美(Azzurro) ヘアメーク/山田典良 取材/近藤世菜 編集/越知恭子