「疲れが抜けない」「集中できない」は【睡眠負債】のせいかも…改善のためにできること5選
「朝起きても疲れが抜けない」「日中にぼんやりして仕事に集中できない」などの状態が続いていませんか? それは単なる一時的な睡眠不足ではなく「睡眠負債」が積み重なっているサインかもしれません。睡眠負債がたまる理由や改善のためのセルフケアを紹介します。
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1.睡眠負債って?
睡眠負債とは、本来必要な睡眠に対して睡眠が足りない状態が続き、不足分が借金のように積み重なっていく状態のこと。一晩だけの夜更かしとは違い、数日からそれ以上にわたって慢性的な睡眠不足が続く点が特徴です。
睡眠負債がたまると、自分では「なんとか動けている」と思っていても疲労感や倦怠感、判断力の低下など心身の不調につながりやすくなります。健康的に過ごすには、早めに気づいて負債を減らすことが大切です。
2.睡眠不足になる原因って?
睡眠負債がたまる背景には、睡眠時間の不足と睡眠の質の低下が関係しています。それぞれ具体的に見てみましょう。
①睡眠時間が短い
睡眠時間が足りない状態が続くと、睡眠負債は着実に増えていきます。
特に「リベンジ夜更かし」をしがちな場合は要注意。リベンジ夜更かしとは、日中の忙しさやストレスの反動で夜に自分の時間を取り戻そうとして、ダラダラとスマホで動画やSNSなどを見て夜更かしをしてしまうことです。
リベンジ夜更かしが習慣になっていると、慢性的な睡眠不足に陥りやすくなり、日中の眠気やだるさ、集中力の低下などを招きます。
②睡眠の質が低い
睡眠時間を確保していても、睡眠の質が低いと心身は休まらず疲れはとれません。
例えば、寝付きが悪い、途中で何度も目が覚める、朝早く目が覚めるといった不眠の症状があると、心身の回復に必要な睡眠が十分に確保しにくくなります。
また、ストレスによる自律神経の乱れも睡眠の質の低下を招く要因です。自律神経は体を緊張・興奮状態にする交感神経と、休息状態にする副交感神経の2つからなります。ストレスで交感神経が優位になると心身が休息モードへ切り替わりにくくなり、眠りが浅くなりがちです。
3.睡眠負債を改善するためのセルフケア
睡眠負債を減らすには、特別なことを一気に始めるより、眠る時間を確保したり光の使い方を工夫したりすることが重要です。今日から続けやすいセルフケアを紹介します。
①睡眠時間を延ばす
睡眠負債を返済する基本は、必要な睡眠時間を確保することです。
厚生労働省が発表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人の場合1日6時間以上の睡眠時間を確保することが推奨されています。しかし、必要な睡眠時間は人によって異なり、8時間程度の場合もあります。
6時間以上を目安にしつつ、日中の眠気や心身の状態などを手がかりに自分に合う睡眠時間を探りましょう。
②寝床で必要以上に長く過ごさない
眠れないからといって早く寝床に入りすぎたり長時間横になり続けたりすると、かえって寝付きにくくなり、睡眠の質が下がることがあります。そのため、眠れないときはベッドや布団から出て、寝床で必要以上に長く過ごさないようにしましょう。
寝床は「眠る場所」と体に覚えさせることが大切。眠くなってから寝床に入り、寝付けないときは一旦寝床から出て、暗い場所でリラックスできる音楽を聴いたりアロマの香りを楽しんだりし、眠気が来てから再度寝床に入るようにしましょう。
③朝起きたら光を浴びる
乱れた体内時計を整えるには、朝起きたらカーテンを開けて朝の光を浴びるのが効果的。日中もできるだけ明るい光を取り込んだ部屋で過ごすことで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量が増えて夜の眠気が訪れやすくなります。
一方で、就寝前の強い照明やスマホの光は、睡眠を促すメラトニンの分泌を妨げやすいため注意が必要。夜は間接照明を活用し、部屋を少し落ち着いた明るさにするだけでも、睡眠の質を高めやすくなります。
④就寝前にリラックスタイムを設ける
就寝前にリラックスタイムを設けて心身をリラックスさせることも大切です。「読書や静かな音楽を楽しむ」「深い呼吸を繰り返す」「軽いストレッチをする」など、自分なりの落ち着ける時間を作ると、副交感神経が優位になって心身が休息モードに入りやすくなります。
逆に、寝る直前まで考えごとを続けたり、スマホを見て明るい光を浴びたりすると寝付きが悪くなり、睡眠の質も低下しやすくなります。自分なりの方法で心身をリラックスさせましょう。
⑤漢方薬を活用する
不眠を改善して睡眠負債を減らすには、漢方薬を活用するのもおすすめ。漢方薬は心と体のバランスを整えて不調の根本原因にアプローチするものです。飲むだけでよいため、セルフケアとして続けやすいのも特徴です。
睡眠負債の対策には「いらだちや興奮を鎮めて寝付きを良くする」「血流を改善して全身に栄養を届ける」「自律神経のバランスを整える」などの働きがある漢方薬を選びましょう。
<睡眠負債の改善におすすめの漢方薬>
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
ストレスや過労による心身の消耗を和らげ、疲れすぎて眠れないといった不眠を改善する漢方薬です。心身ともに疲れ弱っている人に向いています。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
血行を促進して全身に栄養を届けるとともに、自律神経を整えて、不眠やのぼせ、イライラなどを改善する漢方薬です。疲れやすく気分が不安定な人に向いています。
上記以外にも、症状や体質によっては「加味帰脾湯 (かみきひとう)」や「柴胡加竜骨牡蛎湯 (さいこかりゅうこつぼれいとう)」などが向いていることもあります。自分に合う漢方薬を知りたいなら、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しましょう。
【睡眠負債に関するQ&A】
Q.睡眠負債がたまるとどのような影響がありますか?
睡眠負債がたまると、日中の眠気、集中力や判断力の低下、気分の落ち込みなどが起こりやすくなります。さらに、睡眠は免疫機能や代謝、血圧調整などにも関わっているため、睡眠負債がたまると生活習慣病のリスク上昇にもつながります。心身の健康を保つために、睡眠負債は早めに減らしましょう。
Q.睡眠負債をチェックする方法はありますか?
睡眠負債がたまっていると、以下のようなサインが現れます。
・休日に長く寝てしまいがち
・寝ても疲れが抜けない
・日中の眠気が強い
・ケアレスミスが増えた
上記のようなサインがあるなら要注意。睡眠時間を確保したり、睡眠の質を高めるセルフケアを始めたりして睡眠負債を減らしましょう。
Q.睡眠負債の改善に寝だめは効果がありますか?
休日に長く寝て寝だめをするだけでは、睡眠負債を十分に解消するのは難しいとされています。また、寝だめをすると平日と休日で就寝・起床時刻がずれやすく、体内時計が乱れてかえって眠りの質を下げることも。睡眠負債を減らすなら、平日も休日もできるだけ近い時刻に寝起きすることが大切です。
<参考文献>
※ 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
※ 厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医。産業医として企業の健康経営にも携わる。自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
編集/根橋明日美 写真・イラスト/PIXTAほか
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